宮迫とジュニアは一人でダウンタウンをやろうとしている

Twitterでジャノズムの話になったので、少し考えをまとめておきます。大阪時代のジャリズム山下は、番組なんかでも進行や回し役をすることが多かったし、漫才やコントでも浜ちゃんのコピーみたいな所はあったけど、万能ツッコミ役として機能していることが多かったように思います。ジャリズム山下のダメキャラ扱いを見ていると、ある一方のお笑いの見方が、マニアの中で成熟した一方で、ある一方の物の見方が急速に切り捨てられてるというのを感じています。メジャーで言うと宮迫とジュニア、マイナーだとバッファロー一派なんでしょうが、いつのまにか大阪のお笑いの価値観は、このどちらかの基準になっていって、そこから外れると途端に評価が落ちる、下手したら評価されないようになってしまった。
山下がああいうキャラになったのは、雨上がりの宮迫と千原ジュニアの弄り方の問題だと思っていて、この二人の弄り方がそういう方向のみで進んでいて、それは本来の山下のキャラじゃなかったと思うけど、一時期の大阪や東京でも若手だけの環境が、この二人のルールになってきて、山下というかジャリズムもそっちの方向に合わせないといけなかったのが。ジャリズムが解散に追い込まれるぐらいまで低迷したり、再結成後もうまくいってない理由ではないかと考えています。
そこに千原せいじの最近の不遇や、雨上がり決死隊における蛍原さんの役割の制限についても思ったのですが。ジュニアにしても宮迫にしても、なんちゃって松本人志になっているのが問題と考えていましたが、それだけじゃないんですよね。この二人はなんちゃってダウンタウンなんですよ。一人で松本と浜田の仕事を両方しようとしている。
90年代に大阪の芸人に、松本的感性を、浜田的見せ方でやったら最強じゃねえ？という誤解が広がっていたような気も、いま思えばしているんですよね、これはもう記憶と感覚の問題なんで、具体的なケースは当時のものは出しにくいんですが。ただそういう振る舞いをしていた芸人が沢山いて、そのほとんどが2000年代にはいるまでに、ほぼみんな消えていってたな、ということだけは確かなことだと思います。宮迫とジュニアだけが、ダウンタウンの上辺だけのコピーでも生き残ったのは、ポテンシャルがあったからとは思うけど、ただそれをするための無理もいっぱい見えてきている。
松本さんは感性の天才で、浜田さんは感覚の秀才と、真逆の資質なんだから、それを一人でやろうとしているなんてところに無理があるんだと思う。結果的にボケ役とツッコミ役を、両方ともコンビの片方が持っていくわけだから、相方には「できない子」という配役を当てはめるしかない。コンビにおいてどちらかだけが優れているように見せる露出をしているのは、どちらが優れているかではなく、どちらも失敗しているという見方をもっと積極的に、僕らはしていくべきなんだと思う。話は反れますけども、相方が無理なボケをしたり暴走している時に、相方のツッコミ能力では処理しきれないボケをして、周りが処理しないといけない時というのは、これはツッコミの能力不足ではなく、ボケの人間にも間合いを見れていないという能力不足を、厳しく指摘するべきだと思います。
千原ジュニアも宮迫博之も、松本人志だけを目指せば、もしかしたら慣れたかも知れないけど、ただダウンタウンを真似るには、二人とも対人関係における繊細さがないこと、そして天才的感性ばかりに寄り添って、司会者や進行の仕事の技術的な部分や、相手の気持ちを汲むといった、勉強がいる部分を軽視しすぎていると思う。浜田さんの現在の技術は、天性のものではなく修練でのものというのは、沢山の人に語られているわけだけど、ジュニアも宮迫も元々が天才気質だし、最初にポテンシャルでそれなりに出来てしまったから、その必要性を本人も周りも感じてないんでしょう。むしろ松本的発想を、浜田的な手出しで出すから、嫌な感じが出るんだと思うし、周囲を固めて役割を制限しないとできていない。
そしてこういう司会者でも、無理なく回せるようになる。面白く見せれるようにする方法が、周りをとにかく身内で固めて、キャラクターと役割をきちんと決める形で、だからいまの吉本若手のトークバラエティというのは、吉本新喜劇化していると言えるでしょう。
しかしこういうキャラクターでは、年齢的に二人ともそろそろ厳しくなってくる頃で、ダウンタウンですら、自分たちを変えてきて、松ちゃんも娘バカな面を出してきたりしているわけで、この辺で二人とも転換しないと、厳しいことが待ってそうな気がしないでもないです。
とりあえずもっと相方を信じろということ、自分の価値基準だけが、世の中の全てでなければ、お笑いの価値観じゃないよ。ということはもっと芸人さんには分かってもらいたいです。せいじやジュニアがしっかりやっていた時期を、僕たちは見て知っているんですからね。