「わかりやすさも芸のうち」

日本列島プチ改造論 パオロ・マッツァリーノ - 第100回 わかりやすさも芸のうち

大阪天満宮繁盛亭が活気に満ちている点と、東京の一部の寄席の落語家を比較して、お客さんに分かりやすいことをしていること、客を笑わせよう、喜んで貰おうというサービス精神に溢れていることを、絶賛しています。

 そこいくと、繁昌亭に出てきた噺家は若手、ベテラン、新作も古典もみんなおもしろい。客を置いてけぼりにせず、反応を読みながら盛り上げていきます。その意気込みと腕にほれぼれしました。
 わかりやすさは、サービスの基本です。話をしたり文章を書いてカネをもらってる者は、サービス業であるという自覚を持たなきゃいけません。お客や読者に、まずはわかってもらうこと。その上でおもしろがってもらえるかどうか(無理でも努力はしてよ)。難解教信者の知識人や東京のしょぼくれ噺家は、繁昌亭で勉強してきなさい。

なんか若手のお笑いライブに話を変えたら、大阪と東京は逆の話のように思えるんですが、この話の枕は政治のことでしたが、閉鎖的なところで、いつも同じ面子でやっていると、どうしてもこの辺がおろそかになってしまうのかと、政治の世界も、東京の寄席も、同じ人たちで回していると、停滞してしまうんですね。
繁盛亭は、新しい小屋に、いろんなところの落語家がいて、ここを盛り上げようという気概もあって、新規のお客さんが来て、すごいことになってるというのは、やっぱり健全なことのように思います。