有吉弘行は夢破れた30代の希望、希望になり得ないジュニア、嫌な上の世代としての松本人志

ほぼ日刊イトイ新聞 - 有吉が、 窓から風を 入れましょう。

糸井さんと有吉さんの対談連載が終わりましたが、これは再ブレイク後の有吉さんの露出の中で、一番面白いものになったと思います。その理由は色々とあるんですが、最大の要因は有吉さんが、この座を全く警戒していないんですよね。
『本人』のインタビューにおいて、吉田豪を前にして、いかにインタビュアーを信用していないか、ということを語っていたのを受けて、同じようなイメージで見ていた人が多いようなんですが、僕はそうは思いませんでした。何故かというと、有吉さんが他のインタビュアーを警戒しているのは、「自分を踏み台にして、のし上がってやろう」とか「将来的に手のひらを返される」ということです。そういうことをする事によって、メリットがある相手だから、警戒している。
しかし糸井重里って、いまさら有吉弘行ごときを踏み台にしたり、手のひらを返したところで、糸井さんにメリットがあるようなことはないぐらい、糸井さんは大物だという安心感が、有吉さんにあるように読んでいました。だから他にないリラックスしたインタビューのように、僕は読んでいきました。
糸井重里「普通のお客さんが、普通の目で見ていることは、だいたい当たっている。」という話に、有吉が同意してからは、一気に話が深くなっていく流れは、読んでいて気持ちいいです。次の鶴瓶さんの話を糸井さんがしたところで、糸井さんは、いまの若手芸人の集団の流れについて疑問があって、そこを打ち砕く人として、有吉さんのことを見出してるんだなと言うことが分かって、ここも非常に面白いです。
考えたらいま有吉さんがやってる、「あだ名付け」とか「一発屋芸人の解説」というのは、コピーライトであり、マーケティングなんで、糸井さんとしてはシンパシーを感じやすかったんでしょう。
このインタビューは穿った見方でも面白いかも知れないけど、素直に読んでみても、もっと面白いと思います。そう思ったのは、やっぱり有吉の次の発言読んでそう思いました。

だけどやっぱり、
もともと漫才がやりたくて
この世界に入ったので、
ネタをやってないというコンプレックスが
すごくあるんです。
M-1のチャンピオンとかにも、
すごいコンプレックスがあるんですよ。
ほぼ日刊イトイ新聞 - 有吉が、 窓から風を 入れましょう。

僕はこの部分読んで鳥肌立ちました。そして有吉が他のインタビューやテレビでは、全力で布いている、ガードを解いた状態で喋っていると確信しました。有吉さんは、こういう気持ちを忘れていないから、おそらく生き残ることが出来たんでしょう。
また例に出して申し訳ないけど、これと同じことを、陣内、ケンコバ、たむけんに言えますか? という話なんですよ。この三人だって最初は漫才(コント)で天下取りたいと思って、この世界に入ってきたわけじゃないですか、しかも同期にM-1のチャンピオンがいる人たちです。コンプレックスが無い方がおかしい。もちろん同期の仲間以外は、みんな後輩、それも事務所の直接の後輩がズラリといるわけだから、コンプレックスを露わにするのはプライドが邪魔するかも知れないけど、そんなプライドは邪魔というのを体現しているのが、いまの有吉だと思うのです。だからいま有吉がこの三人を、差し替えして勝ってしまったんじゃないかな、という風に感じるのです。
まあ陣内はピン芸のあのスタイルを作ってから、挫折しちゃったけど新しい夢とか野心を得たから、もうクリアされているのかも知れないし、たむけんはまだコンプレックスがありそうな気もするんですが、コバに関してはどうなんだろう? 「松口vs小林」の頃に持っていた、夢とか野心というものに、本当に決着がついてるのかな? という風にどうしても思ってしまうんですよね。
これはでもコバだけじゃなくて、千原兄弟にも、ジャリズムにも、中川家メッセンジャー、久馬やなだぎ武にも思えることなんですが、この「WACHACHAブーム」の中の人たちで、いまでも現役の人たちが、みんな今ひとつ突き破れないところは、2丁目劇場でやっていた頃に、それぞれ抱えていた夢とか野心というものが、みんな中途半端になってるんじゃないか、ということを思うのです。
次の夢や目標を持って進んでいくこととか、ある程度、スパっと割り切ってしまうことが出来れば、次の場所で突き抜けることも、例えば雨上がり決死隊FUJIWARAのように可能なんでしょうが、僕は割り切れていたと思っていた、中川家メッセンジャーですら、安いプライドのせいで、大阪のミドルクラスの芸人という地位から出られないところや、ケンコバの東京である程度の地位にいった瞬間に、次の一手が怪しいことになっているのを見ると、明確な次の夢や野心を持っていないんじゃないか? という疑念がどうしても頭から離れないのです。
この人たちと比べると、有吉のコンプレックスとか諦め方、そして現在、後ろ向きだから分かりにくいけど、明確に小さな夢と目標がある姿というのは、凄い分かりやすいし、共感を勝手に感じるんですよ。
僕も30代になって、10代や20代の時に持っていた夢の多くは、もう今からは絶対に叶わないというものもあるわけです。でもそんな中でも割り切って、でも絶望しないで新しい今からでも叶う夢とか目標を持って、前を向いていこうみたいなことは思わなくちゃいけないんですよね、「夢とか持たない方が人間幸せだよ」という声もあるけど、夢とか目標が無くても生きていけるなんて人は、よっぽどメンタル強い人じゃないと無理だから、また破れる夢で、その時に傷付くことが分かっていても、普通の人間は夢や目標無しに、進んでいくことなんて絶対に出来ない。
そういう意味で、現在の有吉はロスジェネ世代のスターにふさわしい。というか僕たちの世代が等身大のヒーローを探した時に、有吉の存在が浮き出てきたのは、もう必然のように、このインタビューを読んで感じました。
だから僕は夢持ってたことはあったけどダメだった、でも何とか次の夢に向かって頑張りたいと思うけど、なかなか難しい。そして横目に自分が夢に描いていたことを、実現している連中に対するコンプレックス、こういうのはもう全部シンパシーを感じてしまう。
それで思うのは、僕は世間のお笑いマニアの、有吉の受け入れられ方に不満がある。お笑いマニアは歪んでると思うんですよ、有吉の一見歪んでいるキャラに騙されてる。僕はもっと有吉は素直にやってると思う。
僕は有吉の言ってる馬鹿って、実は世間じゃなくてお笑いマニアのことなんじゃないの? という風にこの糸井さんとの対談読んで思いました。有吉は意外と世間を信用しているんじゃないか? と、自分みたいな人間を切った世間は、正しいぐらいに思ってるんじゃないか、というぐらいに僕はこの対談を読みました。
有吉さんも結局は才能主義に文句言いたい所があって、ただ才能ある人には正しくコンプレックスがあるんですよね。じゃあ有吉の敵は何なのかというと、安易な才能至上主義に流れる、お笑いマニアとサブカル批評家なんじゃないかと。
でも有吉さん自身も才能至上主義者ではあるんですけどね、だからこそコンプレックスを持つことも出来る、結局はその辺のバランス感覚が、有吉さんは絶妙に凄いわけで、そりゃケンコバが、『アメトーーク』に自分のラジオと連敗するのも当然でしょう。
だから糸井重里が代わりに謝るという前提で、本当に有吉さんが、ガチ乱入というのは見たいよね(笑)、つーか糸井重里、本当に代わりに土下座して回れよ(笑)。
以下、有吉さんとは関係ないことをダラダラと語ります。
いやここまで書いていて思ったのは、陣内、ケンコバ、たむけんなら、焼き肉屋さえ繁盛してなかったら、たむけんが一番売れてたかも知れないなー、という風に思いましたね。たむけんは焼き肉屋で売れなかったら、そして中途半端な後輩芸人の集まりのボスにならなかったら、唯一、大阪で有吉になれる要素があった芸人だと思う。まあなれない所に行っちゃったんだけど(笑)。でもたむけんって、現状でもトミーズ雅の後継者ぐらいの地位に、大阪限定ならいけると思いますけどね、メッセンジャー黒田よりはよっぽど良い位置に付けてる。
いま大阪にいる芸人で、トミーズ、ハイヒールからの世代交代が起きれば、次の時代を担うのは、たむらけんじ月亭八光矢野兵動でしょうね、大阪は。他の大阪居残り組は、みんな厳しいと思います。理由は先ほど書いた通りです。
現実に元WACHACHAメンバーで、いま一番売れているのは、本当はなだぎ武なんですよね、でも昔の序列とかイメージが変に引きずられているせいで、ジュニアやナベアツ、中川家の方が格上みたいになってるけど、僕はジュニア、ナベアツ、ケンコバは身内評価が、実際より下駄を履かせる評価になっているし、陣内智則中川家都落ちしている現状を考えると、WACHACHA芸人で、一番売れているのは、現状、なだぎ武だと言って良いと思います。
ということで、いま話題になっているこのエントリーの話になるんですが(笑)。

はてなブックマーク - しつこいぐらい何度でも言ってやりますが、千原兄弟で面白いのはせいじの方 - 昨日の風はどんなのだっけ?

まあこのエントリーへの不満として、「ジュニアを貶さずに、せいじの良さを語ってくれよ」という不満が出るのは正しいですよね(笑)。俺もそう思う(笑)。
まあこまで煽るほど、僕がせいじのことをジュニアより上と思っているかと突っこまれたら、まあ答えに窮するところはありますよ(笑)。別に山下やせいじが、才能至上主義で見たら、才能ある、能力あるとは思ってないんですよね。
ただジュニアとナベアツが、せいじや山下と比べて圧倒的に優れている能力者みたいに扱われているのは、それは違うだろうというのは正面切って戦いたいし、いまの一部の芸人や作家が、せいじや山下を生贄にして、ジュニアやナベアツが生き残ればいいと思っているような、戦略を取っているのは、許せないという部分があります。
結局はせいじ、ジュニア、ナベアツ、山下は、四人とも足りない部分が多すぎるんだけど、千原兄弟にしても、ジャリズムにしても、その足りない部分を補い合う組み合わせとしては、素晴らしいバランスが本当は取れていると思うんですよ。
ところが本当は四人とも、バランスの悪い、能力値のマトリックスか歪つな四人なのに、たまたまジュニアとナベアツは、お笑いマニアや身内が評価するパラメーターだけ高かったことで、この二人だけが物凄く能力あるように思われて、せいじと山下が無能みたいにされたのが、僕はジャリズム千原兄弟の不幸だったと思っています。山下やせいじの人なつっこさや度胸というのは、ジュニアやナベアツの発想力やカリスマ性と同じぐらい、芸人としては重要な能力なのに、最近の芸人やお笑いマニアが、見逃しがちなスキルだったが為に、過小評価されている。それが僕は山下やせいじだけでなく、本来ならこの二人に、自分の足りないところを補ってもらわなきゃいけない、ジュニアやナベアツの不幸にも繋がっているように、思えてならないのです。
だから僕はジュニアの過剰評価へのカウンターとして、「せいじの方が面白い」と書きました。ただこれは単に煽っただけでなく、本気でそう思ったのは、やっぱり最近のピンでの露出が、エピソードトークに良く出てくるケニアのロケとか、関西ローカルの夕方の奥様向け番組の、コメンテイターとしての言葉の強さを見ると、ここ十数年のお笑い界の最大の損失は、せいじを見逃していた事じゃないか? という風に思えるぐらい、凄い良い仕事してることに気付いたからです。
いや俺マジで、みのもんたの後継者として、『おもいっきりテレビ』の司会やって、生電話相談するべきだったのでは? と思うぐらい、ジュニアの率直な物言いと、人の話を聞き出す力というのは、若井おさむとの『ヨシモト∞』も含めて、とんでもない高いレベルにあるのでは? と思いましたよ。僕はせいじに思い入れもなければ、愛もなかったけど、この放送見て、僕はせいじのことを過小評価していたと、凄い心の底から反省させられました。

これを見て、せいじがどれだけ過小評価されてたか、気付かない人がいたら、それはもうお笑いを語るなんてことは、二度としない方が本人のためと思うぐらい、素晴らしい良い仕事でした。僕はこれ見て、こんなにせいじって凄い男だったのかと、衝撃を受けました。こんな凄いお兄ちゃんを、弟を際立たせるための、ダメな兄貴というポジションに置かれるのは、もったいないと思いました。
千原兄弟が、コンビとして今後どうするべきかと考えた時には、周りの声にとらわれずに、ジュニアはお兄ちゃんが好きだって、正直になればいいんですけどね。ただジュニアは変にツンデレな所があるんで、巧く行ってないし、ジュニアがツンデレとも世間は思っていないから巧くいかないし、ジュニアは昔から、せいじを弄ろうとしているんだけど、ジュニアの他人弄りって、普通に巧く行かないことが多いから、昔からジュニアの兄貴弄りって巧くいかないんですよね。
僕は千原兄弟が見習うべきって、サバンナだと思うんですよ。あのコンビって、高橋が主導権あるようで、実は高橋が精神的に、かなり八木に頼ってるんですよね、あのコンビって(笑)。高橋が一度、前後不覚になるぐらいに酔っぱらった時に、八木に背おわられて帰る最中に、高橋が八木に対して「お兄ちゃん」って甘えだしたというエピソードがありますが、これってサバンナというコンビの関係を現す、凄い良い話だと思うんですよね。達者な高橋と、天然で何も考えていないように見える八木のコンビだけど、高橋は精神的に凄い八木に依存している、ということが分かるエピソードで、サバンナというコンビが凄い良い関係性とバランスのコンビというのが分かります。
千原兄弟も本当はそうだと思うのに、それが出来ない。また変にジュニアに後見人が沢山付いていて、自信持っているから、ジュニアは一度本格的に芸人としてダメにならないと、ダメだと思います。
バイク事故というのがあったから、ジュニアは挫折したように思いがちだけど、あれって芸人としての挫折じゃないから、結局は芸人としての糧にはなったようで、なっていないんですよね、やはりジュニアは、自分を引きこもりから救い出してくれた兄に対する、感謝と尊敬といった、兄への愛を一度どこかではき出すべきだと思う。それが出来ないようなら、ジュニアは安いプライドと共に、芸人として死んでいきますよ。
だってジュニアと高橋って、本当は同じタイプの人だと思うんですよ、いまの違いは自分がいじめられっ子ということに自覚的かそうでないかだけで、高橋はいじめられっ子という自分の本質を認めているから、いま着実に自分の椅子を確保しているけど、ジュニアはそれを認められない安いプライドが、色々と邪魔をしている。どうしても認めたくないのなら、違うキャラで成功すれば良いんだけど、それに失敗しているから、千原ジュニアのキャラつて、良く分からなくなっている。
結局ジュニアって、せいじの弟としか生き残れないと思うんですよ、いま現実にテレビの世界で戦えているのは、松本や今田の弟分というキャラなんだから、誰かの弟分キャラというのがジュニアの本質で、その元は何かというと、せいじという偉大な兄貴の存在があってこそだと思うのです。
ジュニアとかナベアツとか中川家って、結局のところ分かりにくいというのが、一番の足枷なんですよね。その反面、せいじ、山下、たむけんって、わかりやすいですよ。ただ分かりやすい人たちが売れないのは、結局、ジュニアやナベアツに、いまだに夢を持っている人たちが、業界にいるからというだけで、その辺で変革があったら構図は大きく入れ替わることになると思う。
コバは、本当は今どっちにもいけるポジションなんだけど、ジュニアやナベアツの方に行こうとしているから、僕は将来無いと思ってる。陣内は分かりやすかったのに、あっとい
う間に分かりにくくなったのは、世間のイメージに、陣内が応えることが出来なかった。むしろたむけんの方が、キャラクターが分かりやすい(笑)。
いやだってコバのキャラクターって、いま不安定で分かりにくくないですか? キャラ作って虚勢張っているようで、有吉相手にコテンパンテンにやられたり、ジュニアの前で萎縮して舎弟キャラだったりでは、たむけんの方が、良くも悪くも分かりやすいという感想になってしまうわけです。
結局何となくテレビ見ている人たちに、キャラを正確に伝えるというのが、一番大事なことであり、そういう人の評価が一番正しいって思っている人たちが。さんまであり、たけしであり、タモリであり、ダウンタウンであり、今回のインタビューの有吉の言葉なわけです。
というかダウンタウンの松ちゃんが、本当は分かってるというのが小難いですよね(笑)。いや松本って世間に受けなくちゃダメって分かっているし、そういうことも言ってるのに、世間に伝わらなくても、自分の笑い出来たらいいっていってる。この一見ダブルスタンダードを、どっちも必要なことと、松本人志自身は認識しているんですよ。でも、みんな後者しか、松本の言葉として聞いていないから、おかしなことになっている。
結局、松本人志の神格化といったことを、松本自身が制御し切れていないのが、一番の問題なんですよね、今回『しんぼる』の営業的な大コケを受けて、次に何するかというのが鍵になるわけで、こでも好き勝手やって、これが芸人の姿勢だとなれば、僕は松本一派はみんな表舞台からフェードアウトしていくと思うし、吉本も内部で大きな変革があるように思います。
結局、松本人志が『遺書』や『松本』がそうだったように、『ごっつええ感じ』や『ひとりごっつ』で、『ガキの使い』や『4時ですよーだ』や、『発明将軍ダウンタウン』のトークの感覚でやったことが、変にファンに神聖化されたことに乗っかってしまったのが、松本人志の、現在の苦しみの元だと思うのです。結局『ごっつええ感じ』って、エログロをゴールデンタイムでやったということだけが、いまから思えば価値だった思う。
結局、カリスマ視された自分というのを、最後まで制御できなかったのが、松本人志であって、そこが石橋貴明明石家さんまビートたけしとの決定的な差なんですよね。
石橋、さんま、たけしの三人は正真正銘のヤカラであり、自由人であるというホンモノの芸人気質なのに対して、松本人志は所詮チンピラなんですよ。だからたけし、さんま、石橋の三人も、一時自分たちのファンの制御を失うことはあるにしても、きちんと持ち直すのは、この三人がホンモノのカタギじゃない人たちだからで、松本は所詮チンピラの域を越えていない。だからサブカル君や、中途半端にマニアックな連中の心を、松本人志は離さないんですよ。
サブカル君やお笑いマニアは、学校に反発していても、実際に教師に殴りかかったり、授業をサボタージュするような行為には引いてしまう、ひ弱な連中なんですよ。たけし、さんま、石橋というのは、本当にそういうことする人たちだから、現代のお笑いマニアはついて行けない。たけしさんはある時期から、そういう層に芸人としては、合わせるようになったから、ついて行けるようになったけど、そういう面は映画監督として出すようになった。
結局、松本人志は、ビートたけし明石家さんま石橋貴明ほどの本物じゃないんですよ、この三人が本物のヤクザや無頼漢なら、松本は所詮チンピラでしかない。弱者を武人として殺すのがさんまや石橋で、いじめて嗤いものにするのが松本以降の芸人です。

で、いまの吉本芸人って、本物を怖がってるのに、チンピラには憧れてる連中なんですよね(笑)。「夜の校舎窓ガラス壊して回った」人に憧れてるのが、いまのお笑い界の芸人やマニアの姿で、別に夜の校舎、窓ガラス割ることに、意味はないと尾崎豊松本人志も分かってるんですよ(笑)。それよりも、理不尽な教師に殴りかかる奴の方がエライに決まっている。そして実際にさんまや石橋は理不尽な教師に殴りかかる芸だった。松本は意味がないことを分かって芸にしていたのに、でもそこに意味を持つ奴が出てきてしまったのが、松本人志尾崎豊の不幸だった。
松本人志が裏で先生に不満持って窓ガラス夜中に叩き割っている最中に、石橋貴明は、先生相手にカツアゲしてるんですよ、いやこれは喩えですよ(笑)。そしてそんな石橋に引くわって言うて、寸止めしてる松本は凄いと言ってるのが、今の大阪のお笑い界の芸人や、お笑いマニア達なんですよ。
でも、なぜか先生に可愛がられるのは、松本より石橋やさんまというのが、いまの斜に構えてる癖に、変に優等生な大阪の笑いの限界を現しているように思います。
大阪人って、僕がそうだから分かるけど、変に保守的な上に平和主義で、「みんなで幸せになろうや」という、非常に甘ったれたところがあるんですよね、だから天下を取る関西人って、明石家さんまが奈良、島田紳助が京都なように、大阪人の弱点を冷静に分析して、距離を計れる位置にいる人たちばかりです。それでも最終的には東京には勝てない。
それにしても結局、大阪生まれで、日本の天下取った芸人っていないんですよ。いま候補者として名前が挙がるのも、今田耕司だけで、それも先輩の成功と失敗を見ているからこその今の居場所がある。
結局、大阪は商人の街で、たけしさんや石橋貴明のように、武士や職人的なプライドがないままに、大塩平八郎的な露骨なお上への対抗心というのが、無くなっているのが、色々と歪なことになっていると思う。
だからせいじ、山下、蛍ちゃんには、大阪に残って、そういう存在になっていった方が、大阪の独自性と共に、現在のお笑い界の主流へのカウンターとして、面白いように思いますね。いま変に大阪の吉本的な価値観が、東京のテレビに流れ込んで、変に権威側になってしまったのが、大阪のお笑い界の不幸でもあるでしょう。
というか僕は別に、せいじもそんなに高く評価してないんですけどね。ジュニアよりは上だろうレベルで、ただ、お笑いマニアのジュニアの過大評価が許せないし、それに伴ったせいじの過小評価が許せない(笑)。
いやでもジュニアと、雨上がり宮迫の他人のエピソードを話するのが面白くない。そして仕切りが完全にゲスト任せという酷さは、もっときんちと語られるべきだと思うんですよね、いきなり飛び火の宮迫には申し訳ないですが(笑)。
でも『アメトーーク』の宮迫のゲスト任せの仕切りは、やはりどう考えてもヒドイと思いますよ、むしろ宮迫が出しゃばるとダメな回になるのが『アメトーーク』という番組になっている。
というかここまで書いて、自分はせいじが面白いというのではなく。ジュニアやナベアツ、宮迫と比べて、せいじが貶められるような存在ではない、という程度でしかせいじのこと評価してないというのも良く分かりました(笑)。それでも世間の反応と比べたらいい足りないですけどね(笑)。
本当は千原兄弟は、残念な兄ではなく、残念な弟なコンビなんだけど、せいじか大きな兄としての優しさで、そう見せようとしていなかったというコンビなんだけど、それがきちんと伝わっていないのが、千原兄弟というコンビの不幸だし、そう仕向けている周りの罪、それに乗っかっているジュニアの罪、それを許しているせいじへの不満は大きいです。
なんで千原ジュニアが、プチ松本化するのを、みんなしてこんなに見逃してしまったのか、という疑問と不満は尽きないです。
まあいまジュニアを持ち上げている人たちの、ほとんどが世代が一周したり、大阪時代を知らなかったりで、昔のジュニアが若さ故の過ちで「ジャックナイフを名乗っていた」と思い込んでいる人たちなんですよね、昔から今まで、ジュニアって、同じ話繰り返しているだけですからね。
ただ昔は横にせいじがいたから、凄い最も最善なツッコミが返ってきたけど、いまはそういう存在が横にいないで、ジュニアが同じ話をしていて、案の定、誰も突っ込めないような、フワフワした感じで終わっていることが多いのが、ジュニアの不幸だと思います。
もうきちんとジュニアに突っ込んでくれる人、ジュニアの格好悪い話を遠慮せずに出来る人がせいじしかいない、このジュニアの現状を放置したままで、せいじをダメキャラにするのは、ジュニアにとっても不幸でしかないでしょう。ジュニアをきちんと笑えるように仕上げてくれる人なんて、世の中にせいじと、東野幸治のザ・無神経'sとかいませんよ(笑)。あと勝俣さん、また頑張って(笑)。
結局は大阪芸人って、出川、勝俣相手になにもできない温室暮らしというのが、本質なんですよね。普段一番バカにしているような芸風相手に、イザリアルファイトの場に立ったら、何も出来ないでいる、出川さんとか勝俣さんの無自覚なテロに何も出来ない。
というわけで、そりゃ同世代の芸人は有吉に勝てないわけだ、という風に改めて思ったインタビュー記事でした。
だから同世代のヒーローは有吉、そうじゃないジュニア、そして「お前みたいな生き方が許されたのは、バブルだからだよっ!!」と言いたいのが、松本というのが僕の考えです(笑)。さんまや石橋、そしてもちろん糸井重里も、バブルの申し子には間違いないんだけど、もうちょっと強かに、違う時代も生き抜く力はあるように思う。

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