野球漫画の文法で描かれるサッカー漫画

日本のスポーツマンガには、『ドカベン』以降は野球マンガの文法しかない。だから『キャプテン翼』では、基本的に野球マンガのストーリーは、投手戦にするか、シーソーゲームにするしかないんだけど、それをサッカーに当てはめるために、GKは投手、ストライカーはそれを打ち倒そうとする打者、という視点のサッカーマンガが多くなる。『キャプ翼』でGK交代で試合が一変するという流れが多いのは、完全に野球マンガの文法でサッカーを描いている。
あと日本のスポーツマンガはプロよりも、学生スポーツを舞台に出発することが多いけど、日本の学生スポーツがトーナメント主体の、負けたら即終わりという大会ばかりのために、主役チームは基本的に常勝チームにしないといけない。という自由度の低さがある。その中で試合において、ストーリーの緩急を付けるためには、投手戦にするか、打撃戦にするかというのを交互にやる必要があって、だから基本的にGK次第というストーリーになりやすい。『ORANGE』なんかは、プロリーグを描いてることで、フロントやサポーターやチーム経営の話があったけど、基本的に試合が始まってしまえば、完全に試合の内容は野球マンガの文法、もっというと水島漫画の文法だった。『ドカベン』以降のスポーツ漫画は、みんな水島新司の文法になったといってよく、この一点だけでやっぱり水島御大は凄い。
水島新司以前のスポーツ漫画については、梶原一騎のどんなスポーツでも、格闘技の文法でお話しにしてしまう。というものがあったわけで、だから日本のスポーツ漫画には、格闘技と野球漫画の文法だけは存在していて、ほとんどのスポーツ漫画は概ねこのどちらかの文法で描かれている。サッカーを始めとして、他の競技の文法はどう確立していくだろうか。しかしここでの結論は、やはり梶原一騎水島新司は偉大です。

ドカベン (10) (少年チャンピオン・コミックス)ドカベン (10) (少年チャンピオン・コミックス)

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