専門の指導者がいない状況での武道の学校必修科目化は危険すぎる

平成24年度から、中学1年、2年については、学習指導要領で武道が必修項目になるらしい。

武道必修化 - 山口 香の「柔道を考える」

武道の必修化は柔道にとって追い風とばかりは言えない。授業で実施されるとなれば、保健体育科教員が指導にあたることとなり、柔道の専門家でない可能性も高い。さらに、施設の面でも充実している学校はどのぐらいあるだろうか。こういった状況の中で授業が展開されることによって準備を怠れば、かえって柔道のイメージを悪い方向に持っていきかねない。

こんなことが決まっていたとは知らなかったですが、これは非常に危惧するべきでしょう。だいたい柔道の経験者による指導にもかかわらず、僕が知っている限りで、中学の柔道部において指導者による、暴行に近いような形で死者が出た事件が、二件も起きている。

このままの形で武道が必修科目化されれば、間違いなく行きすぎた指導、練習という名を借りた体罰やイジメ、能力や知識のない監督者のせいでの事故が起きるのは、容易に想像出来る。いやそこまでの事に至らなくても、純粋に闘うことが怖い、投げたり投げられたりということに、生理的な嫌悪感や恐怖心がある生徒のケアは出来るのか? という心配は拭い切れません。
中学一年生や二年生というのは、大人にしか見えないような子から、小学生とほとんど変わらない子までいる、精神面も含めて体格や肉体の成長などに、大きな差がある時期です。同世代の子と肉体的な競い合い自体に、恐怖心を持っている子も決して少なくありません。
まあ僕は武道の必修化が始まったら、中学生の不登校理由のトップにいきなり、「武道の授業が嫌だから」というのが入るのは確実と予想します。いやそれはまだ全然悪いことではなく、武道の授業に関係しての(自殺も含めた)死亡事件・事故は、年間10件で収まったら、それはおめでとう。という風に言わざるを得ないという考えを、表明しておくことにします。いやマジで人が死ぬよ、これ。
少なくともイジメで苦しんでいる子は、今よりもっと苦しむことになるのは間違いない。少なくとも内藤大助は、もしボクシングが学校の必修授業なら、彼は世界チャンピオンにはなれなかっただろう。
山口香さんはさすがに危機感持ってるけど、これだけの危機感を持っている人が、どれだけ日本の柔道界にも、教育の現場にもいるのか、僕は物凄い疑いの気持ちを持っています。
やはり全てのスポーツ競技における、コーチングライセンス制度と、その国家資格化と、その内容にエリート教育だけでない、幅の広い指導要領、特に若年層での指導についてのことも含めた、抜本的な改革を求めたい。つーか、シロートにスポーツの指導は、あらゆる面で危険だからさせるな。

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