『ザ・爆笑王 2010春 激突!夢のベストテン』

島田紳助が司会で肝入りの漫才番組ということですが、放送直前まですっかり忘れていて、もう少しで見逃してしまうところでした。
ただ紳助や吉本としては、この辺でM-1が種まきなら、収穫となるようなネタ番組をしたい。『花王名人劇場』や『THE MANZAI』の復活というのが、もしかしたら念頭にあったかも知れないけど、正直、カウスボタン師匠を別格としたら、力入れた漫才やったのハライチとますだおかだの二組だけだった。特に吉本のM-1チャンピオンが、最近あまり漫才のイメージが薄くなった人たちも含めて、昔からのアリネタを淡々とこなした感があって、全体的に見所という面では薄かったです。歌番組じゃないし、山村紅葉の序盤のコメントじゃないけど、合間の紳助とのトークの方が面白かった人が多かった。
フットもチュートもブラマヨも、M-1を取る以前のネタや、ネタの展開になっていて、色んな意味で不満も残るし、NON STYLEは今年まだM-1挑戦権が残っているからか、紳助の前でイキリは見せないというのが見え見えのネタ選択だった。ノンスタのこのパターンのネタは、紳助好みだから良かったけれども、いまのノンスタはもっと一つ一つのテレビ露出、特にネタする機会は大切にしてもらいたい。でも一番問題は、パンクブーブーがいきなり漫才熱が、感じられない舞台を、オンバトの視聴者投票バトルに続いて、大きな所で見せていることだと思う、それはあまりにも早すぎます。
とりあえずテレビ初おろしか、こういう大きな番組で流行っていないネタを持ってきたのが、ますだおかだとハライチだけだった、というのは結構問題あると思いました。ますだおかだはやっぱり漫才力がある所を見せつけた。ちょっと増田さんが心配になった時期もあったけど、ここまで自由に岡田さんをさせることができるのなら、全然安心できるでしょう。
でもこういう番組を、M-1チャンピオン中心にやるというのは、本来は理想型のはずなんだろうけど、結果的に漫才師としてお腹いっぱいになっている人たちが中心になって、淡々と一つの仕事としてこなさせてると、いまいち薄味の番組になってしまいますね。ここはトータルテンボスキングコングタカアンドトシアメリカザリガニのような、まだ満腹になっていない人たちも出して、「M-1チャンピオンなんぼのもんじゃい」という気持ちをぶつける所が見たかった。というかどうして笑い飯麒麟がいなかったんだろう? 紳助も吉本も、M-1決勝以外の場所での笑い飯については、全く信用していないんだなあ(苦笑)。笑い飯は、出してやろうよ。
とりあえず大阪勢を中心に、昔からやってるようなネタを淡々とやられて、普通に見てしまっていたけども、ただトリだった中田カウス・ボタンの今回のネタって、100回は言い過ぎでも、50回はテレビで絶対に見ているぐらいの頻度でやってるネタだったけど、それでも大熱演で、何十回見ても笑わされるのをみると、「これこそが芸」だと思うし、この大師匠の熱演と見比べたら、アリネタを淡々と流したと言われても仕方ないと思う。
あと紳竜を中心に、昔の漫才ブームの頃の映像が沢山流れましたけど、紳竜の漫才を見ると、島田紳助の好きなパターンというのが、分かりやすいなあと思う。あと他の方々もそうでしたが、昔は大阪の漫才もボケとツッコミの役割が、それほどはっきりしていなかったというのが、良く分かります。今回流れた紳竜のネタなんて、ほぼ松本竜介の方がメインボケ担当でしたしね。
そして大抜擢される形で出た、ウーマンラッシュアワーでしたけど、思いっきりハードル上げた上では、色々と厳しいですよねえ。今回も本人達の中の良いネタを、しっかりとやったけど、あの振りでは可もなく不可もない感じになっても、色々と致し方ないでしょう。せっかく今年はいい感じで露出も増えているのに、この評価がくっついて出て行かなくてはいけないのは、相当な茨の道となるでしょう。紳助さんは総合的に評価する目は凄いあるけど、ネタだけ見て瞬間的に抜擢というのは、案外うまくいかないことが多いし、何より今年のM-1に向けて、色々と勘ぐられたり、準決勝の審査員が逆に厳しく見たりと、どっちにしても本人達に、相当の覚悟がなければ押しつぶされるような波に、これから入っていきそうです。
あと色々とブログ見ていると、客席をネタ中に撮すのが、気になる人が多い見たいなんですけど、ああいうカメラアングルって、昔の『お笑いネットワーク』にしても『上方漫才まつり』にしても、関西系の賞レースにしても、結構普通のカメラアングルだったから、あんまり気にならないんですよね。昔からそうだったというだけで、この辺は大阪と全国の違いなのか、昔は全部そうだったんだけど、大阪以外でネタ番組が一時全滅していたから、その文化が大阪でだけガラパゴス的に残ったのかは、いまいち分からないのですが。だからM-1は大阪の放送局の制作だし、この番組は日テレ制作とはいえ、制作会社は吉本系っぽいから、大阪のネタ番組の作り方だったから、同じ局でも『エンタの神様』とは、かなり違うネタ番組でした。
最後に島田紳助が、こういう番組をやることの是非というのは、結構出てくるようには思うのですが、自分としてはM-1以外で若手芸人のネタは、あんまり紳助さんには見て貰いたくないかなあ。こういう番組をやるのなら、もうM-1ラストチャンス過ぎた人たちだけで、やって欲しいように感じてしまうかなあ? やっぱり痛くもない腹を探られるというのが、一番面倒くさいことに思いますしね。

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