ネット上で話題の作品はオリジナルじゃないからダメなのか?

「ゲームやCDは違法コピーではなく、ネットや携帯にユーザーを取られている」という言説があります。別にゲームや音楽に限らず、例えばJリーグやサッカー界では、「サッカーの市場を広げるためのライバルは、野球とか他のスポーツだけでなく、アイドルとかゲームとか芝居とか、全てのエンタメをライバルと見るべき」という声が定期的に上がります。そういうことをお笑い芸人とか関係者、ファンはどこまで分かっているんだろう? ということを僕たちは言ってるというのは、どこまで伝わっているのかなと、そんなことをいま考えています。
インターネットの普及で「テレビを見なくなった」という層が増えていると言われているし、例えば今、それが嘘か本当か分からないし、元々テレビなんて観ていない人たちが、大きな声で言うようになっただけかも知れないけど、「ニコニコ動画があればテレビはいらない」「何かで笑いたかったら、バラエティ番組や漫才ではなく、ニコニコの職人さんの作品を見る」という人たちが、まだ少ないながらも一定数出てきているわけです。
これは別に特別な事ではなくて、逆に言えばお笑い界だってお笑いブームの度に、違うジャンルから客を奪い、市場を広げてきたわけです。ただ笑いを求める客をターゲットにした場合は、一昔前まではせいぜいライバルはギャグ漫画や一部の芝居や小説ぐらいのものだったのが、いまは例えばプロレス団体でも、お笑い路線の所は昔より増えているし、次のような動画作品もライバルとなってくるわけです。


これは以前に話題になったニコニコ動画で、植田まさし風の絵のネタの人が、ニコニコ映画祭への出展作品という事で、オリジナル作品を出してきたという事ですが、やっぱりあれぐらいのパロディが出来る人なら、このレベルのものは出してくるんですよ。

マイリスト ヒャダイン‐ニコニコ動画(夏)

この人もそうだけど、こういった人たちがどんどん参入してきている、そしていまの時代は視聴者が全く違う土俵でやっている人たちを、心の中やPCのモニターやらブログの中で、それこそ「ヒャダイン笑い飯Perfume安田理大はどれが一番面白いか?」なんてランキングを作って戦わせている。こういう状況に対してプロが鈍感という業種は、いまのエンタメ業界全体的に多いけれども、お笑い芸人とかテレビバラエティの関係者って、そういう状況に最も鈍感なところにいるような気がしてならない。目が開けているような人でも、自分たちが利用出来る存在としてしか、見れていない人がまだまだ多くて、そっちから浸食されるとか、コメディやバラエティ的なものを求める市場を食われるとかまでは思っていなさそう。
しかしニコニコ動画だけでなく、ネット上の創作物の多くについて、完全なオリジナル作品ではなく、MADとが他人の著作物を使っているようなものでなくても、パロディがほとんどでオリジナルじゃないという声もあるんですが、じゃあテレビバラエティってそんなオリジナルだったか? という所もあるんですよね、実際に許可とかをテレビ局が取りやすいということはあるだろうけど、この人たちレベルのパロディ作品は、地上波でも多かったわけだから、このぐらいは許容範囲になる着地点を見つけて欲しい。

YouTube - 振り返れば奴がいるパロディ 1-2

いまはこういうコント番組が無くなったから、この手のパロディ作品というか知らないんだろうけど、ダウンタウンも「ウルトラさん」とかやってたし、こういうのがテレビで出来なくなったから、絵が描ける人や動画作れる人が、動画共有サイトで作り出しているという流れになっているのは、結構テレビや舞台でお笑いやっている人にとって、やっぱり驚異になってくるんじゃないかと思います。
でも本当に「ごっつええ感じ」ぐらいまでは、日本のコントバラエティってパロディがメインだったのに、その流れって本当に小さくなったし、明らかにパロディをやっているのに、本人達に「自分たちがパロディをやっている」という自覚に書いている人たちが多くなった。これは80年代に松本人志が「みなさんのおかげです」批判を、具体的に番組名とかとんねるずの名前は出さずにやっていたことが、大きく影響していると思うんですが、松ちゃんはその事にも無自覚っぽいよなあ。