タモリの偉大さと、鶴瓶の凄みを感じるインタビュー

タモリの話になった。「あの人はテレビの師匠ですよ。よく話をつぶすので、なんでやねんと聞いた。すると、『あんたやサンマは必ず笑いをとるようにしてる。落ちの前につぶすことで、マンネリを防げる。それでダメなやつはきえていく』と」

この話は鶴瓶さんがタモリさんの噺として、最近よく紹介しているエピソードではあったけど、『それでダメなやつはきえていく』という所は、いつも鶴瓶が語っていなかったのか、カットされていたのか分からないけれど、タモさんはそこまで思ってやっていたんだ。
最近の芸人さんのトーク上手と称されている人たちは、「すべらない話」の影響なのか、それともそういう芸人が増えたから、「すべらない話」みたいな番組が出来たのか、という鶏が先か、卵が先かという話になってしまうのですが、基本的に今の芸人さんで、トーク上手とされている人も、話の始まりからオチまで一気に喋るし、周りの人たちも口を挟まずに最後まで聞いてくれる。要するに面白いエピソードを一方的に語ることが出来る人を、トーク上手の芸人ということになっているけれど、フリートークというのは、会話なわけで、一方的に面白い話をするというのは、それは芸の分類としては漫談であって、会話ではないし、漫談だからトークではなく、ネタが面白い人という分類が正しい様に思える。
だから明石家さんま「今の若い奴はネタは面白いがフリートークが面白くない。」と、三年前の「クイックジャパン」で語っていて、この時に「そんなことはない、若手でもトークが面白い人はいる、例えば○○とか」という反応は、結構あったように思うのですが、そこで語られていた人たちって、やっぱりネタのある漫談が面白い人であり、トークが面白い人では、さんまさんやタモリさんの定義ではないのではないでしょうか?
でもいまの芸人がトークをする場所は、テレビでもライブでも、漫談形式に自分の持ってきた話を、順番に出来るターン制を採用しているけれど、でも本当のトークというのは、リアルタイムで色んなアドリブが彼方此方から挟まれる物なんだと思う、そういうアドリブで相手の話を壊して、さらに違うものを作るというやり方って、上岡さんとか、タモリさんとか、所さんとか、奇しくも音楽畑からお笑いの世界に来た人が多いんですが、タモさんなんかは、特にフリージャズの世界から来た人だから、その辺は顕著なんでしょう。
だから僕は、フリートークを鍛えるためには、芸人は芸人以外の人と、それも芸人の話しやすいリズムで話することが訓練されていない、アイドルやミュージシャンや声優やアナウンサーとかと、芸人はラジオをするべきなんだと思うのです。
一方的に自分の話しやすいリズムで、話を語りきれるというのは漫談で、会話というのは良い所で口を挟まれたり、オチまで言えなかったりするのか、フリートークというもので、いまのように順番に面白い話を喋れて、話が終わるまで待ってもらえる環境というのは、芸人さんにとって楽ではあるだろうけど、違う環境で勝負できる訓練にはならない。
そんな話をした後に、鶴瓶さんが最後にいじわるなことを、インタビュアーの鳥越さんに対して仕掛けています。

ところが、最後に怒りだした。通り魔事件である。報道することで次を誘発する。「報道しなければならないのか」と鶴瓶が言えば、鳥越も「俺もそう思う」。さらに「報道規制すべきですよ」と突っ込むが、「いや、報道規制はちょっとね」と鳥越は答えに詰まった。

これは「報道規制」という言葉に、過剰反応するマスコミ関係者というのを、分かっていてワザとそういう言葉をぶつけている、少し意地の悪いやり取りだけど、こういう言葉の選択をしてくるのは面白いし、鳥越さんを試している言葉の選び方、ジャーナリストが思考停止してしまうキーワードをぶつけているのは、タモリさんがオチの前に話を潰したのと同じこと、いやタモさんより、上岡さんっぽい所もあるけど、相手が返答に困ることをあえてぶつけて、力量を計っている。

タモリ鶴瓶のおぼえてるでェ!タモリ鶴瓶のおぼえてるでェ!


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