後から来る者は売名行為のために、上に喧嘩売るようなことを言っても許される

名前を付けて保存する。 あらゆる芸人からバカにされる実力ナインティナイン

ナインティナインキングコングに関しては、岡村さんの普段の梶原に対する可愛がりっぷりを考えると、お互いに尊敬と信頼感がある証だと思いますけどね。というかね西野に限らず、後輩は言っていいんですよ。先輩に挑戦的なことをいって、挑戦状を叩き付けているというポーズで、耳目を集めるというのは、下から行くものはやって当然のこと、むしろやるべきことなんです。
それはコント55号に対して、ドリフターズもそうだったし、ドリフに対してひょうきん族がそうだったし、ひょうきん族をとんるねるずは否定して、ウンナンダウンタウンは、とんねるずに戦いを挑んだ。そういう図式がお笑い界にもあるし、音楽業界だって出てきた頃の長渕剛は、松山千春は、吉田拓郎に喧嘩を売るポーズをして、少しでも自分の名前を売りたいと思っていた。ということを売れてから自分で言っている。だから下の者は、自分が成り上がるために、上のものに対して喧嘩売って良いんですよ、馬鹿にするようなこと言って良いんですよ。そこで叩かれて沈んでいくか、それで名前を売ってのし上がっていくかは、本人の才覚次第ですけどね。
もうここまで書けば、僕が何言いたいか分かってると思いますが、この逆に上のものが下のものに対して、こういう発言をするのは恥ずかしいということです。だからこの件で、一番ケツの穴が小さい事を言ってるのは、松本人志で一番叩かれるべきじゃないの? というのが、僕がこの件で一番不思議に思うことです。実際に僕は「松本信者」とか「ダウンタウン病」から、かなり同世代のお笑いファンの中では、かなり早い段階で解脱出来た方なんですが、その一番の理由というのは、明石家さんまという存在が自分の根っこにあったのもあるけど、やっぱり松本の「ナイナイはダウンタウンのチンカス発言」が、いま一番影響力のある人間が、すぐ下の後輩に言うことか? という疑問を持ったことが大きかったですね。あれで僕の中で、松本人志はカリスマに足らない存在になったのは、大きかったと思います。またあれが当時、ダウンタウンがナイナイの存在に焦っているから、松本があんな発言をした。という風に受け止められなかったのも、松本とナイナイ、両者にとって本当に不幸なことだった。
ナイナイの演技者としての能力が、正当に評価されていないというのは、まあ近年のお笑い業界において、表現力というのが一部でどうも二の次になっている。という、なかなか根深い問題がありますので、簡単には答えは出せないのですが。ナイナイは16年前の漫才とかいま見ても、岡村さんの身体性を含めた演技力や、矢部さんの岡村さんを包み込むような人間性のあるツッコミなど、いま見ても当時の漫才は演技者としての魅力が大きいです。

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岡村隆史

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