『M-1グランプリ2009』をまたまた振り返りながら、お笑い賞レースのスポーツイベント化を考えてみる

敗者復活戦の動画を、作業BGMとしてかけっぱなしにしていたんですが、そんな形で聞いていただけなので、精度の高い感想ではないと思うのですが、どうも大阪勢はセンス優先で、大きな笑いを一つ取りに言った結果、ネタフリの長い言葉遊びに終始。そして東京勢は目先の笑いを求めて、流れに関係なく小ボケを詰め込みすぎてる漫才が多い。その結果どちらも構成なんてあったもんじゃない。という漫才に両方ともなっているように感じました。生放送があった時間帯の出演者で、この傾向がなかったのはNON STYLEU字工事だけでしたね。

M-1グランプリ2009決勝をもう1回じっくり見てみる:おわライター疾走

知事のナイツ評は、技術の確かさを褒めようとしたんだけど、出した例を間違ったということだけでしょうね。

M-1グランプリ2009決勝をもう1回じっくり見てみる2:おわライター疾走

敗者復活戦会場で、ノンスタの復活に周りの空気とは違い、喜んであげていたQ太郎は良い奴だなと思った(笑)。
東京ダイナマイトにとか、彼らを応援していた人たちにとって、「尖る」というのはアレで良いの? という疑問はあるんですよね、前半は僕も結構笑ったんですが、結局は世代限定のあるあるネタで、笑っていただけですからね。

M-1グランプリ2009決勝をもう1回じっくり見てみる3:おわライター疾走

最初の笑い飯南海キャンディーズも、いま見ると相当緊張して漫才やってるんですが、無名の人が緊張で震えているのと、有名な人が緊張で震えているのでは、前者は良い化学反応になるけど、後者は普段を僕たちは知っている分だけ、マイナスになってしまいますよね。笑い飯の「鳥人」は見れば見るほど、構成の妙が感じられて、凄く丁寧に作っているのが分かる。「鳥人」の10分ヴァージョンという動画見ましたが、本当に見事に4分に編集したのが分かる。
僕は2005年の最終決戦の「ハッピーバースデー」のネタを、10分ヴァージョンを見た時に、「笑い飯はこのネタでM-1優勝だ」と確信したのですが、本番のM-1の4分への編集で、どうしてあの振りを外したのか? どうしてこのボケを残したのか? という風に思うところが多くて、凄い残念だったけれども、今回のM-1仕様の「鳥人」は、何かの年に誰かに向かって紳助が言った「4分の使い方が抜群」というのを、思い出させるネタでした。
ただこのネタは「M-1における笑い飯」という物語があって、だからこその天丼の面白さや、世界に入りやすかったところはあるので、なかなかいないと思うけど、「笑い飯というストーリー」を知らない人や、それに思い入れがない人が、どこまでこれを面白いと思えたのか? という考えは過ぎっています。
ハライチの感想は、もうラリーさんの感想が素晴らしいですね、これに付け加えたり、削るべき所はないでしょう。正直「日刊サイゾー」のラリーさんのハライチ評は、首を傾げたんだけど、こっちの評のほうが素晴らしいです。

M-1グランプリ2009決勝をもう1回じっくり見てみる4:おわライター疾走

キャラ漫才なのに、キャラが仕上がっていない。というのがモンスターエンジンの今回の漫才だった。ということに尽きますね。もういっそのこと、オバチャンのヅラとか衣裳で、出たら良かったのにと思ってしまう。あのパンクブーブーの地団駄ツッコミを「アンタッチャブルのコピー」と言われるのは、かなり納得していないんですが、ラリーさんも普通に褒めていて一安心です。
笑い飯については、演じ方が雑というか、元々、若い頃に作った雑な漫才なんだと思う。ただ昔は若さと熱があったから、雑なことにが面白さがあったんだけど、その両方が無くなっていた笑い飯が、若い頃の雑なネタを演じるには、若さが失われた上に、テクニックが上がりすぎた。
いや二つ前の記事で、2002年と2003年の「パン工場」「奈良県立民俗博物館」の動画を見たら、いまと全く違うのに驚かされる。この熱と若さで「チンポジ」やっていたら、優勝していた可能性はあったのではないかと思わされましたからね。これ両方とも、西田は明らかに一箇所台詞を間違って訂正しているのに、そんなこと全く気にならないで見せる熱量が凄い。

やっぱりM−1の件については書いていた方がよいと思うわけで書いては見たが、息切れしてしまう&睡魔に襲われてしまったので、2日またぎで決勝戦以降の続きについて書き記してみる - 「戯言」?ダイアリー

NON STYLEの敗者復活は、現地で見ていた人たちは、「私は元々アンチですから」という人を除くと、納得している人の方が多いように思いますよ。実際に発表の時は、去年のオードリぐらいに観客は沸いてたみたいですし、本編の応援も凄かったみたいですから。敗者復活戦は観客投票ですしね。
あと東京ダイナマイトはプロレスは好きなんだろうけど、下手なんだろうなというのが、二回のM-1の感想ですね。いや違うかマイクパフォーマンスだけは上手いレスラーみたいな感じ? プロレス詳しくないので、この点はズレていたらご容赦ください。ただマイクパフォーマンスだけで伝説のレスラーになるには、芸人としてのかわいげが足りないように思う。

お笑いのスポーツ競技化 - タスカプレミアム

大阪では当たり前だった、若手演芸の賞レース化というのが。完全に東京に輸出に成功したゼロ年代というのは、吉本の東京進出とか、お笑い界の大阪主導を決定付けたのは、間違いないと思います。もっとも東京だって、若手の演芸賞レースというのは昔からあったし、『お笑いスター誕生』や『爆笑オンエアバトル』などもあった。ゴングショーや勝ち抜けバトルみたいなライブもあったのに、お笑い賞レースというものが、大阪では当たり前のものと定着したのに、東京ではそれがなかったこと、そして『M-1グランプリ』という形で、一つの大きなモデルが定着したことの意義は、更なる考察が必要に思う。
ただお笑いを採点競技として、スポーツイベント化するという流れに、不満がある人はいると思うんだけど、それはそれでそういう評価軸じゃない、お笑いの見方ややり方というのを、そういう人たちでしっかり盛り上げていけばいいと思うだけです。「嫌なら見るなよ」をもう少し優しく言ってみました。ただそろそろ好きな芸能は「漫才」、好きなスポーツは「M-1」という言い方をしても良いような気になっています。
あと、もうこっちも始まっているよ、という話題も最後にしておきます。

『R-1ぐらんぷり2010』東京1回戦・前半戦終了 - タコ息子のBlogでなぐり書き

やっぱり金谷ヒデユキの合格は、注目してしまいますよね。あと東京の一回戦では、地味に入江雅人がエントリーしていたのに、合格者の所に名前がない寂しさがありました……。

THE 芸人学 スゴい!お笑い 戦国時代をサバイバルする30人の成功法則THE 芸人学 スゴい!お笑い 戦国時代をサバイバルする30人の成功法則

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