「さんま玉緒のお年玉!!あんたの夢をかなえたろかSP」2009年1月4日放送分

色々とネタバレしてからビデオで見たのですが、やっぱりあのデーブのダジャレに号泣する青年のインパクトは素晴らしいです(笑)。

デーブ・スペクターに号泣する日:荻上式!電網テレビ批評 | みんなのテレビ:So-net blog

こちらのテレビ評でも「とにかく画がおかしなことになっている。」「デーブはデーブで、尊敬されなれていないのか」「何かのバグみたいなものだ。」といった、とても感動物のテレビ番組の感想や批評では、普通は出てこないような表現が山盛りになって出てきていますが、これらの表現に何の過不足もない映像が、この番組のこのパートからは延々と流れていました。いややっぱり人は何がきっかけで救われるか分かんないし、テレビとかメディアに出ている人というのは、露出が多い分だけ本人の思いもよらぬ形で、他人を救っていることがあるというのは、普通の人より多いわけですから、メディアに出ている人はその辺の重さというのは、どっかで頭の隅にだけでも置いといてほしいと思うのです。スポーツ選手やミュージシャンはもちろん、デーブ・スペクターのダジャレにだって、それを見出す人がいるんだから、もう誰だってそういう立場になるものなんです。
しかしこの番組の感想を、色々と読んでいくと、まだ「仕込み」云々を言う人が沢山いるんだなあと思いました。知ってる人は知ってると思うけど、さんまさんはこの辺のことを本当に隠さないんですよね、明石家さんまは「熱湯風呂」に入っているお湯が、あれは実はそんなに熱くなくて、それを熱がって見せているたけし軍団の芸が凄い、ということを日本でお笑い側の立場の人で始めてバラした人、という風に僕は考えているんですが、さんまさんにとってテレビのバラエティ番組というのは、演出と編集で全て成り立っているという考えだというのが、ヤンタンとかでテレビ番組の製作論の話をすると、かなり分かりやすく出てくるんですが、明石家さんまとそのチームにとっては、そこで仕込みをやらない方が、スタッフ側の怠慢だという考え方になっている。おそらくさんまさんにとっては、生の素材を生のまま見せることは、そんなに面白くないことなのでしょう、それで面白くなるような才能なんてものは、そんなに転がっていないことを知っている。だから芸人さんが素材を生のまま出してこようとした場合には、ムチャぶりをしてハプニング的な演出を付けようとする、それを若手芸人は本気のムチャ振りと思って恐れるけど、あれは明石家さんまにとっては芸という素材を、テレビバラエティ用に調理するための演出としてやっている。
こういう明石家さんまの「作り物であることを開き直っている姿勢」というか、「作り物じゃなきゃ面白い物にならないに決まっている」という達観は、結構さんまさんは隠していないんだけど、案外と気付かないままに「仕込みっぽい」ということで、この番組はダメみたいなこと言ってる人が多いのは、少し驚きを持って見ています。いやこの番組とか「からくりTV」に限らず、明石家さんまの番組や笑いは基本的に全部仕込みですよ。
それはジミー大西の定番ギャグやお決まりのボケのほとんどが、明石家さんまがシチュエーションや質問に対して、ジミーちゃんが条件反射的に決まった答えを返せるように、明石家さんまが時間をかけて仕込んだものだというのが、それを一番分かりやすく現している。ただジミーちゃんもそうですが、この番組でも「からくりTV」でも、サプライズの要素として生の状態を、全ては削ぎ落としていないのが、さんま工場長とそのチームの凄いところで、ジミーちゃんが天然回答をする余地を残していることや、仕込みであっても素人出演者が予想外の動きをすることに対して、歯止めを掛けていないところが、リアル感であったり、今回のデーブを尊敬している子のような変な空気を出している、決してさんまチームの演出は真実までは創っていない所が凄い。
冷製に考えれば街中でインタビューしていたら、JRA騎手試験に合格する女の子に、街で偶然会ってインタビューが取れて、密着中に合格通知が来るなんてことが、都合よく起こりまくるはずがないわけですが、でもどこまでが番組の作為か、真実のドキュメントかというのは分からないですよね、本当に偶然にロケ中にインタビューした女の子がいて、TBSが裏でリサーチしたら合格すると言うことが分かったから、密着していたのかも知れないし、この女の子の存在自体は、番組スタッフルートで見つけてきて密着していたけど、番組スタッフも本当に合格してビックリしているのか、全部が偶然の巡り合わせというのはあり得ないけど、全てが仕込みで演出とも思えないというのが、ニクイところだなあと感心させられた、この番組の「あの人に会いたい」二連発でした。
というわけで、今年の「あんたの夢をかなえたろか」は、この二つの印象が強すぎて、他の印象はかなり薄くなっています。一人暮らししたい子供とか面白かったけどね(笑)。