「笑いの超新星2008 ROUND3」
正直肯定的にレビューを書きたいと思わせるコンビが少ないので、どうしようかと思ったのですが、まあ書ける範囲で書いていきたいと思います。
スマイル 漫才「居酒屋のアルバイト」(結果2位/個人評価3位)
漫才のスタイルが、関西でスマイルが名前が出だした頃のスタイルに戻っていました。最近の路線に限界感じたんでしょうか? こっちの方が良いとは思うけど、変な回り道してしまいましたね、こっちの漫才ならM-1二回戦で受けてたというのも、最近のbaseで好調というのも納得です。80点
モンスターエンジン 漫才「靴屋のサービス」(結果7位/個人評価8位)
設定とか漫才の形式が捻りすぎ、結果的に笑い所も少なくなっているし、何の話かもよく分からなくなってる。こんな集中してみないと分からないネタを、テレビ収録で下ろしてくるのが、そもそもおかしい。モンエンやピンや神様のコントのような分かりやすさが、漫才になると完全に消えますね。40点
天竺鼠 コント「食堂」(結果2位/個人評価7位)
えー、何これ?(笑) 今年の日本のコントのトップ8だったコンビ(笑)が、大阪の若手賞レースで予選も突破できないという事になりました。という風に書こうと思ったら、二位通過かよっ!! 45点
銀シャリ 漫才「桃太郎」(結果1位/個人評価1位)
銀シャリはオーソドックスな漫才になって、こっちの方が分かりやすいですね、最初に全部ボケる形式は玄人好みで面白かったし、鰻の技量不足を補えていたけれど、鰻が上手くなったから、普通の漫才スタイルでも、橋本の説明過剰なツッコミが、普通の漫才でも入りやすくなった。しかし銀シャリはネタが良くなったというよりは、場数をこなして、明石家さんまとかにも評価されて、自信が付いたというのが、一番大きいでしょうね、いま大阪にいる若手漫才では、ギャロップと銀シャリが間違いなくツートップでしょう。いや今年のM-1決勝に相応しい大阪のコンビは、僕はこの二組しかいないと思います。それでも東京から来る人たちよりは、少し落ちますけどね。90点
GAG少年楽団 コント「大学の昼休み」(結果/個人評価10位)
いや本編も酷いんですが、これ以前にブラックマヨネーズの漫才に対しても、同じことを思ったんですが、大学生の一年目とか二年目のことを「一回生、二回生」という言い方は、京大独特の言葉が、関西の大学に広がった、関西の大学しか言わないワードで、東京の大学という設定で「一回生」というワードが出てくるのは、それだけで設定に穴があるコント、というのを導入の説明で丸出しにしてしまっているんですよね、もうこの時点で評価不能なんですが、まあその後のネタも酷かったですね(笑)。
こういうツッコミを入れると、すぐにお笑いマニアは「無粋なことを言うな」「細かい揚げ足取り」と返されるんですが、でも賞レースの審査員とか、テレビのオーディションで審査している放送局の社員は、僕なんかが引っかかることは、絶対にもっと早く気付いてダメという風に判断しますよ。
メルボルンがヨーロッパの街になったり、「雪国」が三島由紀夫の小説になったり、そういうので恥をかくのは演じてる芸人の方なんだから、劇場とかで新ネタを試している間に、周りのスタッフやファンがきちんと指摘してあげる方が、芸人のことを考える対応でしょう。10点
スーパーマラドーナ 漫才「イタズラ電話」(結果/個人評価5位)
田中がメガネに戻ってましたね、なんか今日のこの番組は色々と正しい方向に、芸人が元に戻っているのを見れますね(笑)、普通の漫才でしたけれど、モンエンとかGAGが変に懲りすぎてるネタやっていた分だけ、素直に笑えるネタとして仕上がってましたね、復活してからのマラドーナのネタで一番楽しめました。75点
鎌鼬 漫才「雪山の遭難」(結果3位/個人評価2位)
面白かったんですけど、どうしてこんなに結果が低かったんだろう? 満遍なく笑いはあったけれど、大きな山場がなかったことが、審査員目線から見た時には、印象が薄かったのかなあ? 鎌鼬はギャロップ、銀シャリに次ぐ存在というか、本来はギャロップの次という存在だと思うので、この出来で決勝に残れなかったのはしんどいなあ。85点
ソーセージ コント「受験発表」(結果10位/個人評価6位)
以前に生で見た時は面白かったんですが、ここに並ぶと普通でしたね、ここはGAG少年楽団との差別化に、今後苦労しそうな気がしました。なんかどっちが似てるとかではなく、この世代の吉本の芸人さんがやりたがるコント、という感じなんですよね。藤本の女装と声色作りは、どうしても鯉女房を思い出してしまう(笑)。65点
藤崎マーケット 漫才「家庭的ロボット」(結果6位/個人評価9位)
迷走している芸人あるある「ロボット」というテーマのネタをする。家庭にロボットが入って来るというネタは、オール阪神巨人がもう十年以上前に、完成系のネタを作っているから、それを越える自信がある人以外はやっちゃダメです。麒麟も結局越えられなかったし、あと今現在もハマカーンとか、なすなかにしとか、この設定で漫才やってる人は凄く多いのに、どうしてやってしまうんだろう? 本当に若手芸人って他人がどんな事しているか、という研究をしていないんだなというのが、こういうネタのテーマ選びでよく分かります。30点
恋愛小説家 コント「動物園のレポート」(結果9位/個人評価4位)
恋愛小説家は、ネタのテーマ、内容、それぞれの演技力、キャラクターと、どれも水準以上だと思うのですが、なんかもったいないというか、なんか惜しいんですよね、今年のM-1二回戦でも受かりましたが、面白いんだけどなんか危うい感じが強くあった。「ABCお笑い新人グランプリ」で審査員特別賞取った時も、客受けは結構良かったのに、審査コメントで大竹まことには酷評と言って良いコメントを返されたし、なんだろうなあ、この勿体なさ。どこが悪いのか、言いにくいというのが困る。しかし大蜘蛛の演技力はやはり抜群ですね、もっと評価されるコンビなのは確かです。76点
コーナー
なんかよくある大阪のこういう番組の、あんまり何も考えていない中身のないコーナーなんですが、のろし、ジャルジャル、ギャロップといった場数踏んでる芸人達に助けられて、良い感じになってましたね、しかし何度も書いてるけど、こういう大阪の番組で若手が集まるコーナーやると、小藪がお兄さん格の芸人として呼ばれますが、いつもどんな時も、振られない限り一言も話さないという、空気な存在になりますよね、喋って良いよと振られない限り話し出せないとか、場にいるのがたむけんだけになったら自分から喋れるとか、今年一年かけてこういう番組に沢山露出して、自身の背骨の弱さをさらけ出すだけになってしまった。
11位以下でダイジェストになった芸人
プリンセス金魚、学天即、ピーマンズスタンダード、キンデルダイク、クロスバー直撃が11位以下でしたが、プリンセス金魚は「NHK新人演芸大賞」でやってたネタでしたが、このネタやってGAGや藤崎より下だったの? というのは多少信じられない感じがあります。
結果発表
いや銀シャリの一位は誰が審査員でもそうなるだろう、という感じはありますが、鎌鼬と恋愛小説家の結果は低すぎでしょう。そして天竺、GAG、藤崎の点数は高すぎる、銀シャリの1位はともかく、2位はスマイルか鎌鼬だったんじゃないかなあ? こういう風に評価されなかったことで、また迷走しないか心配になります。
そして去年は深夜だった決勝が、今年はまた日曜の昼に戻るみたいですが、プラスマイナス、ギャロップ、銀シャリの各予選で1位通過した三組による三つ巴かな? 一位通過の三組が正統派の上方漫才三組で、二位が変則的なコントの中山功太、ジャルジャル、天竺鼠というのは、凄い分かりやすい決勝にはなりそうです。しかし今年も松竹勢は決勝に残れなかった。チョップリンとなすなかにし不在の穴は大きい。
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