『第7回 MBS新世代漫才アワード 2次予選ネタパート』2009年8月23日放送分

第7回 MBS新世代漫才アワード 2次予選出場40組

14日にドキュメンタリーパート、23日にネタパートが放送された、漫才アワードの二次予選ですが、ようやく両方の録画を観たので、感想を書きたいと思います。
実は今回、知り合いの(出場者ではない)芸人さんが現場で観覧出来る、ということで同行しても良いという事になったので、ノコノコとついていって後ろの方で観覧させて頂いていました。ということで、ここまでネタバレ感想一切無しでしたが、テレビ放送されたということで、合わせた感想を書きたいと思います。
ただ決勝進出者に関しては、内容に関するネタバレは避けたいと思います。

和牛 「切腹」578点

トップバッター、五十音順の最後に籤引いて、最後までトップが残っているというのは、ある意味何かを持ってるコンビです。このコンビがトップである程度の点数を叩きだしたので、前半の点数が抑制されるんですが。後半のスピードの速い漫才が、全体的に支持される流れになっていたときに、出番順が来ていたらベスト12に残っていたんじゃないでしょうか? 2-

サイドエイト 「特撮ロボット」527点

baseでは違うこともやっているのでしょうが、どうもこのトリオはテレビや賞レース予選でやってるネタは、全部同じ感じです。また時代劇やヒーローロボットとか、最近の関西の若い漫才師がよくやる設定も多い。2

ヘンダーソン 「シンデレラ」463点

今回の二次予選では、経験も年齢も一番若いコンビで、下が四組もいるだけで立派でしょう。1

ダブルダッチ 「映画館のクレーム処理」481点

ネタよりも、ネタが終わった後の司会者とのトークで、「ラジバンダリ」の話をしだして、お客さんが「ラジバンダリの人達」と気付いて反応があったのが、もう全てでしたね。1+

天竺鼠たんぱく質」629点※決勝進出

2005年のM-1準決勝のネタですか、まあ漫才にはそんなに力入れてないということでしょうね。2

ソーセージ 「虫」658点※決勝進出

ここも去年のM-1準決勝ネタ、コントじゃなくて漫才しかやってはいけない場所では、このネタしかやっていないから、ここもコントがメインで、漫才に力は入れていないんでしょうね。しかしこのトリオとサイドエイトならテレビ露出の差なんて、そんなに無いと思うのに、ソーセージは名前呼ばれた瞬間の歓声が凄かった。この差はなんだろう? やっぱり一度でも全国放送の番組出ていると、このぐらいの差になるのか? 2+

アイデンティティ 「メリーさん」577点

怪談の「メリーさん」でボケていく、20年ぐらい前からあるような設定の漫才でしたけど、ネタやボケよりも、この二人の声が良いですね、凄い漫才として聞きやすい声の持ち主。この辺の演技力とか発声の心地よさというのは、やっぱり大阪の漫才師も、もう少し研究しても良いと思う。ネタの内容は展開力や発想力だけで決まるものじゃない。大阪での知名度がもう少しあれば、12位から14位の間ぐらいには、割って入っていたと思う。少なくとも13位から順番に並んでいる、中堅所よりはよっぽど良い仕事していた。来年もアワードに出てきてもらいたいです。2+

上々軍団 「キャンプ」491点

さあ今日も歌ってもらいましょう。という風に見ていたら歌ネタじゃなくて残念、本人達的には勝負かけてきたのでしょうが、盛り上がり所がないままに終わってしまった感じ。ただ現地で見ていた人が、「オンバトとかテレビで見ていて、どこが面白いんだろう? と思っていたコンビだったけど、生で見たら凄い面白かった。」という感想を言っていましたが、テレビよりも生で見た方が、キャラクター、演技力、サービス精神というのは入ってくる。ただいつもの上々軍団は、もっとサービス精神のあるキャラクターショーかな? 2-

かりんとう 「10回クイズ」532点

上々軍団とは逆で、僕はここは現場ではイマイチ、テレビで帰ってみると面白かった。この辺の感覚のズレは、僕と審査員の世代の差でしょう。丁寧な漫才でライブ的な盛り上がりは欠くけど、テレビでじっくり見たらなるほどなという感じ、小さいライブハウスとか向きのネタで、一回戦でやったというネタの方が、大きな舞台に映えた気がする。1

プラスマイナス 「コンビニの店員」572点

ここは何か売れ時を逃しちゃったかなあ、『10カラット』のグダグダが、改めて憎い。この後もbase卒業組の若いファンとの乖離っぷりが、次々と見せつけられることになっていく。2

ハム 「ホスト」464点

ちょっと変な逆説的な意見になってしまうんですが、ある程度テレビ露出成功している人が、これぐらい外すというのは、そんなに悪いことではないと思うんですよ。今回は客層に合わなかったということですから、なまじ中途半端な結果になるよりは、ポジティヴだと思うのです。1+

とろサーモン 「子供に計算を教える」592点

こういう外し方が、一番実はしんどいなあと思う。明らかにお客さんの層と、やっていることの乖離があった。去年まで2次予選は突破して当たり前、決勝も優勝を争っていたコンビが、たった一年でここまで客との距離を感じさせるというのは厳しい。全体的に今回は前のbase一斉卒業の人達が、若いお客さんとのギャップに苦労していたけど、まさかとろサーモンがそうなるとは……。ただモチベーションがないわけはないけど、熱みたいなものを感じなかったのは確か。1

のろし 「お父さんにやって貰った遊び」628点※決勝進出

子供の頃にお父さんにやってもらった事、という体で、モノマネとか替え歌とか、二人の得意技を並べていくだけの、漫才のネタと言ってしまって良いのかというような、15分ステージ営業ネタの最初の三分だけ、というようなネタでしたけど、これが面白いんだから、もうまさに二人のキャラクター力だけで押し切られたら、キャラ弱いネタに凝ってる芸人はたまらないと思うけど、実際に商品になるのはこっちなんだよなあ。3-

バッドボーイズ 「交通事故」415点

僕はこのコンビの漫才、結構沢山見ていると思うんですが、どうして度々M-1でも準決勝に残っているのか、全く意味が分からなかったんですが、今回もどうしてこれで二次予選まで進出できたんだろう? としか思えなかったです。ヤンキーキャラも東京吉本だけで見ても多いし、もっと壊滅的な数字が出るかと思いました。415点に対する切り返しは巧かったし、いまはそういうスプリント合戦だから、テレビでば需要あるんでしょうが。1-

span! 「怪盗をやりたい」640点※決勝進出

前半の一番の盛り上がり所でした。僕は今回のアワードの二次予選のキーワードは、「サービス精神に裏打ちされた、ボケ数の多い漫才」だと思っているのですが、のろしに次いで、前半のそういう漫才を体現していました。暫定一位を取るかな? という風に思ったぐらいに、大盛り上がりでした。span!はこういう楽しいだけの漫才をやることに、ここ一年ぐらいかけて、迷いが無くなってきたのが良いですね。大阪のお笑いマニアだけを置いてけぼりにする漫才師がいても良いんです。3

オーケイ 「若い子の流行」453点

小島さんが若い子の流行に詳しくて、岡山さんが詳しくないという体の漫才ですが、年齢とか風貌的に、小島さんが詳しすぎることにも、岡山さんが知らなさすぎるのも違和感がありました。ネタの内容がお二人の年齢とか、客層とか全てにおいてアンバランスだった。1+

女と男 「居酒屋のバイト」444点

僕は嫌いじゃないんですが、もっとキャラクターを前面に出すストレートなネタを、やるべきだったと思います。僕は好きでしたが、これはダメだろうなあと思いました。2

POISON GIRL BAND 「ガッツポーズ」398点

ツカミでいつもと全く違う入りで、「これが新生POISON GIRL BAND!?」と思わせておいて、すぐにいつもの漫才になったときの落胆が、お客さんに凄い広がりましたね、もうあの時点で勝負ありでしたが、まさかの最下位とは……。しかも本編のネタは、何年か前のM-1の準決勝で披露して決勝を決めたネタ。かわら長介はこのネタの年に、自分は反対したと言ってたけど、そりゃ言いたくなるわ。きっとM-1の準決勝審査員の中に、長さんが千鳥贔屓なのと同様に、強いポイズン贔屓の人がいるんでしょうね。1+

パプア。 「ドドスコ」475点

テレビ通しても分かるぐらい緊張してましたね。ドキュメントパートで、片方がお守りを持ってきてない、取りに返るとかのバタバタが放送されていましたが、そういう精神状態になるぐらい、まだまだ家賃が高かったということでしょう。出始めの芸人さんにはよくあることですから、経験で補える失敗だったということです。1+

プリンセス金魚 「売れて顔指すようになる」502点

悪くなかったと思うんですが、前半のラストという出番順で、ここまで低得点の人が続いた悪い雰囲気にも嵌ってしまいましたね、まあそれがなくても550点台ぐらいだったと思いますが。2-
ここで休憩とインターバル企画。

ビタミンS 「ラッキーだったこと→しりとり」445点

ここも審査員が一般高校生なら、ウザイ兄ちゃんとそれを嫌う妹、という基本的なパターンのネタした方が良いように思った。1+

ソラシド 「水戸黄門」480点

このネタは去年のM-1予選で見て大好きだったんですが、良いネタだからといって半年も、なんの改良もしないでやってると、こんな風になってしまうんだな、と。やっぱり漫才のネタには、特に若手の内にやるネタは、旬ってものがあるというのが良く分かります。1+

りあるキッズ 「クレーム処理」516点

またここも古いネタ……という感想しか無し。りあるキッズは一時は決勝常連だったのに、完全に客層と離れてしまいましたね。1+

天津 「パンを好きすぎる人」579点

ここも世間では、木村はエロい人、向はオタクな人、ということで定着しつつあるときに、この二人で一緒にやるネタは、どんなに奇抜なことなんだろう? という風に見てるお客さんの期待を裏切ってますよね、テレビにそんなに出ていないベテランがやるようなダジャレ漫才。和牛やアイデンティティより上な理由は、知名度だけでしょう。1+

ギャロップ 「弟子入り」596点

なんかこのコンビも去年がピークだったの? という風に思う残念な出来が、最近多いなあ……。base卒業組が、全体的に苦労しすぎている。ハイテンポでボケ数が多いネタが多い中で、コント設定から出たり入ったりするコント漫才は、正直見ていてかったるい。1+

なすなかにし 「恋のインサンソセント」522点

なすなかにしがよくやるシュールをはき違えているネタでした。これが今回の40組で、一番酷かったかな?(笑)1-

イシバシハザマ 「ハイキング」689点※決勝進出

700点台行くかと思った。今年のM-1で決勝の期待の声が上がるのも当然でしょう。3点満点で4点を付けたい。そう思わせる唯一のコンビでした。3+

ヒカリゴケ 「高校野球の監督」637点※決勝進出

一昨年のM-1準決勝のネタでしたが、相当改良されていた。それもネタがというよりは、片山さんの演技力や表現力、そして存在感が凄まじいことになってる。『ふくらむスクラム』効果恐るべしです。3-

ストリーク 「高齢化」605点※決勝進出

このコンビも少し、若いファンとの乖離の始まりの気配はあったけど、まだまだ踏みとどまっていた。これが良い経験を積めているか、という差なんでしょうが。ギリギリ合格ラインと思われる600点台でしたが、ここまでの暫定順位と、この後の11組に残っている面子を考えて、少し点数発表後は諦め気味でしたから、ドキュメンタリーであんな感じだったのでしょう。3-

藤崎マーケット 「お葬式」683点※決勝進出

やはり藤崎は生で見ると、藤原の達者なところ、田崎のサービス精神が、肌で感じられて面白い。あとは「ラララライ体操」で見せたようなアナーキーなところを、いまの漫才にうまく融合させられるかどうかだけだと思う。3

ジャルジャル 「名字」570点

600点台続出の際に、こういう流れとは違うネタが来たら、なかなか見ている方も入りにくい。ただ出番順に恵まれても、このネタじゃダメだったように思う。元々コントでやってたネタを、漫才に起こしているだけですし、力入れていないといえばそれまでなんですが、やっぱりM-1の決勝には推しにくいですね。2

かまいたち 「訪問販売」634点※決勝進出

ネタのレベルは出始めた、2005年ぐらいからそんなに変わってないと思うんですが、自分たちの見せ方とか、あとヒカリゴケのと同じ感想になりますが、東京の番組で揉まれるようになって、表現力や存在感が増してきた。山内とか片山とか、そこにいるだけで面白い存在になってるのは強い。2+

スーパーマラドーナ 「時代劇」599点

ギャロップの時も思ったけど、漫才コントで、突っこむたびにコントの設定から、素の二人に戻ったり入ったりするのは、正直見ていてかったるい。何かこの手の漫才って、去年までの流行だった。という印象が、この日物凄くしました。2-

スマイル 「火事救助」678点※決勝進出

テンション高く、舞台を広く、とにかくノーストップの所謂ジェットコースター漫才、完全にこの日の流れに一番合っている漫才でした。3+

モンスターエンジン 「ヒーローロボット操縦」566点

勝負ネタを温存しているんじゃなかったら、今年のM-1決勝は無いですよね。NHKでも予選突破出来なかったり、「上方漫才大賞」も酷かったし、完全にフォーム崩してる? 2-

オジンオズボーン 「CM」676点※決勝進出

オジオズは、この客層でオーディエンスが審査するときに、やるべき事を完全に把握している。素晴らしいですわ。このネタものろし同様に、漫才として成立しているとは言い難い、篠宮によるCMを使っての一発ギャグの羅列みたいなネタでしたけど、ここまで嵌ればそれに文句言う方が、粋じゃないでしょう。オジオズとか、のろしとか、span!とか、スマイルとかの、そこに居て何かやっているだけで面白い雰囲気を出している。かまいたち山内とかヒカリゴケ片山の、その方向での成長というのを、目の当たりに出来ただけでも、今回の二次予選は見させて頂いた甲斐がありました。まあこの傾向は間違いなく、去年のM-1の上位三組が作った流れなんですが。3-

ウーマンラッシュアワー 「女子校の教師」657点※決勝進出

僕はそんなに好きじゃなかったですが、これは客層に嵌るなと思っていたら案の定。自分は好きじゃないけど、突破は文句なしでしょう。あとは舞台が大きくなるのと、ターゲットにしていないお茶の間に決勝でどう映るかですね。1+

銀シャリ 「森のくまさん」552点

僕は好きだけど、もう完全に出来上がっていた、「速い漫才以外は認めない」という場の流れにあっていない。和牛あたりと順番逆だったら面白かったのに。まあでも銀シャリが本領を発揮するのは、五年後、十年後だと思う。3

テンダラー 「入学式→数え歌→ライダーごっこ」571点

現在暫定順位はのろしが11位、ストリークがギリギリの12位で、残りがテンダラーとダイアンでは、どっちもが下回るというのは想像しにくかったでしょうが。テンダラーが最後までお客さんと一体感作れることなく終了。流れ的にテンダラーのような漫才が、受けないということはなかったと思うのですが、去年は決勝トーナメントの決勝までいった、テンダラーとろサーモンが、お客さんとのギャップに苦しんで敗退ということに。この大会では、それまで高校生の客層とバッチリはまっていた人達が、突然はまらなくなっていくのは、過去にも2丁拳銃ハリガネロックりあるキッズなどでありましたが、テンダラーもそこに落ち着いた感じがしました。まあだからストリークはよく踏みとどまれた。1+

ダイアン 「美容師」601点

去年のM-1とは違う、旧スタイルのネタでした。今年の「上方漫才大賞」でも、新しいスタイルじゃない方の漫才やっていたけど、ここで温存する意味が良く分からない。ダイアンといえば、「西澤がものを知らない漫才する人達」というイメージ付けた方が、良い時期に入ってると思うんですが……。どうも新しい漫才スタイルで評価が高くなっている人が、旧パターンのネタを迂闊にメディアに乗せてしまうのは、あまり褒められたことではないように思います。1+
しかし毎年この賞レースの審査は凄い。高校生の審査が、納得出来る度合いが高いのは素晴らしいです。今回も好き嫌いは別にすれば、この12組の変わりに誰を入れるべきだ、というような考えには、全く至らないですね。
惜しかったのは18位の和牛と、19位のアイデンティティですね。この二組のどっちかだけは、12位にすべり込んでも良かったように思う。実際に12位から17位の人達と、この二組の差は知名度だけだったと思います。
そういう意味では、決勝にすべり込んだストリークはともかく、13位から17位の人達は反省点が多いと思う、感想の中でも言いましたが、次点というのは惜しかったではなく、中途半端ということです。若い和牛やアイデンティティの次点と、中堅どころの次点は意味合いが違う。
しかし結局、花月組というか、base卒業組がストリークしか残っていない。松竹勢が七組中三組が決勝に残る打率の高さ、M-1ファイナリスト経験者が全滅、去年の準優勝、三位のコンビも敗退と、世代交代と言うだけでは語れない。お笑い界の流れの変化が、確実に感じられた二次予選でした。
しかしこの決勝12組じゃあ、全く優勝者の予想が付かないわ。

今の高校生は「にこにこぷん」なんか知らないんじゃ…

これは良い指摘だなあ。こういうのは他にも色々と多かったと思う、多すぎていちいち拾ってられなかった(笑)。

これも現役高校生の視点が、凄い分かりやすい。

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