「笑わせるんじゃない、笑っちゃうのが芸じゃないかな」

プロフェッショナル 仕事の流儀「笑いの奥に、人生がある〜落語家・柳家小三治〜」

偶然見ることが出来たんですが、凄いものを見てしまったと思いました。いや番組冒頭に、いきなりこの記事のタイトルにさせて頂いた言葉が来たのですが、そんなの普段から「笑われるんじゃなく、笑わせたい」とか、偉そうなことぬかしている連中に、一過言あるものとしては、これだけで引き込まれてしまいますよ(笑)。
いやそういう表面的なことたけでなく、一時間のドキュメント番組で、密着ロケやスタジオのトークなどで、端々に見られる「満足してないことの素晴らしさ」「プロとしての矜持」があって、またハードルを越えられると分かっているからこそ、厳しすぎる言葉を弟子にぶつけられる師匠もいる、なんていうか東京の寄席文化の奥深さというのを、これ以上なく嫌と言うほど突きつけられました。
「笑いを強要していない」という言葉の重みの前には、「笑われるんじゃなく、笑わせたい」なんていう言葉がいかに軽いか、笑わせてないけど、媚びてはいないんですよね、それがこの師匠の言っている、「おもわず笑ってしまう」ってそういうことですよね、そして「面白くしようとしてはいけない」という思いと、「でも目の前のお客さんに喜んで頂きたい」という思いの相反、これの前では「売れたいと、好きなことしたいのジレンマ」なんてことが、いかに軽いかということを思わせる、いやもうこれは大阪の若手芸人は、百回見るべき番組でした。

夏目房之介の「で?」 > NHK「プロフェッショナル」柳家小三治

最後に(実際は、編集で最後に持ってきたのだろうが)「プロフェッショナルとは?」と聞かれた小三治さんは、こう答えていた。
「今までのプロフェッショナルを観ていてね。はたからみるとね、凄いなー、プロフェッショナルだなーと思う人もね、本人はそんなこと考えてないと思います。ただ、今やってることを必死にやってるだけなんですよ」

この境地にたどり着いたからこそ言える言葉なのか、それともたどり着いていない奴ほど、そういうことを言いたがるのか、そういうことを凄く思わせられました。いや今回のこの番組は、凄い目の前が開けました。本当に再放送は絶対に録画して、色んな人に見せよう(笑)。

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