失業とエイティーズ

失業とエイティーズ

よくこのダイアリーでも紹介しているウナギさんの日記より、今回は力作です。「スタンダード社会学講座」との併読もあわせてオススメします。

どこかのニュースで90年代前半は全国で年間200人くらいだった学生の自殺者が、最近では三百数十人になっている、しかも原因が就職できないから、っていうのを聞くと悲しくなる。何が悲しいか、というと就職できないからと言って自殺する、このマインドですよ。おそらくその親達の世代からのプレッシャーが強いんじゃないかと、大学出たのに就職できないとは何事か、逆に就職に有利だから大学まで出したのに……、こういう時代遅れの認識が根強いんだろう。
(引用者、略)
日本は、失業保険制度は満足とは言えないが、個人金融資産が1400兆円もあるんだからそれをどうやって上手く食いつぶすか、を考えればいい。みんなで音楽をやればいい。アートでもいいし、アニメでもいいし、フィギュア作りでもいいだろう。就職できない学生はオタクになればいいんだよ。

これを大人として言えるというのはかなり凄い見識だと思う。よくある意見といえばそうだけど、自分が実際に社会人となって年齢重ねたら理屈ではそうと分かっていてもなかなか言えないんだよなあ、特に世の中には保守的な価値観で世の中の倫理観とか正義を決め打つ人も多いし。*1
しかし例えば同じさるさる日記を見ていても、決して見識が低いとは思えない人が、日本の現状や若い人の周辺状況を顧みずに、自分たちの若い頃の価値観を引きずって若者に対してこのウナギさんと全く反する論を述べてしまうのだろうと考えると、やっぱり若い頃に植え付けられた常識とか社会正義というのはなかなか揺るがないんだなあと思いました。そういう人達も自分たちより上の世代には、「自分たちの若い頃の感覚を引きずってる」と批判してるしなあ。
やっぱり「スタンダード社会学講座」は強く広めないといけないと思いました。本出ますよ、買いましょうね。

*1:この場合の保守的は現在の左右思想ではなく、本来の古い価値観のほうを正しいとする意として使っています。