読書家の人達が『もしドラ』のブレイクが理解できない理由は?

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

id:fujiponさんに限らないけど、書評サイトをやっている人というか、読書家の人には極めて評判が悪い、今年上半期のベストセラーとなった、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(以下、「もしドラ」)ですが、「もしドラ」って明らかに年間一冊の本も読まない人を対象に、「ドラッガーを読んでみませんか?」という風にし向けようとしている本なんだから、年間三桁単位で本読んでるような人は、負の面で引っかかる、不満が残る物になって自然なわけで、そりゃあ酷評するよなとか、そういう人に読まれることは元々書き手も想定していないだろう。という風に思って見ています。
著者の岩崎さんのブログ記事で叩かれている記事には、そういう傾向のものが多いんだけど、なんかね、Lv0からLv1になる方法というテキストを、うっかりとLv50ぐらいの人が読んで、「こんなのじゃLv50どころか、Lv10にもなれないぜ」っていう批判やコメントしているのを、ネットでは度々見かけるように思っている。
タケルンバ卿の「自炊デビューのススメ」とかも、炊事を全くしない人向けに、炊事の勧めみたいなテキストかいてた時も、「無洗米を勧めている」ことへの否定的な感想がいくつか付いていたけど、全く炊事していない人に、炊事してみては? ということを提案するテキストなんだから、おかしくないだろうと思った。Lv0の人がLv1になるためのテキストに、「そんなのじゃあLv10にはなれない」という批判は、あまりにも的外れが過ぎるでしょう。
そもそも「もしドラ」批判している人って、年間一冊も本読まない人、というのが日本に数百万、下手したら一千万とか二千万単位でいることが、理解できていないんだろうなあ。俗社会では赤川次郎と西村京太郎を、年に数冊読んでるだけで、読書家だと言われる文化もあるんですよ。昨日のB'zの話題じゃないけど、大衆用に落とし込むことは、進化の一つの形だと思うよ。
そもそも著者が、秋元康吉田正樹の下で、大衆相手に俗を売ることを学び、それで成功しているだけでなく、それを愛している人だというのは、もう少し前提として良いのでは? という風にも思いました。

岩崎夏海「『もしドラ』を売って出版界が間違っていることを証明したかった」 大ベストセラー著者に「ドラッカー自伝」翻訳者・牧野洋が聞いた [後編] | 賢者の知恵 | 現代ビジネス [講談社]

だからやっぱりAKB48の仕掛け人の一人として、もしかしたら日本人口のもはや1%ぐらいしかいないかもしれない読書家に向かってだけ、本出してるんじゃねえよというのなら、出版界への「お前ら間違ってるぜ」というアッパーは、部数となって証明したことになりましたね。