閉塞感とそれが育てる邪な気持ち

あるインディーズやアマチュアではない、商業的なお笑いライブの責任者が、事務所に所属していないようなレベルの芸人が、こすっからいというか、変に低いレベルでの処世術みたいなことを身に付けてしまっている。あれでは悪い色が付いてしまって、メディアの人間は使いたいと思わないだろう。というようなことを話していました。ちなみにその方は大きな事務所にかつてはいて、いまはテレビ番組の制作もしている方で、そういうイベントもやっている。
話はかなり手前からになるのですが、結局は芸人なんて志しているような男の子は、よほどのことがない限りは、最初のモチベーションというのは、「金、女、車、酒」といったものなんですよ。チヤホヤされたい、お金が欲しいから、それが一番簡単で手っ取り早く見えるから、芸人になるんですよ。それは分かりやすくて良いし、そういうものに全く興味がない、自分は自分の表現が出来れば良いんだ、というのもそれはそれで人生を誤りますからね。
ただいらん苦労をいっぱいしたあげくに、夢とか表現への欲求みたいなものが、完全にそぎ落とされて、そういう邪念だけが残っていく人、それこそ舞台にまでそれが見え隠れするようになってる芸人というのが、やっぱりいるんですよね。
売れないまま業界に長くいる人って、エンタメ系の業界って、本当にどの業界でも似たようなもんですが、タチ悪いゴロになったりします。音楽とか芝居の世界でも、知り合いのライブハウスとか、イベント会社とかで、そこの会社の人というわけでもないし、そこに何か出資しているわけでもないのに。そこのプロデューサーみたいな感じで、デカイ顔していて色々と口出ししていくんだけど、その人が何故そういう権限あるのかは、他の現場の人は誰も分からないけど、なんかやたらと偉い人だけは知り合いに多い。そういう人はメディアとか、ビジネスのシーンには、たまにいたりするもんですが。
そういうのが芸人の世界、それこそ売れてないインディーズ界隈の芸人にもいるんですよ。長く芸人やってるのに、自分のライブも持たないで、客持っている後輩のライブに、デカイ顔で寄生して、先輩風吹かせているような奴がいる。またそういうとこにいる後輩芸人も、それより上の芸人を知らないから、先輩というのはこういうものだと思った頼りにしてしまう。それで売れてないのに、そういう芸人は「奢ってくれる社長、頼りになる兄さん」みたいな人だけはやたらと知ってるから、大きなお金にならない仕事とか回してくれる兄貴分として君臨するという、インディーズゴロみたいな存在になる、と。
オードリーの若林が「インディーズを拗らせていた」というのは、芸の上の話だけでしたが、それだけでない人間関係とかお金周りとかで、もっとタチの悪い拗らせ方している人達が、少なからず実際にいるのは間違いないでしょう。まあこの辺は大阪だけじゃなくて、東京にもあるような気がしますけどね。
結局その最初の責任者さんも、そんな風な色が付いてるような芸人は、大きな事務所やメディアは使いたくないと思うよ。という風に切っていましたが、実際にそういう芸人さんは、吉本や松竹の若手を選抜するセクションでは、嫌われていますよね、それはオーディションとかの結果だけ見ても分かる。
こういう状況が起きてしまう理由に、いまの若手のお笑いの人達が、あまりにも世間、そして先輩の売れている人達と、隔絶した中で、特に大阪では固まりすぎていることが、その理由になっていると思うのです。

赤松健が読者アンケートを重視する理由をジャンプを例に出し説明 猫とネギま!と声優さん

赤松健は凄い。はっきりいって赤松健の描いているマンガには、そんなに興味がないけど、この作家先生自身には凄く興味がある。このエントリーも、エンタメ関係を志している人にとっては、金言が本当に沢山隠れていないよね、剥き出しで金になる良い言葉が出ている。
ここで赤松先生は、アンケートをもうわざわざ書いてこないような、コアなファンの評価ではなく、一般のファンの評価を気にして、アンケートを重要視していることか分かります。しかし大阪のお笑いシーンでは、という話になってしまうのですが。大阪のお笑いライブ会場で、アンケートを書いているような層は、そのライブの客の中で一番濃い層なんですよね。そういう人達がもう必死になって、ネタの内容を手帳にメモしながら、幕間や終了後に必死でアンケート書いてる。A4の用紙の表面だけでは足りなくて、裏面にまで及んでいるようなアンケートが、上がってくるわけです。はっきりいってそれは一般の声ではないわけです。
ある芸人さんは、若手芸人がインディーズライブに500円也、1000円也の場所代を支払って出演するのは、アンケートが欲しくてやっているんだと、教えてくれたことがありました。お客さんの反応なんて、舞台に立っている人が、その反応で分からないものなんでしょうか? あのアンケートって舞台を張り付いて見れない、baseや角座のスタッフが、お客さんの反応を知るために、芸人評価のためにやってるんだと最初の頃は誤解していました。
だから前にも書いたように、大阪の女の子は10代から基本的にオバチャンの感性で物を見ているので、どうしてもネタも演技もキャラも、大阪のオバチャンの好みに引きずられていってしまう。もしくは先鋭的なものを過剰に誉め称える、コアなお笑いファンの声のどちらかとか、劇場に通っている客のアンケートでは、若手芸人は拾うことが出来ない。それこそこちらで引用したような声が世論かのような、客や先輩芸人の声ばかりが、芸人の耳にはいるようになっていく。やっぱり考えれば考えるほど、大阪のお笑い芸人の環境って、悪くなっているように思います。
まあでもアンケートとか賞レースの予選結果とか無くても、同じオーディションを毎月一年受け続けても、一回も受からなかったり、出演しているライブの客数が伸びていなかったら、それで気付こうよとも思うんですけどね。

芸人の言葉|ますだおかだ増田ブログ

若手芸人の数が多くなりすぎて、ほとんどの多くの若手芸人にとっては、こういうベテランの本物の芸人さんとの距離が遠くなってしまった。こういう言葉を貰えるところに行くのが、既に大変になってしまった。そうしてそこに行くまでに、いっぱい悪い影響を、売れてないつまんない先輩から受けてしまう。そしてまた悪いヌシとして、若手芸人の輪に居続ける。やはり一度大きな波でガラガラポンしてほしい。
ある芸人さんは、「ワッハ上方が無くなれば、出るところが無くなった芸人が、一斉に辞めていくことになると思う」ということを、期待する発言していましたが、そこまで自分は楽観出来ないのですが、大阪のお笑い界の底辺は、いま大きな台風一過を必要としているのは間違いないと思います。
思えば吉本や松竹が、定期的に劇場潰していたのは、良い閉塞状況の洗い流しになっていたんだなあ。物凄い結果論ですけどね(笑)。ただあれも辞めちゃいけない人まで、辞めてしまうからなあ……。

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