「【勿忘草】ワッハ上方」本・アート‐アートニュース:イザ!

記事自体は軽いネタというか、嫌みな感じなんですが、この記事に対するトラックバック送っているブログ記事が、かなり面白い意見や、良い意見が多かったので、紹介したいと思います。

笑いという文化:イザ!

紳助がワッハ上方の近くを通ったとき、施設の前で存続のための署名活動をしている人がやってきて、「署名してください」と頼んだらしい。ところが紳助は、「私は橋下知事の改革案に賛成なので、署名はしません」と断ったんだとか。
(略)
「あんな赤字の施設、移転したらええねん。芸人が全員、あの場所で存続を希望してると思ってるみたいやけど、そんなことはない。マスコミは知事に反対してる人の意見ばかり報道するけど、芸人全員がそう思ってるわけちゃうから」

さすが紳助、そもそも島田紳助は、橋下知事の立候補にも大きな役割を果たした人なわけで、ここで自分たちの演芸関係、所属事務所である吉本興業にとっても利益になっている貸しビル事業に関する事にも関わらず、こうして断固とした姿勢を貫くのは素晴らしい。目先のハコモノや、このハコモノでの商売ではなく、もっと大局を見ている人の言葉であり姿勢だと思います。あんなに漫才界の未来を憂い、M-1を作るなど貢献している方が、はっきりと「いらない」と言っていることは、今一度関係者はかみしめるべきでしょう。決して紳助さんの場合は、現場を知らない人の声という訳ではないですからね。

中途半端な施設である:イザ!

平日に図書館行ってごらん。視聴覚ルームは満杯ですよ。それと一緒で、時間つぶししたい人が、ソフトを見てるだけですわ。この施設は今、中途半端すぎる。上方芸能の拠点にするには、何らかの改革がいると思うが。

結局、視聴覚室と寄席ライブスペースにしか、お客さんが来ていないという問題があるんですよね、それだったら視聴覚室は図書館の中に、演芸資料室というのを設ければいいし、寄席場やライブスペースに関しては、例えば東京なら新宿、中野、浅草といった所には、民間で運営している寄席や劇場、ライブスペースは沢山あるわけで、ワッハの存在が民間を圧迫していて、民営でそういうライブスペースや寄席を運営するという人たちを、生まなくなっているということは考えられないかと思います。
だからワッハの改革という意味では、賃料が安い、しかしもっと広いスペースが取れる場所に移って、常設展示を増やすなどの資料館としての価値を、立地条件ではなく、展示物の質と量で勝負するという、今回の移設は出来る改革ができる良いチャンスにするべきでしょう。
だからいま反対している人の多くは、音頭を取っているベテラン芸人や文化人はともかく、署名に参加しているような若い人たちは、資料館ではなくワッハの劇場施設の方が大事だからやっている。

大切や:イザ!

場所があんな都心でなくても、大丈夫。
好きな奴は行くし、若手や貧乏芸人はあそこで育つんや。

もうこれは全く正論だと思う、ただ僕は最初「貴重な資料が集まっている資料館の存続は大切」と思って、署名運動に参加している人とも連絡を取っていたけど、橋下知事が早い段階で「ワッハ上方は移設して存続」という事を表明した時点で、僕は目的は達成されたと思いました。だから「この場所でいけない」という橋下知事ワッハ上方に行ったときに、ワッハの関係者が言ってかなり明快に反論されていた事だけで、署名活動みたいなのが続いているのは、正直どうなのかなと思いました。この後に紹介する意見でも書かれていますが、まず勝ち目がない、それはもう運動のための運動になってはいないでしょうか?

署名は吉本興業へもどうぞ:イザ!

しかし相手は岩国基地に関する住民投票を否定した橋下知事である。法的な拘束力がない署名をいくら集めたところでまったくの無駄に終わるであろう。署名のための署名をしているのでなければ、相手を見て手段を考えたほうがいいと思うが・・・

僕がまだワッハの存続運動に好意的だった頃に考えたのは、例え1万人いや10万人の署名を持って行っても、「私には160万票の支持がある」と橋下知事ならその署名を突っぱねると考えたので、署名をするのなら存続のために「移転」や「値上げ」といったものを、私たちは受け入れますから存続してください。というものを織り込んでいくべきだと思っていました。だから僕には「存続」は既に決まっていて、「移転」や「値上げ」などに反対していく流れというのは、もう勝ち目がないというか、橋下知事の側が初手から、噂されていた廃止や民営化売却というものから考えれば、「移転して存続」という大幅な譲歩案を出してきた段階で、これは勝負あったでしょう。本当にこの施設の重要性を考えて運動していくのなら、移設した後の資料館の規模や取り組み方などについての、具体案を出していく事の方が重要だと思います。

ところで、署名活動を行っている海原さおり・しおりがテレビで存続を訴える場面を目にしたことがある。現状での存続を希望する理由として立地がいい、舞台設備が優れているという2点を挙げていたように記憶している。

この声に関して、元記事の方は「多額の税金を使って維持する必要性」という話題になっていますが、現状での存続を求めている人たちにとって、大事なのは資料館ではなく、ワッハホールやレッスンルーム、上方亭といった舞台施設であるというのが、浮き彫りになるコメントという風にも取れるでしょう。
しかし芸人だけが優遇されて良いのか? という疑問は当然のように出てきてしまった仕方ない、実際に小劇団やインディーズのミュージシャンはみんな、自分たちが演じられる小屋を探し、安くないお金を払って、集客のためにチケットとビラを沢山持って頑張って客を引いている。芸事を磨くだけでなく、そういった苦労も重大な糧となっていっている中で、芸人だけが「立地が良くて安く借りれる施設」に安穏としていて良いのでしょうか?

例えば落語や講談の寄席なら、市内でも阿倍野西田辺に安く借りれるところがあるし、豊中には格安の公共施設もある、若手のお笑いライブでも東大阪や尼崎、新大阪といった場所に小屋を見つけて、集客の努力を重ねている人たちもいるんだから、「ワッハ上方」が無くなったら、演るところが無くなるなんてことはあり得ないし、「ワッハ上方」はNGKの向かい、baseよしもとと同じ建物、なんば駅から徒歩数分という恵まれた立地条件でないと、お客さんを集められないというのは甘えでしかない。
落語や講談の勉強会は、それなりの値段を取っているけど、公共施設で安く借りれるからということで、お笑いライブは無料や100円、200円の木戸賃のライブばかりになっているのも、僕はあまり良いことだとは思えなくなっています。特に先週、東京のライブ関係者や劇場施設関係者と多く触れ合う機会があったから、余計にそう思います。
大阪の若手芸人、インディーズ芸人はゆりかごから抜け出す日が来た、そういうチャンスであると考えてほしいです。

立地も質もいい舞台をどうしても維持したいのであれば、大阪府の他にも頼るべき相手がいる。それは吉本興業だ。

こういう意見は他にもあります。

吉本興業が買い取ったらどうなんだろう。「お笑い文化」なら、文化事業に参加したってかまやしない。
お笑い文化:イザ!

署名運動に参加していたお笑い芸人に売れている吉本関係者が見当たらなかったのが、このホールの存在感を象徴していると思う。
値上げしたらええやん…:イザ!

吉本興業ワッハ上方の関係については、次のリンク先記事を参考にしてください。

ワッハ上方の存続求めて要望書 - 歌季句気呼

この中でid:wakadoshiさんは、「総論賛成・各論反対」という見出しを掲げられていましたが、それは僕も全く同じです。「ワッハ上方の存続は大切」という総論には賛成でした。それが叶った以上、僕はこれ以上の要求を大阪府には出来ないです。

ワッハ上方を作った男たちワッハ上方を作った男たち
毛馬一三


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この本を読むと、物凄い情熱を持って「ワッハ上方」というものが作られた、高い理想と必要性で設立されたというのが分かります。でもいま何らかの利権とかエゴによって、府の財政に大きな負担になっている施設が運営されているとしたら、元の理想に立ち返るために変化があるのは良いことかなと思うようになっております。