M-1グランプリ2005 3回戦大阪2日目

まず簡単に書けていなかった事前の予想からなんですが、既に結果が出ている所での後出しジャンケンは恥ずかしいので、僕が思っていた予想と結果で外れていたところだけ書くと、前日に18組の合格があったこと、また東京予選からだけでなく、前日の大阪初日からも追加合格がある可能性を示唆されたことで、この日の合格ラインは12組から14組が上限になるのではと思い、もし12組とかになった場合は単純に名前だけで選んでいっても大駒に合格の印が届かない恐れがあるとして、うめだ花月勢やbaseよしもとのお兄さんお姉さん格のコンビにも不合格者が出る可能性が充分にあるのではと感じていました。

昨日も書きましたが、ルミネを使う東京と比べて極めて劣悪環境で行われるNGKスタジオの三回戦、あんな所に700人近くも詰める「消防法って何ですか?」という会場の雰囲気は、完全にお笑いの劇場の雰囲気ではなく、まさに全ての芸人にとってアウェーという痺れる環境下でこの日も行われました。
しかし吉本が三回戦でもNGKスタジオを使い続けるのは、こういう無茶なことを出来るからじゃないでしょうか? ABCホールとかワッハホールではこんな無茶は出来ないし、NGKの本劇場だとこれより高い入場料で通常公演を行っているわけだから、予選には使いたくないでしょうし、だから来年も引き続きNGKホールが大阪の三回戦では使われるだろうなと思いましたが、この日の押しくらまんじゅう状態、11月も末だという押しくらまんじゅう状態で会場内が熱いという異様な状況はやっぱりアカンわ、もはや日本で一番人口密度が高いイベントはコミケではなく、大阪のM-1三回戦会場です。吉本は観念して来年は大阪IMPホールとかZepp Osakaとか大阪フェスティバルホールを借りてください。そこまでしないと絶対にもう無理です。フェスは2000人規模の劇場の上に、過去に演芸のコンサートの実績もあるからオススメしたいです。Zepp Osakaは「バッファロー吾郎の23時間半ライブ 〜再入場OKなんです。」の舞台にもなりましたし、そういう意味で過酷な長丁場のお笑いイベントにふさわしい会場です。まあNGKスタジオでやるのが、吉本的には一番金もかからんし、好き放題出来るから来年も続けそうですが。
この日も引き続き、大阪の普段の若手芸人主体の興行では考えられないぐらいに、男比率、大人比率の高い客層ではあったのですが、ただ前日に比べてbaseの常連と見られる若い女の方が多数入場されていていました。これは最新のランキングでbaseの常連客に人気の高い人たちが、NON STYLEだけが前日でしたが、この日の方にまだテレビで人気者になっていないbaseの常連客の人気者が集められた感があり、明らかにbase応援団がbaseよしもとの芸人に対して過剰反応を示していましたが、明らかに贔屓の引き倒しと言える、逆効果になっていたように感じました。
明らかにbaseの芸人の時にだけ、会場全体は静かなのに笑い声を上げている数人の若い女性客の笑い声だけが会場に響くというシーンが五組ほど見られましたが、これは明らかに審査員の心証を悪くしただろうなと思いました。僕がそう感じたコンビは結局全部落ちてしまいましたし、baseよしもと勢に関しては応援団の歓声を目立たないぐらい笑いを取るというのが一つのハードルになっていたような気がします。まあ一回戦とかではあからさまな松竹応援団がいたし、別にbaseの客に限ったことではないのですが、ただこの大事な三回戦で結果的にファンが一部の芸人の足を引っ張ったとも言えなくもないシーンがあったのは非常に残念でした。もっと残念なシーンが実はあったのですが、それはストリークの項で書きます。
えー昨日も書きましたが、今回は名前の後に漫才のテーマやタイトルを付けて、その後に合格のコンビにだけ“合格”と記して、感想というか論評のようなものを書いた上で、僕のその時に付けた個人採点を付けたいと思います。会場の客受けの大きさなども記してはいたのですが、これはどうもどこに座ってるかで印象が変わるらしいので、時々参考までに書くに留めたいと思います。実際に某所で会場の笑いの量を数値にしたものと一緒に書いたレポート見たのですが、僕の印象と全く違ってたので、会場の受け具合を出していくのは危険だなと思いました。NGKスタジオは劇場ではないから、会場の笑い声が全体に響かないのか、自分の周り半径1メートルとか2メートルの笑い声しか聞こえないみたい。
以上、注意書きは昨日と全く同じのを使い回しだ(笑)。

  • 第1ブロック

ソラシド 「三島由紀夫

相変わらず“三島”言うてるのに、漱石川端康成の小説がネタの主軸という、何度もこのダイアリーではこのネタについては指摘していますが、設定に矛盾がありまくるネタが始まったのですが、後半ほとんど終わりかけの所で、水口さんが「三島ちゃうやろ」とようやく言ってくれた(笑)、オチにも「三島由紀夫じゃなくて三船俊郎だった」というのが入って、設定の矛盾解消……という声もあるでしょうが、僕は元々のこのネタを知っているからかも知れませんが、かなり取って付けた感を強く持ちましたし、元々のネタを知らなくてもプロの審査員の目から見れば、その辺は感じるのではないかと思いました。
細かいことを言ってると言われるかも知れませんが、でも「メルボルンはオーストラリアの都市だから、中世ヨーロッパの設定で出てくるのはおかしい」と指摘されたり、カリカやはだか電球のネタを見て「本物の能を見たことがないだろう」と言わていることを考えると、“三島由紀夫”言うてるのに出てくる小説が『吾輩は猫である』だったり『雪国』だったりするのは、最後に取って付けたような帳尻あわせがあったところで矛盾が目立ちますよね、もっと言うとこの程度の帳尻付けたような改良ですら、ようやくこの時期になってやっと付けたというのはどうなんでしょうか、もっと早く気付かなかったんでしょうか? 正直この矛盾が改善されていなかった二回戦の際に合格させた審査員の中にいた作家は相当節穴だと思うよ、baseの女子中高生と同レベルやん。まあただやっと簡単にとはいえ改善もしてくれたし、トップバッターで出てきて客受けも良かったので、大甘の採点にします。3+

ポラロイドマガジン 「♪無理」

現役NSC生によるユニットトリオ、「♪無理〜」というブリッジを挟んで、色々な無理なことをリズムに乗せていったり、ショートコントを挟んでいくというネタ、ネタの内容も良かったし、ショートコントとリズムに乗せて言うバランスが絶妙で飽きのない感じが良かったです。例年のレベルなら普通に準決勝に進出していたレベルだと思います。M-1に向けて組んだユニットということで、このトリオとしての活動は今後ないらしいのが残念です。4

レイザーラモン 「ロメロスペシャル漫才」合格

ハードゲイの相方でーす」「下腹部からバナナを取り出す」というお約束から始まって、RG(リアルゲイ)のアピールになって、もう完全にこのコンビのボケとツッコミが逆転していることがよく分かりました。HGにツッコミさせる出渕さん恐るべしです。後半はお馴染みのプロレス漫才で、最後はロメロスペシャルを決めながらの漫才で、かけるにもテクニックがいるけど、それ以上にかけられる側のテクニックが重要な技が綺麗に決まっているのを見て、住谷さんだけでなく二人の技術の高さに改めて感動しました。今年のM-1を盛り上げてくれてありがとう、お疲れ様でしたと思っていた、何と合格してしまい、発表の時には会場から大ブーイングが起きました。審査員や司会者はブーイングの中で、「大人の事情を理解しろよ」という苦笑いをしていましたが、こんな劣悪な環境で客席も笑うことで演者や審査に影響を与えることで戦っているんだから、意思表明をするのは当然のことでしょう。これについてはまた後で書きます。2

HOFU 「保育園の誕生会」

現役保父コンビ、一回戦からずっとやっている保育園の毎月の誕生会のネタ、いくら子供の前でお遊戯的なことである意味、毎日のように舞台的なものはやっているとはいえ、素人がここまで高いレベルの技術と台本の漫才を、このトッププロばかりの三回戦で堂々とこなしてしまうのは凄いですね、大阪は凄いと言いますが、三回戦に残ったところだと、はじめてのおわらいK&Uは広島ですし、人生百年は福岡でしたし、大阪とか関係なく日本の文化的な素養の高さ、専門教育や舞台経験があるわけでもない人たちでも、このぐらいのことが出来てしまうというのは凄いと改めて感動しました。よくマンガ界で「絵の専門教育を受けたわけでもない人が、何故ここまで描けるのか」というような論評をされているのを見ますが、漫才界も全く同じ不思議です。
この日はHOFUとさんだあずというアマチュアコンビを基準にして、ここより面白いか面白くないかで判断することが出来たので、個人的な評価が凄い楽でしたし、baseよしもとや松竹、ケーエーのプロで落ちたところも、ほとんどがHOFUやさんだあずより下だったので納得という分かりやすい審査基準が提示されたようにも思いました。ある一組を除いてですけどね、まあそれは後でゆっくり書きますが、そこ以外でもレイザーラモンとHOFUを並んでみたときにレイザーラモンが上とは言えないよなあ。3+

ジャンクション 「実況中継」

オンエアバトルでもオンエアされていたので、東京の方も知ってると思われるネタでした。ジャンクションのネタでこれが一番良いネタなのは間違いないんですが、このレベルのネタというか、いかにもbaseでは受けそうなネタを持ってくるあたりが、現状のジャンクションの力の限界を見せてしまったように思います。下林さんが坊主姿で登場したときが一番沸いてましたね。3+

  • 第2ブロック

ビルドアップ 「ハンバーガーショップ

高校生コンビ、一回戦と二回戦で同じネタをやって、その際に技術の飛躍的な向上があり、今回の舞台にも期待をしていたのですが、三回戦になってネタを変えてきたのは良い挑戦だったんですが、流石にこのプロに囲まれた舞台でやるには、やり慣れていないネタを持って来るというのはあまり良くなかったと思いました。舞台経験を積んでいるネタで勝負してほしかったです。特に僕の真後ろにお祖母ちゃんだと言ってる人が座っていたので、余計に残念でした。二回戦の出来を考えると健闘は可能だったと思うだけに残念です。2+

突然パンチ 「チャーハン刑事→ニュースキャスター」

ケーエープロダクションのユニットトリオ、東京、大阪とここまでもっと売れていて漫才の経験も豊富な人たちによるユニットコンビが三回戦で残らず散っているんですから、流石に残れないですよね。2

ゼミナールキッチン 「ラーメン屋になりたい」合格

ラーメン屋になるためには、格好良いチャッチャが出来ないといけないと、相方に格好良いチャッチャを伝授するというネタ、“チャッチャ=茹でた麺の湯切り”ということなんですが、途中からマイチャッチャを舞台袖から持って来て、後半はアクセとして腰に吊すのも受けていましたし、ここまでレイザーラモンを入れても奇抜な設定の漫才というのが無かったので、非常に印象に強く残るネタになったと思います。さんだあずやHOFUがボーダーラインの理論でも充分に越えていたと思います。この日はbase勢が達者な素人の壁を越えられなかったのが多い中だったので、現在ゼミナールキッチンはオーディション組ですが、ビーサン復活のきっかけにもしてほしいです。でもM-1は審査基準が他とは違うとはいえ、ゼミナールキッチンが受かって、ソラシド、ジャンクション、ミサイルマンが落ちてるっていうのは、さすがにどうかと思いますが。3+

ミサイルマン 「気まずい瞬間」

ピザの最後の一枚が気まずいとか、宴会で先に帰れないとか、この日の最後のかわら長介の審査員コメントではないですが、本当にこれがこの人たちのやりたいことなのでしょうか? これでミサイルマンはオーケイ同様に五年連続三回戦敗退な訳ですが、今まで突破した壁を越えようとしている挑戦の舞台で、こういう安全圏から球を投げるようなネタをして壁を乗り越えられるわけないですよね、このままだと記録を伸ばし続けてしまいそうなので、何とかしてほしいです。3
なんかbase勢の三回戦での当落傾向を見ていると、テレビでも活躍している有名な人たちは全員合格していますが、若手芸人に詳しい人には有名で人気者だけど、テレビなどで一般的にはあまり知られていない人達が軒並み敗退したり苦戦している一方で、よほどbaseやワッハのインディーズイベントに通い詰めている人でない限り知られていないようなランクの人たちが何組も壁を突破しているというのが、今年のM-1におけるbase芸人についての一番の話題として取り上げるべき事ではないかと思います。その理由は分かるんだけど、あまりにもせつないから言いませんが、ママ・レンジのようにどっちが本業か分かんないような収入がある人たちは良いですが、これだけで食っていこうとしている人たちは、それだけでは食えないんだから小さい所で完成することには気を付けてほしいです。別にミサイルマンに対してはそう思わないんですが、確実に小さな村の長ぐらいで固まってしまった人はいるなと何組も感じました。本人の所では流石に書けなかったですが。別に他に食い扶持がある人たちなら、何の問題もないんですけどね。

  • 第3ステージ

ランチのジカン 「コンパを教える」

二回戦とも同じネタ、まあNSC生ということを考えれば巧いなと思いますが、ちょっとこの水準に入ると設定も個々のボケもベタ過ぎます。「コンパをやりたい」というテーマは、いまの若手漫才師がテーマにしすぎだとは常々僕もこのダイアリーで書いてきましたが、かわら長介が審査員コメントで言ってしまいました(笑)。まあこのM-1でもコンパネタ死ぬほど見せられたものとしては、今日や最近出入りするようになったインディーズイベントで何組か見ただけでそんなに怒るなよという気にもなりましたが、もっといっぱいいるんですよ(笑)。2+

はじめてのお笑いK&U 「おもちろい」

お父さんと4歳児のコンビの登場に、見たことある人、評判を聞いている人、始めて見る人、みんな大きな歓声で迎え入れて会場を沸かしてくれました。アマチュアNSCの人には何度も使っている表現ですが、ここも例年のM-1なら準決勝に残っていたのではと思います。改めてお父さんの台本制作、演技力、お子さんに台本を覚えさせた上に、単に覚えたものを言わせただけでない演技を付けたことなどの能力の高さに、改めて驚きました。4+
結果発表の際に、自分たちの名前が飛ばされた瞬間に、ゆーちゃんマンを連れて会場から即座に姿を消した親子の姿を多くの人が目撃しています。決して親子の想い出作りではない、本気の挑戦だったことを物語る姿勢は感動的であったと同時に、この本気の姿勢はアマチュアの鑑であり、多くのプロにも見習ってほしい姿勢でもありました。ピン芸人ユニットとかで一回戦や二回戦で敗退したにも関わらずヘラヘラしている奴とかいたからね、誰とは言わないですが。しかし今回はプロ経験もなければ、養成所に行ってるわけでもない完全な素人コンビの活躍が目立ちました。完全にアマチュアだけを対象にしたM-1の必要性を強く感じました。プロ経験者禁止というルールにしても、今回大阪の二回戦や三回戦を戦ったアマチュアの人たちの名前を挙げるだけで、相当レベルが高い大会になるのは容易に想像できますよ、つーか大会通じての「NTT西日本賞」みたいなアマチュアの一番を決める賞を作って、はじめてのお笑いK&Uに10万円ぐらい副賞の付けてやってくれないかなあ(笑)。

ヘッドライト 「ラブレターを省略する」合格

この日の注目の一つにはじめてのお笑いK&Uのすぐ後という最悪の出番順を引いてしまう不幸な人たちは誰か? というのも裏テーマとしてあって、出番順表を見せて貰ったときにはヘッドライトは不運だなあと思っていたのですが、登場して「子供の後は32歳のオッサンです」「老体にムチ打って頑張ります」と言って、完全に空気を自分たちのものに入れ替えてしまいました。
文章をどんどん省略していくという得意のネタでしたが、二回戦はスケジュールを省略していくというネタでしたが、変えていく前の最初の文がそんなに面白くなかったのと、省略を一段階しか出来なかったので、省略すればするほど面白い言葉が出来上がっていく一番のこのネタの魅力が出ていなくて、全体の持ち時間が三分しかないM-1の予選にはこのネタは向かないのかと思ったのですが、今回は最初のテキストが素晴らしかった上に、三分という持ち時間の上に、最初に前の出番の親子の作った空気を消すための時間を作らなくてはいけなかったにも関わらず、三度、四度と短くしていくのは素晴らしかったです。実は二度目ぐらいから、元の文章にはない単語、町田さんのツッコミ台詞がどんどん混ざっているんですが、そういうことは三周目ぐらいになってると見ている方もすっかりトリップ状態に持って行かれてるから、全く気にならないんですよね、ドモホルンリンクル最高でした(笑)。ここまでどちらかというと静かな立ち上がりだったので、ヘッドライトがこの日のトップ3、もしかしたら一番じゃないかというぐらい盛り上げてくれて、会場全体もようやく熱を帯びてきました。5
あと全然関係ないですが、コンビの対比という意味も込めて、町田さんはいつぞやのようにスーツ姿の舞台衣裳を続けるべきではないかと思いました。

マラドーナ 「校歌」合格

校歌を作るネタ、一気コールで来るかと思ったので意外でした。大阪の有名なものを校歌に入れろというので「野球が強いぞ、PL学園」と違う学校の名前が入るとか、「駅から10分、いや5分」といった下りは面白かったですが、決勝候補となると少し足りないものを感じました。ただコンスタントに準決勝までは今後も確実に届くポテンシャルは示しました。4+

ランディーズ 「若い子のコンパについていけない」合格

高井さんが坊主にして登場したんですが、ジャンクションの下林さんほどのリアクションがなかったのは、もうとっくに浸透していたからか、高井さんがそういうビジュアルを変えたからと言って騒がれる存在ではなくなったのとどっちでしょうか? 去年ぐらいから多い、自分たちをオッサンキャラとして立てていくネタで、「琴欧州ゲーム」や「新しい一気コール」といったネタをやっていました。マラドーナと一気コールで被らなくて良かったですねえ(笑)。面白いと言えば面白いんですが、後半どんどん尻すぼみになっていったし、お客さんの笑い声も後半になればなるほど低くなっていったのは、ネタそのものが低下したというのもありますが、今年ラストチャンスの年の三回戦で、ランディーズともあろう者達が、この程度しかやれないのかということの失望感は絶対にあったと思います。正直、昨日のビッキーズ以上に三回戦では落ちないけど、準決勝で勝てないというのを強く印象付けられる結果になってしまいました。島田紳助M-1を作った直接のきっかけというのは、多分この世代を救済してやりたいという思いがあったと思っているんですが、二年目とか三年目の段階であっという間にこれより更に下の世代が伸びてきてしまったんですよね、M-1があと二年とか三年早く始まっていたらどうなっていたか分からないと思うと、かつてのアイドル漫才師の栄光を思うと切ないです。ランディーズと思わなければ5-、だけど彼らはランディーズだから次の通りです。「(30歳になってから)コーラが辛い」のツカミは良かった。4-

  • 第4ブロック

チーム有酸素運動ラララライ体操

去年はエージェントとして準決勝まで行った田崎ソムリエ佑一が、ピン芸人藤原トキと組んだユニットではなく、今後も正式にコンビとしてやっていくらしい、エアロビ漫才とでも言うべきなのでしょうか、「視力検査でエクササイズ」「バケツリレーでエクササイズ」「クワガタvsカブト虫」あたりが好きでした。ただ総合するとそれほどでもないと思ったのですが、何となく審査員というのは、こういうのを好んで勝たせるものだという偏見があったので(笑)、こことジャルジャルはどっちか残るんじゃないかなと思っていたんですが、流石にそういう甘いことはありませんでした。3+

フロントストーリー 「喫茶店にいる野球部を辞めようとしている部員を引き止める」

いまやNON STYLE田中・上阪と並んでbaseよしもとビーイチバトルの三本柱となっているフロントストーリーですが、生き残りのためにとにかくbaseで支持されるネタを量産している段階ですから、M-1グランプリの立ち位置の特殊性というのは、東京の事情は分からないですが、大阪に関しては完全にお笑いというのが、若い女の子の趣味になっていて、完全に女子供のものなんですよね、大人の客なんていうのは若手から中堅ぐらいが出ている劇場ではほとんどいない、いたとしたらそれはその人も芸人志望か、僕みたいにこういうネットで色々書いてるような奴のどっちか、それ以外なら大抵ちょっと変わった人ばかりですから、そういう普段、女子供相手にしかやっていない人たちが、審査員も観客も大人という所に突然放り込まれる、それもNGKのように地方からのお年寄りの観光客ではなく、お笑いに関して一言ありますよという連中ですから、普段やっている環境と全然違う厳しい環境になるわけで、それを言えば関西にある放送局主催の賞レースもそうじゃないかと言われそうですが、テレビ局の賞レースなどの場合は大きな事務所の人たちは、事務所毎の枠があるから事前に若い女の子以外では通用しない人は予選に行く前に選出されていますからね、そういう所でM-1というのは、baseでしか通用しない漫才と、base以外でも通用する漫才、baseでは通用しないけど、外では通用する漫才というのが、はっきりとあるのが分かりますね、フロさんはこの結果を受けて、どっちの方向に進んでいくのか楽しみにしたいです。3+

田中・上阪 「回転寿司」

一回戦を見て『これは今年の“麒麟枠”は決まり!!』と思わせてくれた田中・上阪でしたが、田中・上阪は大舞台になると緊張して自滅するということは聞いてはいたのですが、二回戦、三回戦とステージが上がるにつれて、舞台に精細がないように感じられたのは確かでした。一回戦であれだけ受けたんだから、そのイメージを引きずるためにも、緊張を隠せないのなら一回戦と同じネタを持って来るという判断もあったんじゃないかと思いました。このネタ自体は新ネタライブで披露したときも見てるし、他の賞レースなどでも使っている良いネタなのは分かりますが、M-1の持ち時間、会場の雰囲気的に向いてるネタじゃないですよね、ツカミで引っ張ることが出来る「ピザ屋」で押し通すべきだったと思います。4-

四次元ナイフ 「世の中がおかしい」

電車でハゲが並んで笑われたとか、漫才師にも煙草のように注意書きがされたらとか、妹の結婚式に呼ばれなかったとか、ちょっと話題が横断しすぎで、これというテーマがなく進む漫才はこういう勝負の場では厳しい。3

  • 第5ブロック

さんだあずNHKやろ」合格

ABCとNHKのディレクターのコンビ、NHKのディレクターの方がNHKの社員であることを否定するけど、いちいち発言がNHKの番組になっていたり、企業名が言えなかったり、受信料に過剰に反応したりして、ABCのディレクターに「NHKやろ」とツッコミ続けるというネタで技術的にプロとは全く遜色がないのは、裏方とはいえ業界人ですから舞台度胸はあるにしても、喋りの技術がしっかりしているのは本当に不思議です。ここは完全にこれより上は通る、下は落ちるというボーダーになり得ると思ってその後見ましたが、やはり合格しましたね、テレビ中継のある敗者復活戦にNHKのディレクターは果たして出演できるのか楽しみにしたいです。3+

ロデオボックス 「学級会」

高須さん噛み過ぎです。もうそれで全てが終わっていたのですが、ネタも飛ばしていたような気がするし、どうもこのネタの元々の部分にはテレビ的に絶対NGだろというパートがあったのですが、そこを削って入れた新しいところが面白くない上に、お二人の身体にも全く入っていないようで、勿体ないとしか言えないです。3-

難波横山 「乳首って10回言って」

お願いしといてなかなか言わせないという奴でした。またどっちにしろ無理だと思いますが、これなら「香の物」をやった方が良かったですね。2+

ジャルジャル 「ミュージカル:森でオオカミに襲われる」

登場から完全にコントとしてスタートですが、掛け合いなどが元々の形より多くて、漫才であることを意識したのでしょうか? 気にせずに割り切ってやって欲しかったなあ、まあここは来年のABCお笑い新人グランプリの方に期待です。5

にのうらご 「動物ドキュメント番組のナレーション」 合格

二回戦最大のヒーローだったにのうらごが登場ですが、にのうらごと見ても普通だったので、二回戦の貯金が物をいったということがあるかも知れないです。NGKのメインホールで「目覚まし時計」やって、あれだけの爆笑を取れるかどうかは分かりませんが、期待したいところです。4-

  • 第6ブロック

FUN×2 「どっちがエラいか勝負で決めよう」

片方が金の卵オーディションで吉本新喜劇に入った人の女性コンビ、二回戦の合格が心の底から不思議でしたが、案の定に大外ししていました。政治的判断とはいえ、ここまで外すとこうやって書かれる世の中になったわけだから、こういう政治判断というのはなるべく止めといた方が良いでしょうね。1-

span! 「子供番組の体操のお兄さんになりたい」

水本さんがやりたいといって、マコトさんが怖い顔でと色々と茶化していくネタ、このコンビはこういうボケとツッコミがどっちか定まっていないネタの方が良いですね、水本さんが「お前がかわいさでなんとかいけ」みたいに言ってたのは、このネタの設定だけでなく、このコンビ自体のことに置き換えて感じ取ってしまいました(笑)。まあでもこのネタで大歓迎してくれるのは、span!のファンだけですよね。3

日刊ナンセンス 「ショートコントを試したい」

「自分たちの作ったネタが面白いかどうか分からないから試させてください」といって「日刊ショートコント」というショートコントを始めて、受け具合に応じて「やや受けるショートコント」とか「お蔵入りショートコント」とか「思ったより受けるショートコント」というのをメロディとダンスに乗せてブリッジにするというネタで、後半で結構笑いが起きたネタをお蔵入りにしたり、滑ったネタを「バカ受け」といったりするという流れで、今回は例年より変則的なネタのコンビが準決勝にあんまり残っていないので、ここが残っていたら目立ったろうになと思うのが残念です。一緒に見ていた友人が言っていたように、大ウケしたのをお蔵入りにするというボケの部分のショートコントがややウケに止まっていたのがもったいなかったです。4+

ブラックマヨネーズ 「車を買いたい」合格

昨日のダイアリーに「うめだ花月組で決勝の可能性があるのは、チュートリアルりあるキッズだけ」ということを書きましたが、ここの名前を出して反発する人はいるだろうなと思いながら書きました。いや確かにポテンシャル的にブラマヨは充分に決勝進出の可能性がある人たちなんですよ、それは間違いない。ただこのコンビのこれまでの大舞台での失敗を見てきてますからね、ポテンシャルはあるけども無理というのが残念ながら正直な感想です。この日も「車を買う」というテーマの漫才でオチが「火の車」はないよなあと思いません?(笑) ベテランさんじゃないんだから、若手日本一漫才決定戦の予選で、決勝の有力候補とファンは現実的に見ているコンビのやるネタじゃないでしょ? 正直、絶好の調子で「18歳の彼女とデート」のネタを準決勝でやったら、他の出来次第では充分に可能性はあると思います。だからこそ何かいかにも三回戦ボーイみたいな漫才に終始してしまったのは残念です。正直、ブラマヨとかビッキーズは一回ぐらいは目を覚まさすためにも、この辺で落としておいた方が良いと思いますよ、マジで。3+

  • 第7ブロック

この間に約20分の休憩を挟んでいます。途中入場は三回戦からは出来なくなっているので、ほぼトイレタイムではあるのですが、流石に皆さん心得ていて、みんなコンビニで食料を補給して持参してきていました(笑)。

大脇里村ゼミナール 「オタクと無人島」

てっきり「オタク・ビフォーアフター」を持って来たと僕も思っていたし、この日の後の集まりで会ったお笑いマニアの人も、大脇里村は「オタク・ビフォーアフター」をやったものとばっかり思っていたように、このネタを漫才にして持ってくるとは思いませんでした。この週の23日に大脇里村の主催イベント「笑いのシンポジウム」の第2回があって、僕は正直M-1に向けた最終調整に使ってくると思っていたんですが、そこでもコントの「大阪メイド学院」をやっていたので、もう既に覚悟を決めていたのか、それともまだ考えているのかよく分からなかったのですが、正直どうだったんでしょうねえ、正直まったくポテンシャルを発揮できなかった残念という思いでいっぱいです。天津とは奇しくも二回戦も三回戦も同じ日になってしまい、オタク漫才師として引導を渡すどころか、返り討ちにあってしまった印象ですが、キャリアが全然違うから心配はないとはいえ、ちょっと残念な結果になってしまいました。
ただこれで目標に邁進しているうちは言わないでおこうと思っていたことも言えるんですが、別にこれは大脇里村に限らずオタクネタをやっているところ全部に、天津にも言えることなんですが、余りにも世間のイメージ、パブリックイメージのオタク像を出してきて、それを気持ち悪がるという風に持って行きすぎではないでしょうか? はっきりいって、実際にオタクの人が見たときに「そんな奴いねえよ」と言われて、一方でオタクじゃない人にとってはオタクの世界なんていうのは興味がない次元のことなんですよね、結局、底の底の部分でオタクの人もオタクじゃない人にも振り向いてもらえないネタを、オタク漫才やっている人たちはやってると思う、これは大脇里村ゼミナールに限らず、今回のM-1でオタクネタをやっていた人たち全員に言えることだと思います。
何故もっとリアルな、例えば学校のクラスに一人は必ずいたオタクの子をリアルに演らないのか、僕の友人が「とんねるずのモノマネでやっていた、モー娘。のファンのモノマネ」を比喩に出していましたが、というかそれをやった人は今年のM-1で準決勝に進出しているんですが、そういうリアリティは残念ながら今回のM-1のオタク漫才師には一組もいなかった。
あと、オタクネタなんていう、深く突き詰めていけば一般の人には分からないネタを選択して、分からなくても良い、元ネタが分からなくても面白いことを見せれる漫才をするという気合は分かるんですが、それなのになんで題材が本当にオタクの人が見たときに、上辺だけと思えてしまう題材で止まってしまうんでしょうか、どうせ一般の人から見たら、オタク界での濃浅なんていうのは、誤差の範囲ですらもないんだから、MADテープだレトロプラモやC級特撮、トンデモ本をいきなりやれとは流石に思わないけど、もっとオタクから見ても分かってると思える題材を持って来ても良いんじゃないでしょうか、ネットゲーやエロゲーTRPG、つーかOVAとかアニラジみたいなものですら扱っている人いないですもんね、例えばストリークや青空、解散したチャイルドマシーンの野球ネタを思い返せば、決して万人が分かる元ネタばかりをチョイスしてはいないというのは、容易に分かるわけで、それは野球であろうがオタクであろうが変わらないと思います。
あともう一方で、僕は今回のM-1予選の中で最も印象的だったオタクネタはオーケイの小島さんがメイド喫茶に最近はまっているというネタでした。天津が単独ライブでやった木村さんと向さんの中身が入れ替わるというネタでも感じましたが、いわゆるオタクのビジュアルの人よりも、一見普通だったりイケメン風の人の方がオタクっぽいことを言った方が生々しくて面白いというのは証明されてしまっているんですよね、だから天津にしても大脇里村にしても、木村さんや大脇さんが浅いことを言っていて向さんや里村さんがツッコムとか、逆に木村さんや大脇さんの方が濃いことを言うみたいな展開はもっとあっても良いんじゃないかなと思いました。やっぱりこの分野はまだまだ始まったばかりだから、これからいくらでも開拓していける所だと思うので、大脇里村ゼミナールには後発の強みとしてどんどん新しい分野を切り開いてもらいたいです。3

スマイル 「略語」

吉高くんが言葉を知らなすぎるという入りから、“FBI→普通にバイトが忙しい”といったネタを連発するんですが、これってネタ自体が嘉門達夫さんがラジオのワンコーナーでやってたのと同じネタだし、現在のスマイルもこれはメインに違うネタがあるときに、くすぐりの一つとしてやるようなネタなわけで、それを今更メインネタとして持ってこられてもと思うし、このネタの作り自体がスマイルが去年のキラーネタである「水戸黄門」を作る前までのパターンだったわけで、ここに来てこんな旧作に頼って来るというのは、やっぱり現状の自分たちに自信が持てない証拠なんでしょうかね、今回知り合いの芸人さんにも、昔のネタに頼るのは今の自分に自信がない証拠、すなわちスランプであるということが示唆されましたが、スマイルの今回の舞台はまさに象徴的でした。3+

チキチキジョニー 「ガソリンスタンド風喫茶店

松竹の女性コンビ、「水ぐらい自分の力ではじくわ」は二回戦に続けて爆笑でしたが、こういう「喫茶店やってみよう」というのが多すぎて埋没してしまったように思いました。3+

トライアングル 「手に忘れてはいけないことをメモする」

「戦争の残酷さ」「九九」「新しい相方を今日中に探す」などをメモしていく、会場の笑い声やネタの出来など見ても、これはギリギリでいけたかも知れないと思ったのですが、松竹からは安田大サーカスなすなかにしオジンオズボーンの三組となりました。4-

レギュラー 「新人ニュースキャスター」

「チャンスですから」と連発する、今年のNHK上方漫才コンテストを受賞した時の漫才で、確実に勝ち上がりました。ただここも永遠のセミファイナリストかなあと思いました。あるある探検隊が大阪で一番旬だった頃に、M-1向けにチューンしていたら可能性はあったかなあ、でもここは今更M-1に出なくても別に良いんですよね。5-

  • 第8ブロック

ビタミンS 「老けたい」

兄妹コンビ、これに「へー」という反応が出るぐらい、baseとは違う客層なんだなと実感しました。お兄ちゃんの方が、早く老けて孫にたかられたいとかいうネタで悪くはなかったんですが、なにかが足りない気がしました。この辺が見えない格の差なんでしょうか、なんか改めて言うのも変ですが、男女コンビで男の方がボケというのは珍しいなあとか色々思いました。ここはM-1よりも年明けのABCお笑い新人グランプリの方がいまは狙い所にしても良さそう。4-寄りの3+

キッチン 「マクドでバイト」

なんでここが二回戦合格したか分からなかったので、当然の結果。一番ダメじゃなかったのが救い。1+

スーパーZ 「羊が一匹」合格

夜寝れないから羊を数えるネタ、二回戦ほどの盛り上がりはありませんでしたが、安心して見れました。山羊の下りは、どんな客層でも最初気付かなくてツッコミで気付かさせられて盛り上がる。4+

ストリーク 「子供の好きなもの」合格

アニメの主題歌に野球選手の名前を替え歌にして唄ったり、泣いてる子供をあやすとして、山田さんの野球選手の形態模写で、はっきりいって流していたと言って良い内容だったのですが、ストリークはもはや六分ぐらいの仕上がりでやっても、お客さんを充分に満足させることが出来るということを、本人達が一番分かっているのが凄い、あんなに苦節長かった人たちで、去年の今頃には解散するしないみたいなこと考えていたとは思えないです。いまの自分たちに追い風が吹いていることも、きちんと自覚しているのも分かって、素晴らしかったです。ただそういう内容だったので準決勝突破できるかという判断は全く出来ませんでした(笑)。ただポテンシャルがファイナリストになれるだけのものがあるというのは確認しました。4
少し嫌な話をしますが、ストリークのネタの真っ最中に、会場の真ん中ぐらいにいる二人組の女客が、急に立ち上がって帰り始めたんですよ、先ほどから言ってるように、会場はすし詰め状態で通路も確保されていない状態だったため、真ん中ぐらいの人が人を選り分けて帰っていくのが物凄く目立ちました。ストリークの出番が終わったら、そういう立ち上がっても良い中田なおきの時間になるんだから、あと一分ぐらい我慢しろよとか、急いで帰らないといけないんだったら、このブロックが始まる前の所で帰れば良かったのにと、その時も腹立ったし、終わってから仲間内で話をしたときも腹が立つと話していたのですが、家に帰ってから気付いたのですが、あいつらワザとストリークに対する嫌がらせでやったんじゃないでしょうか? だって目的の人が終わったというのなら、もっと早く帰ればいいわけだし、ネタ時間が三分でもう半分ぐらい経ってるのは誰でも分かるんだから、あと一分ぐらい待てばいいわけだし、このブロックに他に見たい人がいたから、それが終わったから帰ったという可能性は、このブロックの他がビタミンS、キッチン、スーパーZというの考えると、まずないと思うし(笑)、ということであれはアンチの嫌がらせと断定します。そうじゃなかったら、あんな会場全体から目立つところで、ストリークのお二人から見ても最も目立つ場所で立ち上がって人混みを抜けていくというのは不自然でしょう。嫌がらせでワザとという風に考えるのが一番合理的という嫌な話でした。

  • 第9ブロック

金時 「名前を変えたい」

名前を“みつお”に変えたいというネタ、baseで見たときに比べて、“みつお”という名前をダサイ名前というツッコミはかなり押さえていて、むしろ“みつお”なんて普通の名前に変えたいなんてダサイというのより、“みつお”になりたいという気持ちを前面に出していて、これなら本物の“みつお”さんの観賞にも耐えられるように思いました。ようやっと場所を選ばずにこのネタが出来るようになったのは良かったです。“男男”と書いて“ダンダン”“おお”とか“女女”と書いて“Kiroro”と読ますは爆笑しました。なんとかビーイチに止まっている彼らですが、流石にここではこれまででしたが、鎌鼬天竺鼠が合格しているだけに、ここも合格したかったところです。でもこの二組とは現時点での差はありましたね。4-

天竺鼠 「栃木」合格

で、その天竺鼠ですが、一回戦からずっとやってる、まあ漫才ネタはこれしか良いのがないというのもあるんでしょうが、今日の上位五組、もしかしたら三組に入る素晴らしい盛り上がりを演出しました。「裏で言え〜」「最寄りの駅でしばく」「青い固まりがウロチョロしているやつ」「どこでもドアで“栃木”に行きたい」「ショートコント栃木!!」「洗濯ばさみでなんとかして殺す」全てのポイントで大爆笑を取って、最後の邪道的なオチの部分も見事にお客さんを攫っていきました。ただ自分たちでもネタにしていましたが、このオチがどう判断されるかというのはあるんですが、かなりファイナリストの有力候補として名乗りを挙げたのではないでしょうか? 大阪からの“麒麟枠”は天竺鼠鎌鼬が有力候補だと思われます。4-

青空 「学生時代に戻りたい」合格

学生時代に休んだらパンを持って来てくれるとか、合唱コンクールとか、最近よくやっているネタの中で、学校絡みの良いところを巧くコンポしたネタでした。でもここは勿体ないなと思うんですよね、正直言って夏前ぐらいには決勝にいってもおかしくない出来だったし、アジアンより可能性があるんじゃないかと思わせる出来だったし、知り合いの芸人さんともストリークと比べても野球ネタのチョイスが巧いという話をしていたんですが、やっぱり漫才師ってピークの時期って持続できないんですよね、夏前ぐらいに調子が良かったコンビが、結構軒並みトーンダウンしているし、本当に賞レースの漫才ってスポーツと同じで、調子の浮き沈みというのが結果に直結するもんですね、何か最近の青空はビーニバトルビーサンバトルでも、かなり今更それ? みたいなネタをやっているようですし、それでビーサンバトルは元々の実力差で勝っても、ビーニでは苦戦が続いているようですが、何か秋ぐらいから野球ネタを抑え気味になってからこっち、どこに向かってやってるのか、どの対象に向けてやっているのかが、全く分からないんですよね。
だってネタの題材として女子校の話題なんていうのは、もっと若い内にやるネタで、27の大人の女の人がやる題材じゃないと僕は思うし、秋口ぐらいの野球ネタを抑え始めたときは、はてなダイアリーとかでビーニのレポとか読んでも見に行った人には評判良いんですが、僕はそういうネタは今は良いけど先々に続かない気が凄くしていたんですよね、これは海原さおり・しおり、ハイヒール、非常階段、海原やすよ・ともこと言った、先輩女流漫才師全てに言えることだと思うのですが、女漫才師というのは大人の漫才師になっていく過程として、主婦として母親としてだったり、女性の自立だったり、色恋の話だったりと、大人の女性の生き様みたいなものを表現するようになって、それが出来る人たちだけが残っている中で、青空は野球とかアイドルとかをインターフェースにして、“大人の女が趣味に生きる”という形で、大人の女の漫才をしていくことを期待していたので、なんか最近の迷走っぷりは残念です。野球云々はここに関しては単なるインターフェースなんですよね。本当に夏前ぐらいの絶好調時があっただけにもったいないと思います。baseの女子中高生に向けてもう少しやっていくにしても、大人のお姉さんとして憧れられるような存在を目指すとか、色々とやり方はあると思うんですが、正直いまの青空はどこに向かって漫才をしているのかがよく分かんないです。男なのか女なのか、若い人になのか、大人の客になのか分からないのが残念です。4-

ロザン 「宇治原さんの賢いアピール」合格

僕は時間がなくて書けなかったこの日の予想をもし書けていたら、合格のラインが12組とかになったらロザンあたりがはじかれる可能性があるというようなことを書こうとしていたし、二回戦なんかは東京の基準だったら落とされても不思議じゃない出来だったので、全く期待してみていませんでしたが、いやー意地を見せたじゃないですね、明らかにロザンは勝負をかけてきましたね、大博打を打って勝ちました、素晴らしい舞台でした。
まず宇治原さんと菅さんのキャラクターがいかんなく発揮されていたということ、宇治原さんは駅のホームとかで電車待ってると「このホームにいる中でオレが一番賢いな」とか一人考えているような人らしいし、菅ちゃんは菅ちゃんで凄いいい加減な人らしいのですが、その辺がダイレクトにネタに反映されてるのは、これまであんまり無かったのですが、まず宇治原さんが「京大出ているからオレは賢い、そういうのをもっとアピールしたい、芸人なったときも“ロザンの賢い方”と言われると思ってたのに、“ロザンのぶさいくな方”って言われている納得できない」と声高に主張して、菅さんが「クイズを出すから賢く答えて……」みたいな振りを拒絶して、「とにかくオレが賢いことを言うから、お前は“すごいやん”とだけ言っとけ」といって、もうこのあたりでこれまでロザンが築き上げていったスマートでスタイリッシュなロザンのスタイルが音を立ててガラガラと崩れていって、全く新しいロザンのスタイルが浮かびあがってきました。
その後で菅さんが良いタイミングで「すごいやん」と言えない展開から、宇治原さんが菅さんがダメだと言うことでキレまくり、最後は一分以上宇治原さんが菅さんに対して延々とただただキレているだけという凄いネタでした。もうこの日完全に一番の爆笑で、正直どんなオチだったかよく覚えてないぐらいに、途中でトリップ状態にさせられました。
ただこうやってテキストや言葉にしたら分かるのですが、これって完全にとろサーモンのシカト漫才の久保田さんが逆ギレするヴァージョンそのまんまとも言えるんですよね、それに前半に千鳥や笑い飯的な展開が入るというもので、パクリと言われても仕方のない台本ではあると思うのですが、でもこれを現場で見た人なら違うというのは分かると思うんです。
というか例えパクリだったとしても、ロザンの方が見せ方の巧さの次元が違うというか、とろサーモンのシカト漫才、特に久保田さんが逆ギレする方に関しては、玄人受けはする一方で、あれの意図とかが巧いことお客さんに伝わっていないと思うんですが、やっぱりロザンはその辺流石というか、とろサーモンと違ってきちんとお客さんに意図が伝わっていますね、しかしここに来てロザンがこんなに大きくスタイルを崩して、新しいものを持ってくるとは思わなかったので、良い意味で物凄いショックを受けました。ロザンがここに来て自分たちのこれまでを壊して新しいロザンを出してきたのは素晴らしかったです。ただ強いて言うならば、この変化をやらないといけないというのに、もう一年、二年早く気付いて欲しかったような気はします。少し遅かったような気は同時にしました。
しかしロザンは確実に末席ではあっても、ファイナリスト候補に大きく名乗りを挙げたといって良いでしょう。有力候補が準決勝で一組、二組失敗すれば順番は確実に回ってくる位置にまで、ロザンは復活しました。あれをパクリでしかないと見たら、2+とかでも良いんでしょうが、僕は全く違うと取りました。ロザンのキャラクター、テクニックの全てが今までのスタイルでは出なかったものが全て出すことが出来ていました。5+

  • 第10ブロック

変ホ長調 「負け組」合格

R-1ぐらんぷり2005で素人ながら準決勝にいったO・D・Aさんが、似たような人を連れてきた漫才コンビ、まずここの奇跡はこの二人が友達でここに出てきたことの巡り会いの奇跡も感じるのですが、「矢田亜希子の壁」はやっぱり面白かったし、「将来の夢と目標」のネタも素晴らしかったです。いやでもそんなつもりはなかったんですが、青空の所で書いた大人の女流漫才師のあるべき形というのを、M-1に出ている女流漫才師で唯一実現していたのが、ここだけだったんじゃないでしょうか? というよりさおり・しおり、ハイヒール以降の女流漫才コンビが、みんながみんな同じようなスタイルで、みんな似通った口調で同じような題材とスタイルの漫才をしている中で、このコンビのオリジナリティは素晴らしいです。イー☆リャンもオリジナリティあったけど、ここを見るとイー☆リャンはオリジナリティしかなかったとも言えると思えました。
やっぱりここを見るとアジアンや青空、(三回戦で敗退したけど)クワバタオハラ、その他大勢といった人たちが、変ホ長調を差し置いてファイナルに進出するなんてことは許されないと思いましたね、ここを見ると女流漫才というジャンルが、これまで似たり寄ったりの人たちばかりだったんだと、滑舌の良い早口で相方の肉体的な欠点や性格的な欠点をを非難し合うというようなスタイルが判で押したように量産されてきた歴史そのものが、この人たちが女性コンビ最初のファイナリストになることで、否定されるべきだと思いました。青空とクワバタオハラは抜け出すきっかけまでは掴んでいた時期あったのに、自分から手を離してしまったし、Dr.ハインリッヒは自分たちの笑って欲しいところをきちんと伝えるという能力が足りて無さ過ぎだから、やっぱり変ホ長調こそ女性コンビ初のファイナリストの期待をされるべきだと存在だと思いました。ハリセンボンが道を間違えずに成長すれば可能性はあると思うんですが、何となく間違えそうな気がする(笑)。
ということで、今年は流石に無理だと思いますが、このコンビは続けていればファイナルに出てくるんじゃないですか、コンビのタイプ的にプロにスカウトされることもないような気がするので、初の女性コンビの上に初のアマチュアコンビとしてここがファイナリストとして数年の内に出てくるのではないでしょうか?
正直、アジアンや青空やクワバタオハラが出てくるとか、イー☆リャンDr.ハインリッヒぐらいで盛り上がっていたお笑いファンは、自分も含めてみんな猛反省するべきだと思いましたし、今まで同じような女流漫才コンビを出してきたプロの芸能界に猛省を促すためにも、M-1初の女性ファイナリストは変ホ長調でお願いします。5-

ママ・レンジ 「お兄ちゃんがウザイ、イタイ、ムカつく」

前から思ってたんですが、「似てない兄弟でやってます」というお馴染みの入りですが、最近この二人似てきたと思うので違和感がありまくるんですが(笑)、僕はママ・レンジはファイナリストになるとは思わないけど、それなりにもっと力があると思うんですが、個々のボケとか展開があまりにも古臭すぎで、このままだとズルズルと三回戦に壁があるコンビで定着してしまうでしょう。
これは完全にママ・レンジに限らず、二回戦や三回戦で敗退した多くのbase芸人に言えることですが、baseよしもとのお客さんの物凄い偏った客層の偏った好みのお客さんを前にして、毎月のように観客投票で序列が決まるみたいなバトルをやっているので、本来の自分たちの一番面白いネタの選択とか、base以外の所では違う要素を出すときに、どういう要素を出すかというのが、はっきりと訳分かんなくなってるコンビが多くいて、ママ・レンジは結構この二日間で一番それが顕著だったと思います。NON STYLEとか今年乗り越えれたコンビもいましたが、やっぱりbaseという独特の序列があるところに慣れた人は色々と難しいですね。
しかしママ・レンジに関してはbaseよしもとに拘る必要がもうあるのかなという気もしていて、これはアメディオにも言えるとですが、経営しているお店で充分に生活できる収入を得ているんですし、年齢的にもキャリア的にも一昔前なら決断しなくてはいけない立場だと思うのですが、吉本は基本的に自分から肩を叩かない方向になっていますし、別に芸人で無理して売れなくても食っていける収入がある一方で、ママ・レンジはまだ単独とかやったら動員出来るだけのファンがいるのに、いまのbaseよしもとのシステムでは単独イベント等が打てない立場というのはもったいないですよね、baseに拘って自分たちを形成する機会を失うのは勿体ない一方で、吉本の若手劇場に拘らなくても収入的な心配はないんですから、お店の経営を本業としながら、ママ・レンジとしてもっと単独公演とかイベントなどを縛りが無く出来るようにしていっても良いんじゃないでしょうか? これは決して「敗走」ではなく、「戦略的撤退」だと思うのですが、岡田斗司夫の『プチクリ』でも読んでみてはどうでしょうか?
とりあえず、王道的なステップで売れなくてはいけないという思いこみは間違いだし、その王道的なステップは、吉本興業が直営する若手芸人用の劇場だけだというのは、吉本が作った幻想だということに、千日前をたむろしている人たちは気付かないと、大阪のお笑いの層の厚さとかバリエーションの豊かさというのは、どんどん失われていきますよ、芸人の成功の方法なんて決して一つじゃないのに、いま一つしかないような空気が大阪の若手お笑い界には蔓延しすぎです。baseよしもとしか実質大阪のお笑い界において登龍門がないというのは、はっきりいって芸人さんとお客さんが共犯関係で作っている悪い流れですから、何とかして誰が断ち切ってほしいのですが、もちろんそういう人が現れたときには僕もお客さんとして共に戦いたいです。別に吉本を出ても出来るし、吉本の中にいても出来ることだとは思うんですけどね……。
ということでママ・レンジはちょっと大きな曲がり角に差し掛かっていると思いました。3

プラスマイナス 「牛丼屋でバイト」

なんか最近お笑いのことを書くとbaseよしもとの悪口ばかりになっているのが、自分でも嫌になるんですが、前半は少しそういう話です。プラスマイナスについて、大阪以外の人で、いやbaseよしもとを見に来ていないで、「10カラット」や「爆笑オンエアバトル」でしかプラスマイナスを知らない人には考えられないことでしょうが、彼らが常時出ている劇場・baseよしもとにおいて、彼らは一定数のアンチがいるという状況で毎月のバトルを戦っています。だから「オンエアバトル」や「10カラット」のお客さん投票で一位を叩き出しているのにも関わらず、彼らがビーニバトルで全く勝ち上がらないのはそういうことなんですよね、開演前と後に「次こそ○○は落としたい」と大声で語る人がいるロビー、演目が始まる前から誰に投票する、誰に投票しないというのが決まっている人たち、一部の芸人さんの出番になったら下を向き耳を塞ぐ人たちがいる中で行われる観客投票の順位に一体どれだけの意味があるのかは推して量るべきでしょう。
プラスマイナスに対するアンチというのは、そのほとんどが「出始めの頃にお客さんに媚びる姿勢が見苦しかった」とかいうような、非常に頭の悪い、アホ過ぎる理由らしいので、僕としてはそんなアホどもに潰される前に早く逃げ出して、自分たちを一位にしてくれる東京のお客の元に行くべきと思うのですが、それとは別にまとな意見として、「あのプラスマイナスのスタイルは2丁目劇場時代から色々なコンビがやっていた手垢の付いたスタイルだ」というのがあります。
またプラスマイナスのネタは台本なんていうものがあってないようなもので、キャラクター勝負というところがあるので、そういうキャラクターの造形というのが、過去に良くある形だというのは、彼らが受けるのは彼らの手柄ではないとか、旧態依然とした漫才として新しくないものと判断する気持ちは理解できたし、僕も少しそうかなと思っていたんですが、でも最近の彼らを見ていてそれは違うんじゃないかと思うようになっていました。結局プラスマイナスがこのネタをやるに至ったのは、結局先人たちが誰もこのパターンを成功させることが出来なかった、誰一人としてこのパターンでの完成がなかったわけで、プラスマイナスはそんな難しいほとんどの人が手に負えなかったスタイルをモノにしたということは、やっぱり評価しなくてはいけないのではと思うのです。
そして大衆芸能においては、最初に始めた人思いついた人ではなく、最初にそれをやって成功した人が第一人者と呼ばれるものなんじゃないかと、チャイルドマシーンが野球ネタをやっていても、ストリークが野球ネタで成功していったら、おそらく今後ストリークが野球ネタの第一人者として扱われるでしょう、天津のオタクネタだって同じでしょう。だからプラスマイナスに関しても、この先に挑戦した人はいっぱいいたけど、誰も成功しなかった形を自分たちのモノにしたプラスマイナスが、この形のオリジナルとして見るべきなんだと思うようになりました。ますだおかだの増田さんは夏ぐらいから、「今年の麒麟枠はプラスマイナス」と言ってましたが、その時はその理由が分からなかったんですが、やっぱり増田さんは流石だなと思いました。全ての演目が終わってから合格者発表の間の時間に、僕の友人で後者の理由でアンチだった人が言いました。「今年の麒麟枠はプラスマイナスです。」過去のM-1チャンピオンが予選の始まる前から絶賛し、今日この日の舞台においてアンチの人にまでそう言わせたプラスマイナスを、かわら長介のバカと倉本美津留のアホは落としました。
ますだおかだの増田さんが、「現在の若手で最もツッコミが巧いコンビ」と評したプラスマイナスのツッコミを、かわら長介のバカが審査員コメントでほぼ名指しでクサしました。
M-1グランプリというのは、他の賞レースと違って「出演する芸人を本気にさせる審査員」というコンセプトを元に、藤本義一難波利三みたいな連中が分かってもないのに偉そうな審査をしているのとは違う、芸人さんが審査をしてほしい思う審査員を集めて審査をする、その審査員は現役の第一線、もしくは第一線に近いところにいるお笑い芸人・タレントが行うというコンセプトに、予選の審査というのはあまりにも逸脱していないでしょうか? 島田紳助は言いました、決勝の審査員は得点を出すことで、審査員も視聴者に審査されていると、しかし予選の審査員は審査されずに、自分の好き嫌いで上げたり落としたりしているというのは、真剣勝負をしている人たちを審査する姿勢として決して許されて良いことではないと思います。元々、かわら長介のバカと倉本美津留のアホは三回戦や準決勝ぐらいまでは、自分たちの好みだけで好き勝手やってるという話は、もはや一般の人の所にまで漏れ聞こえるぐらい、業界内部でも言われていることなわけで、こんな状況が続いたらM-1グランプリの価値を落とすことになりかねませんよ、正直言って倉本美津留かわら長介がやっていることは、藤本義一難波利三よりタチが悪いです。
“審査員も審査されている”というコンセプトを予選の審査員にも適用するべき、予選の採点も審査員別に完全公開するべきです。そしてもう一つ、現役の芸人による審査というのをせめて三回戦、それが無理なら準決勝から行ってくれないものでしょうか? オール巨人西川のりおトミーズ雅爆笑問題・太田とやりたがりそうな人はいくらでもいるし、小朝師匠にこっちに回ってきて貰うことも出来ますし、もっと言うと準決勝は過去の優勝者やファイナリストで10年過ぎた人たちから審査員を選出すればいいのではないでしょうか? 倉本美津留かわら長介が審査するより、中川家ますだおかだが審査したほうが、準決勝の価値が高まるというものです。
吉本も三回戦・準決勝と有料で観客を入れて、あれだけの入場者を入れているんだから、この段階から審査員に有名タレントにギャラを払っても充分儲けが出るでしょう。もっと拡大して言わせて貰うと、一回戦から芸人さんが審査していけばいいと思いますよ、サバンナやシャンプーハットCOWCOWやブラザースといった人たちにやらせても良いのではないでしょうか?
ということで、やっぱり作家とかが漫才の審査をするのはロクなもんじゃない、文学の作家もお笑いの作家も一緒だったと、藤本義一難波利三倉本美津留かわら長介の間に大した差がないことがこの日高らかに証明されました。来年から予選の審査方法は根本的に見直してほしいです。
審査員はプラスマイナスを落としたことで、僕たち観客をも否定したんだということは、あの日会場にいて、プラスマイナスに割れんばかりの爆笑と拍手を送った人たち全員が胸に刻んでおくべきだと思います。あいつらはプラスマイナスを否定することで、あの日プラスマイナスで爆笑した僕たちのことも否定したのです。もっと腹の底から審査結果にブーイングするべきだった、かわら長介のアホの審査コメントの最中にもブーイングするべきだった、それをしなかったんだから、観客をバカにした審査員に丸出しの敵意を向けることが出来なかったんだから、戦っていたとは言えないですよ、吉村さん。
特に一回戦、二回戦と、審査員に向けてでなく安くないお金を払って見に来てるお客さんに向けて漫才をしろと怒っていた前田政二は正しかった。やっぱり芸人や、芸人経験者が審査やらないとダメです。本当にあの場所で観客全員で“審査をやり直せ”の大合唱が出来なかったことをプラスマイナスの二人には謝りたいです。ともに戦えなくて本当にごめんなさい。少なくともかわら長介のアホの審査コメントが終わったときに、もう一度ブーイングするべきでした。この屈辱はABCお笑い新人グランプリで見返してほしいと言いたいんですが、この予選の審査員にもかわら長介のアホがいるんですよね、なんであんな過去の人がいまだに関西のテレビ界・演芸界で大きな顔いまだに出来ているんでしょうか、あいつが台本書いた「新・たかじんが来るぞ!」で立原啓裕と桂坊枝にさせた漫才、物凄いつまんなかったの、今でもはっきり覚えてるぞ(苦笑)。プラスマイナスのお二人へ、来年は三回戦から東京で受けようね、こうして大阪からまた才能が流出するわけです。4+

天津 「3年B組オタ八先生」合格

「心の中に住んでいる天使アミカ」に励ましてもらう、先生のオタクネタ振りに一人だけ反応する生徒・秋葉くん、イジメの記憶がフラッシュバックして「クーピーまずい、クーピーまずい」とやりたい放題で大爆笑でしたが、これでも天津としては力を抜いた六分や七分ぐらいの漫才だったように思います。千鳥、チュートリアル、ロザンがいまある力を出し切って場内を大爆笑させて力を見せたように、ストリークと天津は軽く投げてもこのぐらい出来るというのを三回戦の舞台で見せつけました。だから天津とストリークは三回戦の出来で決勝に行けるかという判断は出来ないけども、有力候補であることは強く印象づけました。天津は準決勝で何を持ってくるんでしょうか、普通に考えたら二回戦でやった「サロン・ド・オタク」の四分Verだとは思うのですが。4+

結果発表

この日に合格した16組をまず紹介します。

レイザーラモンゼミナールキッチン、ヘッドライト、マラドーナランディーズさんだあずにのうらごブラックマヨネーズ、レギュラー、スーパーZストリーク天竺鼠、青空、ロザン、変ホ長調、天津

レイザーラモンの名前が真っ先に読み上げられたときに、場内はブーイング、そして出番順で合格者が読み上げられていく中で、プラスマイナスの名前が飛ばされた瞬間に会場からどよめき、そしてかわら長介のアホが審査員コメント、名指しは避けたと言いながらもプラスマイナスを名指ししているのと同様の批判、あんな分かりやすい誰か分かる言い方するのなら、きちんと名指ししたほうがマシだったよ、嫌らしさだけが印象付きました。
そのあとで「喫茶店をやりたい」とか「コンパをしたい」とかが多いとか、三回戦という自分をアピールするチャンスの舞台で、自分たちの本当にやりたいことをやっている風には見えない人たちが多かったという、これまた今日の出演者の誰のことを言ってるのか容易に特定できるコメントが続きましたが、一方でこちらに関しては非常に的を射たコメントだったんですが、果たして三回戦の審査員コメントとして言うべきことだったのでしょうか? この傾向は一回戦や二回戦からずっと続いていたことで、おまえが三回戦の最終日に突然のこのこやってきて何言ってるんだと、そういうのがいけないというのなら二回戦ぐらいから審査員として参加して、もっと早い段階でそういうメッセージを発したら良かったんじゃないかと、かわら長介の審査員コメントの最中の会場の雰囲気について、会場が引いていたという感想もあるようですが、あれは引いてたんじゃなくて、審査員に対して無言という形で敵意を会場全体が現していたという側面は絶対にあったと思います。
いやでも正直かわら長介のアホのコメント終わりでもう一度ブーイングするべきだったと心からいま後悔しています。それにしても『お客様に向けて漫才しろ』と言ってる前田政二と『客受けなんか知るか、自分の好みだけで選ぶ』という倉本美津留かわら長介が、全ての日で審査するんなら良いけど、東京の初日だけ前田政二がいるとか、東京の三日目だけ倉本美津留がいないとか、大阪の最終日だけ倉本美津留かわら長介が揃い踏みとか、絶対に公平公正な審査とは言えないやん、出ている芸人さんは出演日によって基準が違うのは運・不運の問題で、運も実力のうちだから仕方ないと割り切っている人が多いようなんですが、一番納得させなきゃいけないのはお金払って見に来たお客さんじゃないんでしょうか? だいたい『俺の目が黒いうちは笑い飯と千鳥は絶対に決勝に上げ続ける』って言ってる審査員がいるという噂もありますが、これが事実なら実質“ヤラセ”が行われているようなもんなんだから、そんな噂が出た時点で『李下に冠を正さず』で、その審査員を聴取した上で外さなくてはダメでしょう。

総括

ということで、非常に後味の悪い、この日の上位何組に入る爆笑を取っていて、きちんと漫才をしていて、別に下ネタがヒドイとか、完全にコントをやっていたとかじゃないコンビが不合格になり、合格者として名前が呼ばれたときにブーイングが起きるほどの出来だったコンビがテレビで人気者というだけで通った日ではありましたが、ただレイザーラモンとプラスマイナスの結果が逆だったら、おそらく不満はほとんど上がらなかったのではないかと思います。この日の客受けではロザン、ヘッドライト、天竺鼠、そして落ちたプラスマイナスが飛び抜けていました。ただロザンやヘッドライトがこの日の上位の受けというのは、その日いなかった人からしたら、若干この日の全体レベルを問いたくなると思うのですが、確かにロザンとヘッドライトはこの日のトップクラスではありましたが、前日の三回戦のレベルの中に入れると、五番手ぐらいだったとは思います。
しかしロザンはファイナリスト有資格者の列には入ったと思うし、天竺鼠は“麒麟枠”の有力候補として名乗りを挙げたでしょう。ヘッドライトは……うーんこのパターンで決勝にいけるのなら、もう2002年とかの段階で行ってたと思うんですよね、何かもう一つぐらい必勝のパターンがあればと思います、可能性はゼロではないでしょうが。そして今日は流し気味にやっても充分に存在感があったストリークと天津、そして二回戦で爆発したにのうらご、アマチュア変ホ長調ぐらいまでが可能性のあるところでしょうか、ブラックマヨネーズが何かとんでもないものを隠していたら分からないんですが。
今年のM-1グランプリの三回戦までの全体の総括も最後に少しさせて貰うと、東京予選でビッグネームが次々と落ちていく意味での波乱がある一方で、上位陣に関してはほとんど事前の予想通りのところが順番通りに評判になっているようなのに対して、大阪予選は三回戦の最終日に例外はありましたが、ほぼ順当にビッグネームが合格している一方で、その日一番受けたみたいなコンビに意外な顔ぶれが多く、まさに日替わりでスターが出てくるという状況で、去年は八組の決勝候補の比率が「東京5:大阪3」という結果になり、それも納得出来るリストになっていましたが、今年は大阪の方が決勝に行くコンビが多いのではと感じるほどタレントが揃っていました。
一回戦はほとんど三回戦で敗退しましたが、つばさ・きよし田中・上阪ロデオボックスといった人たちが大活躍しましたし、天竺鼠鎌鼬は準決勝進出の予感を充分にさせる漫才を一回戦からしていましたし、逆にベリー・ベリーのように一回戦より二回戦、二回戦より三回戦のほうが受けていたコンビもいました。二回戦になると初日は牧戸上原、二日目はスーパーZ、スマイル、天竺鼠鎌鼬、そしてアマチュアの学天即が大活躍を見せ、三日目は笑い飯が存在感を示す一方で、にのうらごがこのM-1予選で最大の爆笑を巻き起こし、三回戦は初日で千鳥とチュートリアルが本戦進出は確実ではないかという舞台を見せ、今日の二日目ではロザン、ヘッドライトが活躍するという、開催日毎に本戦進出を感じさせてくれる人たちが違うというハイレベルでした。東京は順番通りに大駒が来るとしたら、大阪は準決勝でやるネタの選択、その日のコンディション、審査員の好みだけでなく、その日の気分といった物凄い微妙な色んな事が大きく結果に左右することになるのではないでしょうか、正直選びきれないですよ、今年の大阪予選はレベルが高いというより、横一列に十何組がひしめいている物凄い群雄割拠です。
この大阪予選の充実は、子供がいたり、母子がいたり、タマキン体操がいたり、老夫婦がいたり、小人がいたり、車椅子がいたり、紙芝居がいたり、アコーディオンがいたり、マジシャンがいたり、アイドルがいたり、ピン芸人ユニットがいたり、学校の先生がいたり、保父さんがいたり、アクロバットがいたり、センターマイク無視でコントを始めるコンビがいたり、吉本のカステラ焼きのパートのオバチャンがいたり、名古屋から来る人、高知から来る人、ど素人もいれば20年振りに漫才をする元プロもいる、九州から来る人、四人組や五人組、オバチャンコンビや高校生コンビなんていうのは当たり前過ぎる存在になっているぐらいのバリエーション、東京にいて大阪にいなかったのは剣劇漫才と外国人ぐらいで(それも僕が見に行かなかった一回戦にはいたかも)、この状況を生み出したと言って過言ではないと思います。漫才の幅の広さ、底の深さがこの状況を作ったんです。だから“武勇伝”や“おかしな話”や“回文”を漫才じゃないなんてつまんないことは絶対に言ってくれるなと改めて強く言いたいです。