「M-1グランプリ2008」の決勝メンバー八組が発表+出番順を踏まえて予想

これほど決勝発表の時点で、期待感に溢れる面子となった「M-1グランプリ」は、一体何年遡らないと無かったでしょうか? 名実共に漫才日本一を決定するに相応しいメンバーでしょう。

オートバックスM-1グランプリ2008

決勝進出者(エントリー番号順)
キングコング(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 東京)
ザ・パンチ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 東京)
ダイアン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 大阪)
ナイツ(マセキ芸能社)
NON STYLE(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 東京)
モンスターエンジン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 大阪)
U字工事(アミーパーク)
笑い飯(よしもとクリエイティブ・エージェンシー 大阪)

技術力、タレント性に共に定評のある、正統派の実力者ばかりが残り、明らかな変化球はモンスターエンジンだけとなり、そのモンエンを除けば、コンビ歴七年目以上の経験豊富なコンビばかり、また準決勝でもう一つの出来だった、麒麟、千鳥、とろサーモンといった前評判の高かったところは敗退し、決勝進出の呼び声が高かった、オードリー、ジャルジャル、ハリセンボン、ギャロップも、三回戦での爆発力が準決勝で見られなかったコンビは、軒並み敗退するという、厳しいガチンコの看板に通りのメンバーとなりました。
僕は東京の方の準決勝は、見に行った方の感想でしか、どういう内容だったか把握していないですが、ただ自分の見に行った大阪の準決勝というのが、明らかに、自分も含めてそれぞれの主観や好みを除けば、ダイアン、モンスターエンジン、そして笑い飯の三組が抜けていたという、大方の感想通りの選考となっていました。僕の関心は「大阪からは二枠か? 三枠か?」という所だけだったので、オードリーが高すぎる期待のハードルを越えられず、ハリセンボン、南海キャンディーズあたりの不発が、笑い飯にまで枠を回すことに意義はない結果となったでしょう。結果的に「東高西低」を表す組数になったとも言えますが、人によってはキングコングNON STYLEは、いまだ大阪勢でしょうから、なかなか言い切るには難しいところです。ハライチとかノンスモーキンとか、こういうのも一組上げとこうかというのが、去年の反動からか全く無くなった、強いて言うのならモンスターエンジンだけという、そのモンエンも分かりやすいドタバタですから、素直に大爆笑が出来る八組が出揃って感は強くあります。
普通に考えれば優勝候補はナイツ、それに次ぐのはNON STYLE、ダイアンは準決勝のネタは高く評価されるでしょうが、ただ二本目のネタが果たしてあるのか? という所に疑問が残るために、優勝候補とまでは言い切れないものがある。ダイアンは2005年のブラマヨパターンでの優勝を狙いたいところですが、今年の決勝メンバーは、あの年と比べると、あのパターンで勝てるほど相手関係が甘くないんですよね、もう一発同じクラスの隠し球があったら、ナイツを上回る可能性は高いでしょう。ただ僕は同じパターンで来るのなら、ナイツに軍配が上がるということ、そして一発ナイツに逆転できるとしたら、一本目と二本目でタイプの違うネタを持ってこれるであろう、NON STYLEだと思っております。
ただ今年は出番順が何よりも重要になるでしょう。ナイツとダイアンは、他にスピード感のある漫才が多いことを考えれば、後になればなるほど有利、特にモンエン→ノンスタ→キンコンの直後とかに来たら、ダイアンは決勝一回戦の一位は確実でしょう。そしてノンスタとキンコンはとにかく比較対象にされがちでしょうから、相手より先の出番になるのが何より重要でしょう、ということを言っていたらもう出番順が出てしまいました。

『M-1グランプリ2008』決勝進出コンビが決定 キンコン、笑い飯ら8組 ニュース-ORICON STYLE-

1.ダイアン
2.笑い飯
3.モンスターエンジン
4.ナイツ
5.U字工事
6.ザ・パンチ
7.NON STYLE
8.キングコング
9.敗者復活戦勝者

とりあえず記者会見では、切り取られているところだけで判断しますが、梶原が一人勝ちですね(笑)。
ダイアンのトップというのは、他の全員に有利で、ダイアンにだけ不利という意味で、過去の千鳥、笑い飯POISON GIRL BANDのトップ出番とは、違う意味で大きな影響を与えるトップ出番になってしまった。正直キングコングあたりが入っていた方が、基準点として正統派の漫才を提示できるという意味で良かったでしょう。まあでも準決勝であれだけ爆発したとはいえ、ダイアンは前年不調の挑戦者の立場に変わりはないんだから、当たった砕けろの精神で挑めば、道は開かれるという風に思いたいです。とりあえずダイアンは「サンタクロース」のネタを、最終決戦に温存なんて事だけは、絶対に無いようにして頂きたいです。予想順位は3位〜4位。
笑い飯は今年は前半の「闘牛士」と「車上荒らし」のパートでは、セルフパロディ的な新しい要素が入るけれど、オーソドックスな本来の笑い飯スタイルに戻した、というよりは本来の笑い飯スタイルでやっていた頃の、M-1決勝でやっていなかったネタを掘り返してきた笑い飯、この「闘牛士」から「車の事故」のネタで、四分の編集も素晴らしいですし、正直このネタを2004年か2005年に持ってきていたら、彼らはとっくにM-1チャンピオンだったでしょう。こういう笑い飯をもっと早く見たかった。ただここ数年は変化球の変化球のようなネタを持ってくるだけでなく、出番順もトップかラストという不利もありましたが、トップのダイアンが暖めてくれた後というのは、近年にないぐらい有利な出番順ですが、こういうストレートを投げてくるのが、遅かった気はしないでもない。正統派の実力者が力を付けて追い込んできた以上、追われる者の不利が点数に如実に表れてしまいそう。予想順位は5位〜7位。
モンスターエンジンは「麒麟枠」という声があるけれど、僕は「千鳥・ザブングル枠」とでも言いたい。どちらかというとコント寄り、しゃべくりではない漫才スタイル枠という意味で、今回は凄く目立つことが出来るでしょう。ただこれだけ本来の意味でのしゃべくり漫才の猛者が集まりすぎていると、どれだけインパクトを残しても不利なところは否めない。僕は準決勝でダントツの二番手だと思ったけど、決勝ではかなり厳しいパターンになると思われます。例年この三番手というのは、敗者復活の発表の直後でその余韻を引きずっている所でのネタ披露、ということになる不利もある。ということで僕の予想順位は9位なんですが、ただこれはここ数年の最下位とは意味合いの違う9位で、ここ二、三年のM-1なら上位に行ったんじゃないか? という印象を与える9位になるんじゃないかな? 神様のネタとか、鉄工所ラップとか、仁鶴師匠モノマネしか知らない人たちを、あっと言わせるに充分な活躍をしてくれるでしょう。過去のM-1の最高点数での最下位と勝手に予想します。世間に強烈な名刺を差し出すことになるでしょう。
ナイツは、ここまで関西の漫才が続いた中で、しかも漫才のスピードが徐々に上がってきて、最高潮に達したところで、東京漫才でナイツのテンポに持って行くことが出来るというのは、何よりも大きなアドバンテージでしょう。よほどナイツの漫才が分からない、認められないという審査員が一人や二人いて、極端な点数を付けることがない限りは、下馬評通りの大本命となるでしょう。予想順位は優勝。
そしてここからU字工事ザ・パンチと続くのも良い流れで、このままこの二組が順番に暫定三位になっていく可能性はあり、決勝審査員は正統派寄りな方を支持する傾向を考えると、ザ・パンチU字工事を上回ることは難しくて、笑い飯との勝負ももしかしたら難しいかも知れない。予想はU字工事が3位から5位、ザ・パンチは5位から8位。
そしてNON STYLEキングコングが最後に並んで登場というのは、今回の抽選における最大の注目でしょう。僕自身はそんなにノンスタとキンコンは似ていないと思うのですが、類似性を指摘する人は多いわけで、そうなったら後輩のノンスタの方が不利なのは目に見えているわけで、ノンスタがキンコンより先に出られるのは有利でしょう。ノンスタとキンコンの直接対決というのは、優勝争い以上の見せ場です。ノンスタは石田のウザイキャラに回帰しながらも、井上のイキリキャラというのを捨てきっていないし、去年の準決勝と敗者復活戦でやった秀逸なネタも残っているし、一本目は石田のキャラクターを前面に出す漫才、二本目は井上のキャラも出していく、という形でやれば他の決勝進出者が、一つの大勝負パターンしか持っていないことを考えれば、充分に最終決戦で、ナイツ、ダイアン、U字工事あたりと争うことになっても、逆転できる可能性は極めて高いでしょう。順位予想は優勝の可能性を捨てきれない2位です。
そしてキングコングです。また彼らが決勝に残ったという一点だけで、M-1の予選審査を「信用できない」「吉本の出来レース」等と、浅はかなことを言う連中は多いわけですが、キングコングの漫才は『splash!!』の方が書いているように、まさに「大衆のための演芸」を極めようとする姿勢だから、彼らの漫才がブログやミクシィにお笑い論を書くような連中に響かないのは当然なんですよ、ただプロの目というのはそういう所を見極めるし、例えば大竹まこと松本人志のような、そちらの方向に行かなかった人が、自分と違う道を進むことを評価するということだってある、実際に生で見たキングコングの圧倒的なスター性というのは、このメンバーに入っていても群を抜いています。漫才というのは大衆芸能文化なんだから、大衆性やスター性というのは、現役ベテラン芸人達だからこそ、重要な審査項目として入ってくるでしょう。だからキングコングは大きく点数を落とすことはあり得ない。ただ不安なのは、僕が三回戦に感じた、何となく熱が去年よりない気がする気配で、それが僕の思い過ごしではなくて、審査員のベテラン師匠連も感じるものだったら、2002年のアメリカザリガニのようなことになる可能性はある。あの年のアメザリだって、そんなに悪くなかったのに番組の流れ的に、最下位になってしまいましたけど、この順番はそれを可能にする可能性はある。まあでもキンコンは相手が強くても、相手が弱くても3位を争うぐらいの位置に、収まるような気がします。予想順位は4位か5位、ノンスタ低調なら最終決戦進出の可能性が出る。出番順は明らかにナイツとNON STYLEが良いところを引いた、東京漫才が続いた後のノンスタ、という並びも最高でしょう。
そして最終決戦は誰が出てくるかによるんですが、もうM-1敗者復活戦は毎年のように準決勝で評判が良かったのに落ちたところや、三回戦で爆発したのに、準決勝でネタを誤ったコンビが、そのまま上位に来てしまうので、ハリセンボン、オードリー、ギャロップジャルジャルノンスモーキンパンクブーブーあたりから出るのではないでしょうか? ただこの中で上位を伺えそうなのは、オードリーだけかな?とも思うけど、なんかみんな敗者復活戦から上位進出、という流れを見方に出来るタイプの漫才師じゃない気もする。今年はストレートインの八組のレベルの高さが去年の比じゃない、正直サンドウィッチマンが今年の敗者復活戦から勝ち上がっていたら、上位三組に入れるか微妙かもしれないぐらい、今年はレベルが高い。

1位 ナイツ
2位 NON STYLE
3位 ダイアン
4位 オードリー(敗者復活戦より)
5位 キングコング
6位 U字工事
7位 笑い飯
8位 ザ・パンチ
9位 モンスターエンジン

敗者復活戦がオードリーじゃなかったら、6位か7位ぐらいに敗者復活戦組は下げたい。ナイツとNON STYLEは逆転の芽もあり、あとダイアンは決勝一回戦は一位通過の可能性も高いでしょう。しかし準決勝でナイツに次ぐ爆笑を取っていたと言われる、今年レッドカーペットで躍進、M-1ラストチャンスのザ・パンチが8位、自分が生で見て大爆笑させて貰った、モンスターエンジンを9位に予想せざるを得ないとは、やっぱり今年のM-1はどれだけレベルが高いんだろうと、驚愕してしまいます。
ということで順位ではなく、優勝予想ということでいうと、70%でナイツ、15%でNON STYLE、そして10%がダイアン、残りの5%をU字工事ザ・パンチという風に、もしブックメーカーとかで優勝予想賭けるのなら、倍率的にも損はしない回収見込めるんじゃないでしょうか?(笑)
しかしこうしてしっかりと「民意が反映された」という印象を受ける結果になるんだから、去年のM-1、今年のキングオブコントと、やっぱり不満に思ったことや、不思議に思ったことは、きちんと声に出して意見するべきだし、それでも聞いてくれないときは、ある程度騒ぐべきだなあと思いましたね(笑)、現状に不満を言うなんて仕方ない、出てきたものを受け入れるべきなんていうのは、やっぱり上辺は格好良いかもしれないけれど、自分の脳みそが付いている人間の取るべき態度ではない。民意が正しく騒げば結果が付いて来るというのは、素晴らしいことです。主催者の吉本興業と審査員の皆さんにも拍手を送ります。こんなに楽しみなM-1決勝は久し振り、いまから21日が楽しみです。

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