エヴァンゲリスト考 : 殿下執務室2.0 β1

殿下よりもう少し昔話をすると、自分が競馬を始めた頃というのは、紙媒体だけで見ても井崎さんがまだまだ最前線でバリバリやっていて、田端さん、須田さん、山河さんなんかが若手ライターとして頭角を現してきて、中田潤さんや畠山さんなんかが別冊宝島の競馬読本シリーズのスターといって良い活躍もしていて、また週刊競馬ブック誌上では、良くも悪くもかなざわいっせい宇田川淳、後藤正俊といった人たちも大暴れしていて、競馬雑誌も沢山創刊されて、そのほとんどが廃刊になってるけど、「サラブレ」とか「競馬最強の法則」のように今に生き残っているものもあって、世間的にもオグリ世代に沢山入ってきた人たちが、結構そのまま残ったことで競馬のマスが大幅に広がっていた時期であり、ダビスタとかウイポみたいな競馬ゲーム、シルフィード以降の少年マンガ雑誌はどれか一冊は競馬漫画が連載しているという状況になり、目黒さんとか花岡さんとか岩田久美さんとかが競馬番組に出始めるという、凄い初心者競馬ファンがそのままずるずると填り込みやすいものは沢山あったなあと思うのです。
上に書いた事は五年ぐらい時代が前後しているものもあるような気がするけど、凄い沢山いた競馬ファンの多様化を受け入れる土壌が、競馬そのものだけでなく、競馬周辺というものにも沢山あったなあと思い返す事が出来る。殿下が話題にしている1999年ぐらいから、そういうものが薄くなったというのは、当時リアルタイムに感じるところもあったし、いま思い返してもあの時期は相当にターニングポイントだったと思います。
また話題になっているコアファン上がりのライターさんの責任という面では、やっぱり90年代前半にデビューしたり、若手の中心にいた人たちが、思ったほど競馬ライターとして出世していないというか、上がりの場所がなくなったというのが凄いあるなあと思っています。もっというと本来はもう中堅の上の方の世代と認識されても良さそうな人たちが、いまだになんか若手の振りして仕事しているのは気になるところです。
あとTTGならあの人(笑)とか、ホウヨウボーイを熱く語っていた畠山さんとか、シービー・ルドルフ世代なら別冊宝島ビンゴカンタを書きたがるライターが沢山いたとか、昔話をしたがる競馬ライターというのが90年代以降にライターにも編集者にも減ったというのはかなり痛いなあと思っています。これで90年代前半ぐらいの競馬というのが結構語られにくいエアポケットに入り込んでしまった感があるのと、この時期に一番コアだった世代の競馬ライターが出世しにくい状況になってしまった気がしています。一昔前なら例えばシャコーグレイドとかサムソンビッグとか、もっと頻繁に語られて、名前が残っていたんじゃないかなあ?