『輪るピングドラム』の最終話を見た感想を書き殴っておく

まだ関西圏でしか放送がない段階で、この最終話のネタバレ感想をTwitterで呟きまくるのは、さすがに良心が咎めるので、ブログ記事というよりはいま出したいことを書き殴る意味で、久し振りのブログ更新です。いやあ『ピングドラム』最終話の興奮が、一夜明けても収まっていないわけですよ。
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もう出てこないと思っていたプリクリ様が出てきたとか、一部でもう救われないとか言われていたマリオも、きちんと運命の乗り換えに成功したとか、そういうよく言われていた予想を外しながら、こんな大きな風呂敷広げて見事畳んだことにまず拍手するわけです。
おそらく昨晩から明日ぐらいにかけて、「マリオにもペンギン帽子が行った理由」「桃果=プリクリ様?」「企鵝の会の真の目的は?」「眞悧の正体は?」「高倉両親の死」「兄弟が監禁されていた箱」「こどもブロイラー」とか、色んな説明し切れていない謎、未回収の伏線については言われるだろうけど、最終話まで見ればこの作品の主題がそこにないことは容易に分かるわけで、むしろこれだけいた心に闇を抱えている主要登場人物たちのほぼ全てを「運命の乗り換え」によって魂を救済したというのは、よく描ききったと言うしかないでしょう。テレビ版の「エヴァンゲリオン」ですら、あれだけの裏技使って碇シンジの一人の魂しか救済していない最終話しか描けてないことを考えると、お話を小さくすることなく、壮大な広げた風呂敷をほぼ完璧に畳みきったといって良いでしょう。

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2011年は日本のテレビアニメ、特に深夜アニメというジャンルが定着してからで見ると、最大の当たり年であることについては、それほど議論を必要としない自明のことと言え、今年発表されたテレビアニメの中で、発表年が二、三年ずれていたら、その年を代表するテレビアニメと言われたであろう作品は、10作近くにのぼるのではないでしょうか。
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(ちょっとキリが無くなってきたので、ここまで。)
まあでも2011年が『魔法少女まどか☆マギカ』と『輪るピングドラム』の年と記録されるのは、確実なことでしょう。これは異論も多いだろうけど、1974年がハイジの年ではなく、ヤマトの年とされているようなものとして考えてもらえばいいと思う。
この非常に似たテーマを持った作品が、同じ年にしかも大震災を挟む形で発表されたことには、どうしても意味を持たせたがるのが語りたがる人の人情なわけですが、「運命を塗り替え(乗り換え)よう」という主要キャラクターがいて、各々が個人的な欲求を元にして、大きな運命を変えるような力を動かそうとして、大きな災厄と個人の破滅を招くところを、運命の乗り換えができる力を持った聖女によってみんな救われる。というこういう風に文章力のない人間が書くと、安っぽくなってしまうのが残念なんだけど、まあ「眞悧=キュゥべえ」とするには、あまりにも眞悧は我欲が強すぎる人間という気はするし、両者ともにあまりキャラを掘り下げられてないけど、眞悧と高倉父というのは、テレビや旧劇版の碇ゲンドウ的な人なんだと思って見ていた。
まどかマギカ』と『ピングドラム』の類似性というのは、これからもっと語られていくだろうし、語られるべきこと(もちろん模倣したとかそういうことではなくね、企画自体は同時期、下手したらピンドラの方が先だろうし)だと思うし、それをするべき人は他にいるから、僕はされるべきという話だけしてやり逃げる。
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しかし一つだけ『まどかマギカ』との違いとして語るべきこととしては、これは新旧エヴァにおけるゲンドウやミサトの描かれ方の変化などを発端とした。「最近のアニメはしっかりした大人が描かれるようになった」という流行りのアニメ論の一方で、このアニメに出てくる大人達は、極めて80年代や90年代的なアニメに出てくるクズな大人として登場していた。
そもそも地下鉄サリン事件がモチーフだったり、いかにもバブル期的な建造物が「運命の乗り換え前の世界」の象徴として出てきたり、10代・20代の主要登場人物がほぼ全員、親によって深い心の傷を持っているというのは、そのまんまバブルの負の遺産を後の世代に先送りして「失われた10年」を生み出し、その負の遺産すら、さらに次の世代に先送りしようとしている、現代日本のメタファーというようなことは簡単に解けちゃうわけだけど、多蕗がその復讐の連鎖という輪廻を断ち切って、ピングドラムの正体に最初に気付くというのは、この作品の作り手の人達が、まだ若い人に希望を持っているということ、そして上の世代が輪してしまったものを、断ち切らなくてはいけないということはもっと受け止めて良いのだと思う。
他にも言いたいことは死ぬほどいっぱいあるんだけど、現時点でもかなりグダグダになっているので(笑)、とりあえず一旦この辺にしておきますが、2011年に『まどかマギカ』と『ピングドラム』が発表されたことの大きさは、おそらく来年とか再来年にならないと、本当の影響は分からないんだろうなあとは思います。
最後に一番書きたかったことを、いきなり思い出したので書くと、おそらく『輪るピングドラム』は間違いなく劇場版作られると思うのですが、そこでの未消化の伏線の謎解きとか、高倉兄弟の結末がよりハッピーエンドの方向に向かうというのは(まあそもそも出生自体が高倉兄弟の乗り換えたい傷なんだし、愛する人達を救えた以上、テレビ版の最後は高倉兄弟にとってもハッピーエンドだったと思ってるけどね)、あんまり期待しない方が良くて、おそらくこれもわざわざいう事じゃないんだけど、『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』のような形での劇場版になるのでしょう。
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おそらくテレビ版・小説版・劇場版で異なる最後が描かれていくでしょうけど、それを全て受け止めるだけの懐の深い作品世界だったと思います。
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久し振りに文章書いたから、グダグダ感がいつもに増して半端無いけど、まあとりあえず何かを吐き出したい、書き殴りたいという気持ちを抑えることが出来なかった。ということを残したいだけのために書いたものということで、お許し願いたいところです。
アニメ本編なんてどうでも良い、この主題歌と劇中歌だけで価値はあるといっても良いぐらい音楽も素晴らしかったよなあ。石橋凌も喜んでるという話も出てるけど、そりゃ喜ぶでしょう。
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輪るピングドラム第24話完結 - 玖足手帖

ということで、ここまで書いてからようやく他人の感想が読める(笑)。いやこの作品については、この時点ではこの感想で良いんだと思う。おそらく解釈論はこの後、五年ぐらい延々とやることになると思うし(笑)。まあでもそんなに難しいことはしていないんだけどね、これとかこれとか、ほぼ100%に近いところをついてると思うんですが、最初から作者が書くつもりのない、僕とかクダちん少佐(id:nuryouguda)さんが、この作品にとってそこの伏線が未消化なのはどうでもいいことと考えていることに、引っかかって行く人は多いんだろうなあと思う。
これまでもまとめ感想とか読んでも、本編見て「あーここは説明しすぎかな」と思うようなシーンでも、分からない人は沢山いたアニメだから、分からない人には分からないんだろうなあ。
でもこの先どんな続編や劇場版が作られたり、小説版が完結しても、そもそも設定していないところは絶対に明らかにされないし、それこそ劇場版は完全新作で、同じストーリーなのに、全く違う作品に見えるみえて、結論は同じなのに違う終わり方するようなものになるだろうなあ。