ジャンル漫才でメジャーに受けることをする難しさ

野球ネタをする漫才師というのは沢山いますが、野球が好きな人というのは、ナイツやメメの野球ネタが好きなんですよね。あー青空もそうかな? で、ストリークがあんまり評価高くなかったりする。ストリークが東京の番組に出だした頃とか、ナイツがまだ野球ネタをメインにやっていた頃に、傾向として良く見かけました。
でもナイツやメメの野球ネタって、野球が好きな人が喜ぶような道具立てを揃えているだけ、マニアックな人が思わずにやりとできる事を言ってるだけで、別に漫才として面白いかなという風に思うのですよ。実際にナイツは野球漫才では売れないで、違う形で成功ししたわけですし。でもストリークって野球好きな人へのサービスはないけど、漫才として野球が知らない人でも面白い構造になっている訳じゃないですか。
そんなことをね、アニメ会とか高円寺パルサーとかの、オタクネタで評価されてる東京の芸人にも思うんですよね、これってオタクの人が喜ぶことを並べてるだけで、漫才やコントとして、オタクじゃない人にも「元ネタ知らないけど面白いね」って言われるレベルのことはしていないようにしか思えない。
何かそんなにお笑いに詳しくないというか、好きじゃないオタクとかサブカル側の人達が、異様に持ち上げるオタク・サブカル芸人って、別に漫才やコントとしてそれを見てなくて、単に自分の興味ある分野のことについて、素材にしてくれてるというだけで喜んでない? という風に思うことが多いんですよね、スポーツ題材とかもそうですが。
いやだから僕もにづかさんもオタクだけど、漫才見るときは、オタクネタよりも、漫才を見るという評価軸の方が勝つわけなんですよ。漫才の評価をしているんだから、漫才は漫才として評価する訳で、題材にした漫画やアニメの選択センスとかは二の次だし、あのキャラをあの台詞をパロってくれたなんて喜びは、さらに三次、四次的な楽しみ方でしかない。漫才というものを評価するにあたって、オタクが喜ぶコツを知っている人という基準は、10項目ある評価のうちの一つのさらに一つの小項目だよというね(笑)。
天津といういまではやってないけど、オタクネタを一時期していた漫才コンビがいますが、あのオタク漫才を評価しないのは、別にオタクネタが弱いという訳ではなく、漫才としても微妙だろう。という所なんですよね、オタクネタとして見てもオタク要素薄くて、どっちに向いてるのか分からない漫才に最後の方はなってたし。
天津がオタクネタ時代にやっていたネタで面白かったのは、漫才では「脳内メイド(妹)」と「オタクの美容師」、それとコントでは「萌え部」だったけど、「脳内メイド」のシリーズは、最後の方でオタク要素をかなり削ってやって成立していたように、本当の意味でオタクネタではない、単に面白い漫才だったし、コントの「萌え部」もどちらかというと、エロ詩吟で見せた木村はボケさせた方が良いキャラしているという側面の方が、大きかったように思う(笑)。
そして「美容師」のネタについては、僕は漫才としてもオタクネタとしても、バランスが取れていたと思うのですが、バランスの良さ故に、どうしてもパンチ力に欠けているというか、オタク臭さとbase臭さが混じって、その面白さが分かる人にはという、やっぱり少し見る人を選ぶ漫才だったかなあと、今にして思えば思います(笑)。
例えばこの「美容師」のネタも、おそらく東京でオタクネタやってる芸人が作ったら、『ぱにぽに』を読んでる人にしか理解できないネタに仕上がっていたと思うんですよ、しかし天津のこのネタは、別に『ぱにぽに』知らない人でも笑えるネタになっている。前者の場合だと、お客さんを思いっきり選ぶ反面、分かるお客さんには物凄い高い評価をされる訳ですが、後者の場合はそれこそbaseよしもとを見に来る女子中高生にも受けるけど、ただ別に元ネタが『ぱにぽに』である必要性はない。もっとメジャーな少女アニメに置き換えても成立するだろ、というネタになるんですよね。
ぶっちゃげていうと『ぱにぽに』を読んでる人にしか分からないネタやった方が、まあもちろんbaseでは評価されないけど(笑)、実は簡単にある程度の所までは売れるし、それなりの固定ファンを確保できるんですよね、ただしある程度売れていくと、天井にもすぐに当たってしまうわけだから、天津ぐらい漫才師としてのポテンシャルがあるコンビなら、簡単に売れない道だけど、先を見ようとしている分だけ良いんですよ。ただ向は先を見ようとはしていたけど、見えてはいなかった。という面はあったとここ数年の天津のコンビとしての迷走とか、いま東京に行ってオタク系の文化人とかと仕事できるようになってやっているイベント見ていると、少し思ってしまうところではあります。木村がエロ詩吟で売れて暇というか、自分だけでやれる道を探らないといけなくなったのは分かるんですが、その道に走るのは天津というコンビがダメになってからでも遅くないんじゃないかなあ。
やっぱりどう考えても、特定ジャンルにマニアックな路線に特化するのは、何度も書いているようにニッチ路線なんですよ。それはナイツが売れてから、昔のようなマニアックな野球漫才を止めてしまって、いまの漫才のスタイルで、巨人の打順を一番から順に追っていくみたいな、普通の野球の話題をしているネタをしているというか、ぶっちゃげ本人達もどっちかで認めていたから言っちゃうけど、ストリークの影響を受けてる野球漫才になっているんですよね(笑)。でもメジャー路線というのは、どういうものなのかというのを、売れている人が証明している事例だと思います。
まあ野球はほどよくメジャーで、そんなに広すぎずに世間に分からない所に、落とし込んでいく必要性がないぐらいに、狭いところだけやっていても良いから、野球ネタはやりやすいですよね。ストリークが最近伸び悩んでるのは、阪神タイガースが最近強くないから、大阪の人が野球ネタを求めなくなってるからねえ。ホンマ大阪の人はチームが強くないと冷たいよなあ。

阿佐ヶ谷ロフトA 天津向の4コマトークVol.2 レポ(後編)(2010/11/11): ちょっとしたこと

最初はこの辺の所を読んで、向が「みずしなさん、重野さん好きなんだ、それは趣味が合うなあ」とか思って考え出したんだけど、全然違う話しか出てこなかった(笑)。
まあ四コマ好きで、あの年齢ならそりゃこの二人だよなとは思いますが。向って、四コマの嗜好が明らかに萌えじゃないよね、というラインナップですよね、こうして見てみると(笑)。
でもこの辺の四コマへの熱さって、自分はある程度薄いけど、みずしなファンやってるから分かるんですが、四コママニアって好きな作者がサイン会やったら、日本全国どこでも追いかけていくようなファンが多いし、テンションは熱血スポ根や、スーパーロボットのテンションの熱さがあるんだけど、ほのぼのだったり、萌え萌えだったりする作品群だけ見ている人には、その熱さが分からないんですけど、芸人さんなんだから、そこは自分も熱くなって突っ走るだけでなく、媒介者として、その四コマファン特有の熱さというのを、解説してほしいんですよね、その辺の客観的な部分というのは、芸人としての目線で出来ることだと思うのです。
芸人だからといってオタクイベントやって、大喜利やってしまうのが、中途半端なんですよねえ、このままだと芸人が趣味のオタク文化で幅を広げているのではなく、オタク業界に寄生してるという方向になりかねないですからね、オタク芸人路線でメジャーに行くには、よゐこ有野か次課長井上路線しかないんだけど、そういう具体例を挙げてしまうと、いかに向がこの路線に行くのが難しくて、いま「アニメ会路線」に中途半端な形で向かっているか分かります。
というか本当はいまの山里亮太がやってることこそ、向がやらなきゃいけなかったんですけどね、それをするには向は狭すぎるし、愛嬌が無さ過ぎるし、この辺はキンコン、ノンスタが同期のライバルだった山里と、まあ同期にそんなんがいない向には、意識の違いが出ても仕方ないかと思わなくはない(笑)。だから木村が向にオタク制限していたのは正しかったのかなとも思うし、いま天津が普通に漫才していくというのには、木村だけが先にエロ詩吟でブレイクした状況で、向は木村に頼ったようなネタは出来ないというか、しないプライドはありそうですからねえ。昔のオールザッツでやっていたような漫才とか、またやってほしいんですけどね。オタクネタやらなくても天津は、アナーキーな題材で、腕は確かな漫才やっていた実力者ですからね。

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