音楽業界のお話し

アジアを喰う/鈴木みそ

http://xtc.bz/cgi-bin/a-news/a-news.cgi?date=2004.01.20
http://d.hatena.ne.jp/strange/20040122
こういった話を見て思い出したのが、余暇をほとんど音楽聞いて過ごしていた妹が、最近仕事が忙しいこともあり、特に去年はまったくどんな新譜が出ているのかも把握していなかったということです。妹の例だけでなく、ある年齢を境に音楽を聴かなくなったという人は結構多い。昔からの貯めてあった物すらも聞かなくなってしまったという人は結構多いです。私の他の知り合いにも結構良いカーステレオを積んでいた人も、もっぱら車で聴くのはラジオになっています。
これらで思い出したのが『アジアを喰う』鈴木みそ/双葉社)の154ページ、最終2話目の最後のページでみそ先生が『マンガやTVは中毒です。数ヶ月はなれるとどうでもよくなりまっせ』という台詞を入れているけど、これそのまんまいまの音楽業界に当てはまってるんじゃないの?
1980年代の音楽不況(だいたい年間セールスのランキング1位の曲で50万枚ぐらい、アルバムはもちろんもっと売れていないというのが長く続いていた)の要因として、『ウォークマンで音楽を聴くのが主流になって、街に音楽が流れなくなったから知らない曲を聴く機会が減った』ということが言われていました。これ自体は確証もないものですが、まあ少しは頷けることがあると思います。
で、いまJASRAC筆頭に音楽業界がやろうとしていることは、音楽を聴く機会を減らしている。もうちょっと言い方を変えると、ある程度の努力をしないと音楽を聴くという行為にたどり着けなくなっていると思うのです。
JASRACの音楽をかける店に対する圧力とか、CCCDなんかもそうですが、楽に簡単に音楽を聴く機会が減るというのは音楽離れに直結すると思うのです。元々、日本は沖縄など一部の地域を除けば音楽がそんなに日常生活に根付いているとは言い難く、冒頭のみそ先生の台詞ではないですが、こういうソフト的な趣味は習慣病的な中毒に近く、離れているうちに体内からそういう週刊がなくなると、本当にどうでも良くなってしまいます。
自分もいまテレビのバラエティ番組や、マンガ雑誌なんかは本当に見なくても平気になっちやったけど、音楽もそういうことがあると思う、別に音楽は人間が活きていくに必要な空気と同じじゃない、そういう風になるのは日頃の生活の習慣から来ているのであって、ちょっと話がこんがらがってきたので、一旦この辺にしますが、とりあえずライトユーザーが増える機会を減らしている音楽業界に未来はないと思います。
その遠因に音楽業界の人が『人間にとって音楽は必要な物だから、殿様商売しても大丈夫』って感覚があるような気がしてならないです。CDが売れないどころか、音楽業界が潰れちゃっても、実はユーザーも困らない可能性あるんだけど、まあこれも別の話だよなあ(笑)。