『第7回MBS新世代漫才アワード』決勝大会

二回戦見させて貰った縁もあり、この決勝も高校生審査員の後ろで、こそっと見させて頂きました。ネタ云々よりも場の空気みたいなものが、今回は凄かった。

  • 一回戦

イシバシハザマ「人命救助」 vs ウーマンラッシュアワー「女子校の先生」

イシバシハザマは何年か前のスマイルと同じ失敗してしまいましたね、決勝に一番良いネタを持って行こうとして、一回戦で弱いネタで敗退、二次予選が圧勝の一位通過で、優勝を意識してしまったことや、base時代に格下だった人達が対戦相手というのも、油断だったんでしょうか? 二次予選の「ハイキング」のネタと比べても、ボケの質や数があまりにも違いすぎた、特に後半は完全に間延びしていて、ウーマンのネタ見る前から、これは消えたと確信しました。
ウーマンラッシュアワーは、僕が好きじゃないというよりは、そもそも三十路越えのオッサンなんか、最初からターゲットにしていない漫才で、僕らオッサンから見ても「ここで女の子は喜ぶだろうな」という所で、悉く歓声と拍手と爆笑が起きていたから、もう狙いが完全に嵌ったといって良いでしょう。どうんなに贔屓目で見ても、他に良いネタがある方だと言っても、イシバシハザマの方を推す理由はなかったですね。

かまいたち「親友の引っ越し」 vs ソーセージ「店員」

かまいたちも二次予選とネタ変えてきましたが、ここはどっちが勝負ネタだったのかは難しいところ。ソーセージは絶対にもう一本はないはずなので、ここで勝負かけた方が勝ちました。

のろし「幼稚園児とお父さんの遊び」 vs ストリーク「いつもの」

ストリークは決勝常連だけど、一度も一回戦で勝ったことがないんですよねえ。のろしが若さと元気と勢いで、ネタの感想は二次予選と同じです。

天竺鼠「タンパク質」 vs 藤崎マーケット「犬」

特に感想もない、そりゃ藤崎が勝つよねという内容。はっきりいってここまで低調で、どうしたものかという不安になるけど、次の二戦でそんな不安は一蹴されるのですが。

ヒカリゴケ「野球の監督」 vs オジンオズボーン「部活の紹介」

やっと良い勝負が見れました。松竹の先輩後輩対決、前に決勝に残ったときよりも何ランクも上がったヒカリゴケでしたが、オジオズが先輩の貫禄を見せてくれました。一時期、小難しいこともやろうとしていたけど、オジオズは明るく、元気よく、楽しい漫才路線で良いんです。

スマイル「火災現場」 vs span!「怪盗」

舞台を大きく使って、スピード感のある若くて元気の良い漫才対決、今日初めてどっちが勝ったか全く変わらなかった。span!が小差の勝ちとなりましたが、先攻後攻の利もありましたが、漫才としてもspan!のほうが分かりやすいネタだったと思います。
これで一回戦が終了、ウーマンラッシュアワー、ソーセージ、のろし、藤崎マーケットオジンオズボーンspan!が二回戦へ。しかし二次予選の頃から思っていましたが、やはり去年のM-1NON STYLEが道筋を作った、今後の漫才はスピードのあるボケ数の多い漫才、という流れが完全にいまの漫才界を支配しだしている、そしてお客さんもそれを求めているというのが、より鮮明になってきたように感じました。

  • 二回戦

ウーマンラッシュアワー「ジャニーズ」 vs ソーセージ「サファリパーク」

やっぱりソーセージはネタ二本無かったか(笑)。まあでもウーマンは、割り切ってやっていることに納得すると、自分の好みは別にして、感心させられます。これはこういうものとして見たら、凄い見るべき所が多くて面白い。ただ決勝進出は、少し対戦相手の戦略ミスに恵まれた感はあり。

のろし「イケメンのカレー屋」 vs 藤崎マーケット「お葬式」

藤崎マーケットはのろし相手に、二回戦でもやった本気球を出す必要あったのかな?(笑) まあでも若さと勢いのある漫才が、今日の流れになっていることを考えれば、のろしを恐れるのも当然か、ただ最初から考えていた順番通りだったとしたら、ここでこのネタを持ってきたのは、戦略的にやや拙かったように思う。この「お葬式」のネタって、結構際どいというか、かなり倫理的にギリギリなボケも多いんですが、軽快に飛ばしてやっているから、少なくとも高校生とかには、それがばれずに楽しい漫才として伝わっているのは、やっぱり藤崎マーケットは二人とも巧いと思う。ただあれを笑って見過ごせるのは、僕らの世代がギリだと思う。のろしは大健闘でしょう。このままこの路線でやっていけば、どこかで誰かが見つけてくれます。

オジンオズボーン「CM」 vs span!「ガソリンスタンド」

ここが事実上の決勝戦でしたね。終わった後もそんなムードになっていたような気がします。オジオズがらしい盤石の構えだったんですが、span!はこのネタはもう何度も見ていますが、見る度に面白くなっていて、今回も去年のNHKの決勝と比べたら、元々舞台を大きく使うネタですが、更に広く多角的に使うようになっていて、今の時代に求められている漫才の形を、しっかりと掴んで出していると思いました。今回の決勝メンバーだと、どうしてもイシバシハザマM-1決勝の可能性という意味では、目を向けがちでしたけれど、他の大阪吉本勢の調子次第では、span!が決勝入りする目が、かなり出てきたように思いました。そして大接戦でspan!となりましたが、オジオズももう一本見たかった。ここは本当に組み合わせが残念でした。
この後で決勝の出番順は、再抽選となったのですが、そこで何故かどきどきキャンプ岸学が、ジャック・バウアーで登場したんですが、いや嬉しかったけど、これいるか?(笑) 明日キングオブコントの準決勝なのに、このためだけに大阪入りということで、ご苦労様なんですが、これだったらタージンかやのぱんでも良かったんじゃないか?(笑)

  • 決勝

藤崎マーケット「ものまね王座」

ミュージックステーション」に出たいという振りで、ボケが全部「ものまね王座決定戦」のパロディだったのですが、これが今のものまね番組ではなくて、「ものまね四天王」の頃とかのものまね番組のパロディだったんですが、いまの高校生知らんやろ。そういう設定だけでなく、ボケも全体的に年齢層が高かった。「2丁目WACHACHA」っぽいというか、おそらくbaseなら受けるんだろうなって感じでした。

span!「遅刻しそうになってるときに、顔を指される」

このネタはもう何度では聞かないぐらいに見た、span!M-1では三回戦、テレビ局の賞レースでは決勝に行けてなかった頃の代表作ですが、同じネタなのに、以前見たときとは全く印象が違う仕上がりに驚く。やっぱり漫才師という身体と声でやる演技者なんだなと、演技力とかタレント性の向上が、同じネタでもこれだけ面白くするのかと、感動しながら見ていました。また細かいボケや動きも、丁寧な改良がされていました。僕としてはここでspan!が優勝して欲しいと思いました。

ウーマンラッシュアワーアンパンマン

メインの軸は同じなんですが、少し方向性を変えてきて、こちらの方がM-1の審査員とかは評価しそうな漫才でした。ただやはりネタを温存したイシバシハザマと、ネタが無くなっていたソーセージに勝っただけの決勝は、荷が重かった印象もあり。名乗りと名乗りの間の周回は、かったるくてせっかく自分達で作った、テンポ優先の空気に自ら水を差してしまった。
そして結果はspan!の優勝となり、最後の涙には少しもらい泣きしてしまいました。span!は今年に入ってから、baseしもとでもオーディション組に落とされたり、非情に苦労していただけに、この喜びは大きいでしょう。span!おめでとう。ただ大阪には君たちの居場所はないと思うから、早くNON STYLEイシバシハザマのように、東京に行った方が良いよ(笑)。

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