ABCお笑い新人グランプリ予選

審査結果発表まで10時間にも及ぶ長丁場の予選会、去年はABCのスタジオで行われて、パイプ椅子や木の椅子で大変でしたが、今回はABCホールの比較的ゆったりした椅子だったのだが救いでしたが、毎年のことだけど、これはとにかく時間が長いのがしんどいですわ。お客さんも大変ですが、スタッフとか審査員も大変、特にスタッフは朝からリハーサルもして、撤収もあるわけだから、24時間テレビみたいなもんでしょうね、本当にお疲れ様です。でも漫才アワードとかNHKの賞レース予選みたいに、二日以上に分けてやった方が、お客さんにも出演者にも良い時期に来ているんじゃないかなあ? この条件はお客さんに対して過酷すぎるよ。
実際に司会のアナウンサーさんが「2000人の応募から抽選で選ばれた幸運なお客さん」と煽っていたけど、開演の段階で大量の空席、そりゃ観覧の通知葉書に「10時間、途中入退場できません」みたいな事が書いてあったら、そりゃ普通の人は引いて来ないよね、この後も休憩時間の度に、再入場できなくても良いと帰る人が続出していて、やっぱり少し考えた方が良いなと思いました。

オムライス ABC予選 プレ アドリビトゥム : みでぃの好きなところ

いきなりギャロップ藤崎マーケット勝山梶が連続して登場、ギャロップはトップバッターで貫禄の合格間違い無しという出来でしたが、藤崎マーケットが今年のM-1グランプリの予選でやっていたのと同じネタでしたが、ブログなどのM-1レポートでも、準決勝の感想で「この日一番酷かった」みたいなことを書かれまくっていましたが、M-1でそれだけ失敗したネタを、同じ人が審査員にいるコンクールの予選でやるということもどうなの? と思う所なんですが、やっぱりここは飽きられるまで、とことん「ラララライ体操」をやり尽くすべきだと思う、この後に出てきた勝山梶が、ムーディソングこそやらなかったまでも、ムーディ勝山のキャラクターを売りにして掴んでいたけど、大阪の劇場に通っているようなお笑いファンは、「『ラララライ体操』を封印した」みたいなことだけで、評価してしまう傾向があるし、これはファンだけじゃなくて、芸人さんとか作家さんとかにもそういうテレビで売れているキャラに頼るような漫才を評価しない、そういう武器を持っている人に否定的で、かわら長介のブログとか読んでもM-1の感想とかで、普段の看板ネタを持ってこないことに肯定的ですけど、若井おさむが大阪時代に芸人仲間、作家さん、吉本のスタッフに「アムロのキャラは止めろ」と言われ続けていた中で、南海キャンディーズの山里だけが、「アムロをやり通せ」とアドバイスしていたらしいですが、これのどちらが正しいかというのは自明なわけですが、結局baseよしもとがいまのメンバーになってから、名前が出てきた人で全国に名前が通るぐらい売れた人達って、レギュラー、南海キャンディーズ、そしてストリークな訳じゃないですか、何をするべきなのかというのは自明だと思うんですけどね、だから勝山梶はムーディのキャラをどんどん利用して欲しい。
間違いなく今日一番の爆笑を取っていたのは、このテレビの売れっ子連続登場の後に出てきた大脇里村ゼミナールでした。残念ながら合格者10組に何故か残りませんでしたが、ネタの内容が全編「au」の携帯をフィーチャーしていたので、もしかしたら他の電話会社が当日のスポンサーにでもいるのかなと思いました。というかそれぐらいしか落ちた理由が見あたらない。そのぐらいダントツの当日の客受けでした。
銀シャリは今年はしんどかったと思うけど、よくここまで仕上げてきたと思います。来年は飛躍の年になってほしい。
M-1予選の動画がYouTubeやらニコニコ動画に貼られまくって、一部ですっかり話題のですが、やっぱりここまでやりきることの大事さというのを、前後にやりきることが出来なかった人が何組もいたことがあって、それを痛切に感じました。大阪で今後、アニメ・ゲーム系の番組やったときは、この二人はアシスタントとかで相当呼ばれることになるんじゃないかな? 大阪は保守的だから、一度椅子を捕まえたらなかなか外されることはないから、ここは大阪のテレビタレントとしては、ここ半年ぐらいが勝負になりそう。
つるせんねんが他の人も書かれているように、良い雰囲気でネタが進んでいただけに、小道具の時計が壊れたトラブルは勿体なかった、後に出てくる松原タニシのネタの後片付けするために用意されていたであろう、大量のモップが大活躍でした(笑)。満天に関しては、僕とにづかさんの会話が書かれていますが、あれは僕は「こうするべきだ」という話ではなく、ああいう男女の組み合わせだったら、東京のM-1予選見るとこういうネタしてる人多かったという世間話ですから(笑)、「漫才で勝負したい」という理由で、キャラクターや飛び道具を使いたがらないというのは、最近の若手の傾向で、そういうのを評価する向きというのが、お客さんとかにもありますけど、「若手の内は舞台を広く使え」という言葉がありますが、ぜんじろうさんが上岡師匠やノック師匠に漫才を始めた頃に、「芸がない内は運動量で勝負しろ」と教えられたという話をしていましたし、カウス師匠が藤崎マーケットの「ラララライ体操」を褒めてたり、M-1の決勝でテツandトモに高い点数つけていたように、師匠クラスの芸人さんは、いまの若手の流れとは別にして、若手がそういうキャラクターとか創意工夫で補うことについては、好意的な人が多いと思うので、お客さんやスタッフも含めた若手芸人界の価値観だけで判断しないで、もっと色んな人の意見を聞いて、将来に向けてというのはもちろん大事だけど、いまの自分が出来る最善は何かということ、自分たちの今持っている武器を最大限に利用することの大事さというのは、決してあざといことではないと思うし、あざとくて何が悪いのかとも思います。
この後に出てきたのが、運動量と創意工夫とキャラクター満載の極悪連合だったのですが、良い感じで進んでいただけにタイムオーバーが残念でした。いまはすっかり安定感のモードに入ったけど、出始めの勢いあった頃にもっとテレビ露出して欲しかった。ただ今はbaseよしもと勢はサライブ組にオンバトの枠を回しているので、キャラクターが認知されていない所での勝負球も持っている人たちだから、逆にその辺の初見の人向けのネタを披露するチャンスはあんまり大阪ではもう無いと思うから、一回東京の番組に出し見て欲しいです。
このブロックの後で休憩時間に入ったけど、「途中入退場は出来ません」と封鎖されている入口でしたが、とてつもない長丁場ということもあり、またこの後にもう一回休憩があったんですが、両方の休憩終わりで目に見えて客席に空席が増えていました。ABCは予選がネタ時間が4分というのもしんどいですが、やっぱりせめて二回に分けましょうよと思いました。
ハムマウンテンヒルの全国放送の深夜番組にも露出した、個性派二組が連続でしたが、にづかさんも書いているようにマウンテンヒルに軍配でしたね、ハムはラップのネタでしたが、まず今更ラップをネタにするというのがどうなんだという話もありますが、まあそれはおいといて、ハムは敗者復活戦では「あいのり」のネタの方をやって、東京のお客さんや関係者に印象を残して欲しいです。
にづかさんの所は天津の話になってしまっているのろしですが、細かいディテールで天津の方が弱いというのは、ライセンスがオタクっぽいテーマでネタやトークをしているときに、僕は感じることが多いです。どちらかというとオタクをからかったり、笑いものにする為にオタクネタをやっている人に、オタクのすばらしさを伝えたいという趣旨でやっている人が、ディテールの細かさで負けちゃダメだよなあ、のろしはまだまだ物足りないことが多いし、ネタの細かい所に気を遣うようになってきていて楽しみです。
今年のR-1準決勝でも笑いはもちろん、感動的なステージを披露してくれていた松原タニシが今回も大盛り上がりでした。松竹の芸人になったら下向いていた女の子達も大爆笑していましたからね、今日唯一拍手が巻き起こるステージでした、決勝でテレビを通して見たかったなあ、今回は松竹芸能は久しぶりに二組合格した上に、どちらも上位三組をねらえる位置だから成功と言えるんだけど、ここも一緒に合格していたらケーキにイチゴを乗せる結果になっただけに残念です。
東京のソーレアリア所属のCUB&MUSIが、去年に引き続いてケーエープロダクション所属の扱いでエントリーして、なんと合格してしまいました。審査員が実態を知らないわけがないから、それだけ大阪の元々の面子に合格に値する人が少なかったという意味もあるんでしょうが、でもこれが認められたらそれこそ吉本はオリエンタルラジオやハリセンボンだって出してきても文句言えないわけですしねえ。
松竹芸能の女コンビの鳳仙花カーネリアンが近い出番順で出てきたのですが、個性が全く違うコンビにも関わらず、この二組って目を瞑って聞いていたら、特にツッコミが同じに聞こえるんですよね、この二組だけじゃなくて、いま大阪の女流漫才師は海原やすよ・ともこの路線ばかりで、似通っているという指摘は結構されていますし、以前にある若手の落語家さんが、「最近の関西の女漫才のツッコミはがなりあげるタイプばかり」と指摘していたんですが、その典型がこの二組になっていました。この二組に限らず、どうも松竹は才能や個性が突出していないと、似通った方向に矯正されてしまうのが、この人たちに限らずあるんですよね、カーネリアンは昔のオセロみたいな路線でいっても良いと思うんですが……。
この日のトリオで一番受けていたのはサイドエイト、一番しんどかったのはGAG少年楽団でしたね、GAGはあのネタはbaseだったら爆笑なんだろうなあと思ったけど、こういうアウェー(というよりはビジターの方が正確かな?)の場所では、M-1でやっていたような漫才の方が良かったと思います。
この日の二番目、合格者の中で一番受けていたヒカリゴケは、オンバトオフエアだったり、M-1準決勝では酷評されているネタでしたが、今年の夏ぐらいから作り込み始めて、他の賞レースに出してこなかった、まさにM-1とABCを狙って作り込んだネタを持ってきた感がありました。1月の本選は優勝候補の筆頭だと思いますし、来週の敗者復活戦も楽しみです。
まえだまえだをこういう所にも出してきたのは驚き、この賞レースはコンビ歴五年以内だから、中学生ぐらいでラストチャンス迎えてしまうのか(笑)、というかM-1ですら二人とも高校の頃にはラストチャンスかよ(笑)、左ミドルがハゲネタをほとんどやらなくなったのは、やっぱりギャロップに先越されてしまったから?
二度目の休憩明けのトップはスマイルからでしたが、このコンビに関しては、関西でのみですがここに来て知名度が高まりそれに伴って、急に世間のハードルが上がってしまったように思えます。ジャルジャルはコントじゃなくてM-1でやっていた漫才形式のネタでした。本選では今年も大竹まことが審査員にいるのなら、設定の飛躍したコントを二本やって認められて来て欲しい気もする。
モンスターエンジンは合格しても、何の問題もない出来でしたけど、ここ上げるのなら大脇里村松原タニシの方をという気はしたかなあ、ツジカオルコは大阪の劇場や番組では厳しいかもしれないけど、いまの「ロンドンハーツ」や「GORO'S BAR」とかに出ているような、売れている女芸人の波が一巡して世代交代に入ったら、確実に入っていけると思うから、このキャラクターをそれまで崩さずにいて欲しいです。その後、元ロデオボックスだった生江ミョウジ無駄無駄ラッシュの出番順が前後するという事がありながら、ラストブロックになりましたが、チュチュは四分のネタ時間で見せられるのは辛かったというのが、一緒に見ていた人たちと話した感想ですが、逆に10分ぐらい延々と見せられたら、逆に違う面白さが出てくるような気もしました。本当にラストが仕事の都合で天竺鼠が遅れて最後に回ってくれて良かった(笑)。しかし天竺鼠も賞レースで決勝には残るけど、本選で賞を取るタイプではないよなあ、昔のFUJIWARAとか、バッファロー吾郎みたいなポジションですが、いまbaseよしもとにいる同世代同ランクの芸人さんの中では、一番テレビで売れそうなラインに立ってきてる。
ということで決勝進出者は、本文中に全部一応触れましたが、改めてこの10組でした。

CUB&MUSI
勝山梶
ギャロップ
銀シャリ
ジャルジャル
スマイル
天竺鼠
のろし
ヒカリゴケ
モンスターエンジン

上位10組がすんなりとは思わないけど、上位12組の中から10組が選ばれたという感じで、近年の賞レースの予選会の中では、審査結果には納得できる予選だったと思います。だからこそ大脇里村とタニシさんの落選は残念でした。この二組の落選については審査員の論評が聞きたい。
最後に審査員の論評と言うことでは、審査委員長のかわら長介が「簡単に感想を……」みたいな感じで入って、物凄い長いこと厳しいことを連発していたんですが、主張の内容はブログでのM-1準決勝の感想で言ってるようなことを、個々の話ではなく一般論に変えて話していたんですが、「○○の店員がやりたい」「ここでやってみよう」みたいな流れでコント入りする漫才について、リアリティの欠如を指摘していましたが、かわら長介ってことある毎に若手芸人が聞いている所で、この主張繰り返しているのに、そういう設定の漫才をみんな気にしないで、かわら長介が審査員している賞レースで、みんな普通にやってくるよなあ。かわら長介の好みだけが全てじゃないから、気にしないで良いとは思うけど、この主張に関しては全うだと思うし、僕もある時期からこういう漫才の入り方に引っかかりを覚えることが多かったので、現場の人たちに届いて欲しい主張だなあと思いました。
さて来年の年明け、成人式の日にいつものように決勝がありますが、一応その辺の予想もして終わります。あと何となくCUB&MUSIが審査員特別賞を取りそうな気がする(笑)。競馬新聞方式の印予想です。

◎ ヒカリゴケ
ギャロップ
勝山梶
ジャルジャル
×銀シャリ