「初笑い東西寄席」2006年01月03日放送

録画を鑑賞したのですが、去年NHKの賞を録ったんだから出てきて当然と言われれば当然なんですが、それでもやはりこの面子の中にストリークが入っているのは驚きと感動を隠せないです。本人達はM-1ラストチャンスも逃してしまったし、2005年に大阪やお笑いファンの中ではブレイクしたけど、まだまだ不安は大きいと思うのですが、「NHK新人演芸大賞」から「オールザッツ優勝」という追い風は、まだまだ吹きまくっていますから、バッファロー吾郎の木村さんがこの結果について「今回の流れはメジャーの流れです。だから今回が世間の声が一番反映されてるんだと思います。」と言わしめているんですから、むしろM-1の準決勝の審査員の方が、倉本美津留かわら長介がアホやったから落ちたと思って良いですよ(笑)。
あとこの番組は「爆笑ヒットパレード」が今年ついに切り捨てた東京の近年テレビで見かけなくなったベテラン芸人が何組か出ているのも良かったですね、本当に一年に一回この時期しか見れない芸人さんが出ていて嬉しかったです。
そしてテレビでは新年のこの時期しかテレビで漫才は見れなくなった爆笑問題ですが、やっぱり爆笑問題の漫才は世間の評価が高すぎると思う、言葉にするのが難しかったんですが、一つ感じたことで言語化できたことは“現役感がなさ過ぎる”ということですね、これはオール阪神・巨人の漫才を関西以外の人で年に一度テレビではこの時期の番組でしか見れない人たちが、阪神巨人の漫才を見てビックリしたという感想を多くの人が残している中で、「すごい現役感を感じた。」と評している人がいたので、それを読んで爆笑問題には「現役感を感じない」という言葉が出てきました。
確かに物理的に漫才をしている機会がないんだから仕方ないのかも知れませんが(事務所のライブに出ていると言っても月一回とかそれより間隔が開くこともあるんですから、いわゆる“現役”の漫才師と比べれば、鮮度が落ちるのは仕方ないことですが)、ただ自分たちが日本一の漫才師とわりかし自称している所がある中で、年に10回ぐらいしかやっていない漫才をある程度注目される形でテレビで披露するというのは、ちょっとどうなのかなと思う反面、実際に爆笑問題の漫才って、実はほとんどの人が見たことなかったりするんですよね、ブレイクしたのがネタ番組なんていうのが全くなかった頃だし、「ボキャブラ天国」も漫才を披露する番組ではなかったですし、「オンエアバトル」以降のネタ番組には格的にもスケジュール的にも出演していない、「笑いがいちばん」の司会やってた頃も手を抜くことが許される環境でコント的なネタばかりでしたしね、だから実は爆笑問題の漫才ってほとんどの人が見たことがない中で、「あの爆笑問題の漫才が久しぶりにテレビで披露されます」というような評価付きで見せられるというのは、西川きよし太平サブローと一緒にやる「やすきよ漫才」のと同じような見られ方をされているところはないでしょうか? 貴重性みたいなものがそのままファンタジーグラス越しでお客さんが見るようになっているように思えてしまいます。
最もそういってる僕も、太田光を芸人としてあまり信用していないというか、10年後には古舘伊知郎の後を受けて、テレビ朝日の9時54分台のニュースショーを橋下徹を横に連れてやってそうな気がしてならないので、そういう曇りガラス越しに見ている可能性はありますけどね、ただ爆笑問題は一番最初に関西ローカルの桂文珍の番組に出て、当時東京のお笑いコンビが大阪で笑いなんか取れることが全くなかった頃に、会場を大爆笑に包んでいた漫才を見たとき以上の感動やインパクトは、爆笑問題の漫才には感じたことがないです。ある程度早い時期に固まりすぎて、向上していく余地も、向上させるための場所も少なかったということなのかも知れませんが、でもこの辺が現役じゃないということなんでしょうね、なんかいまの爆笑問題漫才ブームの頃に解散して最近復活して昔と同じようなことをやっているベテラン漫才師と同じ匂いをどうしても感じてしまいます。なんか太田光って自分の中では、松本人志以上に自分で自分のハードルを上げ過ぎている人という印象も僕はしてたんですけどね、今回世間的にはそうでもないことも良く分かりました(笑)。
正直、僕は同じく時事ネタのレベルで言うのなら、ますだおかだの方が遙かに上と断言できますよ。

ついでにオール阪神・巨人について書いておきます。この「ロボット家政婦」のネタ自体はマイナーチェンジは繰り返していますが、結構昔から度々やっているテレビ用の基本ネタの一つですし、そもそも電化製品がしゃべり出すというタイプのネタは、阪神巨人がずっと得意にしているパターンですが、それでも新ネタのような印象を与えること、そして何度聞いても飽きさせないというのが、ベテランの技であると同時に漫才師としての鮮度が落ちていないから、新ネタ感のあるネタをやることが出来るというのは凄いことですよね、つまり阪神・巨人という存在自体が時代から一切ズレる事なくセンターに居続けているということですから、とんでもなく凄いことですよ、これは。
しかし関西ではいまほぼ同格の漫才の大御所として扱われている、中田カウス・ボタンや大木こだま・ひびきの二組が何年かに一度ぐらい再評価の波が、例えばカウスボタン師匠ならお弟子さんの活躍、こだま・ひびき師匠なら10年前に関西地方で「往生しまっせー」のブームや、去年の「チッチキチー」の全国的なブームなどで来る一方で、阪神巨人にはそういうのが全くないというか、例えば関西の主要なベテランも対象にしている賞レース番組や大阪府大阪市などの自治体の表彰などにも一切かすらないというのは、本人達の方が事前に拒否しているというのもあるかも知れませんが、もう20年にも渡って受賞的なものがないのは不思議で仕方ないのですが、これはやはりここ20年ほど浮き沈みが全くなくトップランナーで居続けた証拠、毎年20勝し続けてるから目立たなくなっているだけ、たまに25勝とかしても凄いと思われなくなっているからこそなんでしょうね、再評価のタイミングすらないぐらいトップフォームを維持し続け、成績を上げているというのは本当に恐ろしいことです。いとし・こいしですら再評価の波というのが晩年何度もあったのに、阪神巨人はずっと再評価なんて声を聞くことなく、トップに25年は居続けている現実に改めて畏敬の念を覚えます。
「関西の若手が漫才上達しやすいのは、阪神・巨人を近くで沢山みれるから」と言った人はエライよ、その通りだと思うよ。