裏モノ日記 2004年4月23日付より

このイラク人質事件を巡る言説については、もう僕は唐沢俊一先生は他の追随を許さないぐらい達観した言説を連発していますが、ここ数日総括論に入っているので読み応えも抜群です。
guideさんも引用している次の箇所。以下、特に断りがなければ全て「裏モノ日記 2004年4月23日」からの引用です。

人は結局のところ、正しさではなく、態度とか、ものの言い方とか、顔つきとか、そういうことで人を判断する。思想信条の異なるもの同士でも肩を組んで酒を飲むことは出来るが、態度の悪いもの、生意気なものとは席を同じくする気も起きないものなのである
(略)
市民活動に関わる人々は、今回の人質バッシングに対し、それが何故、起こったのか、これをまず、真摯に分析するところから始めないと、大衆に対し自分たちの意見を浸透させることはまず、永久に不可能だろう。

あーなんか自分が普段言いたくて言えないことを全部集約していってくれている(笑)。というかやっぱりこういうことは中途半端に気を使って言わないよりも、こうして言っちゃった方が良いのかも知れないと改めて思いましたけどね、ただこれ言えるのってある程度長い時間大人やってないと難しいかもしれませんが。
僕としてはこちらも紹介したい。

イラク人質事件緊急調査、日本政府の対応“正しかった”が64%、自衛隊撤退拒否“正しかった”が73%。
小泉首相にあと一年、もしくはそれ以上の続投希望、73%。
ついでに小泉サンの靖国神社参拝、20代の若年層に“良いことだ”55%。
これ、読売や産経の調査ではない。“あの”朝日の調査である。朝日でコレ、である。敢えて発表した朝日も偉い。もちろん、小泉って人はこれまでも、必ず勝てるというデータが出た場合によくコケているから、参院選もそうそう楽観視は出来ないと思うが、まずあの騒ぎのすぐ後でのこの数字には驚かされる。……どうだろう、市民 団体とかマスコミの皆さん、あなた方がさんざ人質をかばい、政府を批判し、抗議活動を行い、小泉や福田をクソミソにコキおろした末の結果が、この数字である。
(略)
ここから見えてくる結論と言えば、
「あなた方は嫌われている」
ということなのではないか、国民から。

僕は前々から小泉総理の支持率が一定より絶えず高く、どんなにバッシングが高まっても不支持率が上がらないのは、みんな小泉総理のことが好きなのではなく、小泉総理のバッシングをしている連中があまりにも胡散臭い人達ばかりだからではないかと思っています。
唐沢さんの言い方にすると、別に小泉は好きじゃないけど、小泉バッシングをしている連中が嫌いだから、小泉支持という風になっているのではないかと思います。あんな胡散臭い連中が非難している小泉だから良いという理屈が、あれだけの支持率を維持し続けている要因ではないかと思っています。

上の調査で非常に興味深く、また私が嬉しく思ったのは、これだけ小泉政権イラク派遣に賛成しながらも、
「米国のイラク政策には71%の人が“評価しない”と答え、今年1月の63%から 増えた。“評価する”は1月の21%からほぼ半減し、12%となった」
という結果が出ていることである。ああ、日本の戦後50年はムダでなかった、日本の国民もやっとここまで二枚腰の態度を使えるようになった、と私は涙がこぼれる思いがした。

僕がよく日記を紹介しているウナギさんもそうですが、唐沢先生と言い、日本人は民主主義とか平和国家とかそういう周辺のものを、独自の形で昇華させて成熟させているという意見には、私は多いに賛同したいです。
そういうのを感じることが出来ていないマスコミやジャーナリスト、市民活動家や政治家とかが僕は信用できないんじゃないかと最近思ってきました。たまたまそういう奴らにサヨな人が多いから、自分はサヨ嫌いと思っていたけど、同じような感じで僕が嫌いなウヨな人も沢山いるし。
とりあえずいまの日本人のある一定数が、お上よりマスコミのほうが信用できない、政治家よりジャーナリストやNGOのほうがうさんくさいと思うようになったのは理由があるのに、それを一切無視してジャーナリズムとかの必要性を主張するのは、やっぱり義務輪果たさず権利を主張する連中と思われても仕方ないと思いました。