40代以下の芸人が、タモリ・さんま・所・鶴瓶を脅かせない一番の理由

モーラの泉「空気が読めなくて…」 : おわライター疾走

芸人用語というか、お笑い用語を経て、いまは若者言葉として世間一般でも広がってしまったこの言葉ですが、かつて僕の盟友がこれを押しつけることを「ファシズムだ」と看破していたように、このブログエントリーでも一般の人がこんな事を気にする必要はないと言ってますが、本当にその通りだと思います。
これはダウンタウンからめちゃイケより後ろぐらいまでの、広い層のお笑い世代が広めてしまった風潮だとは思うのですが、プロ同士でこれを言うのは構わないと思うのですが、素人に対してプロが言う、もしくは素人同士でもそういうのを要請するようなムードを煽ったプロというのは、僕はプロとしての評価をどうしても割り引いてしまいます。やっぱりお笑いの空気を読めない人から、お笑い的な面白い物を引き出す人というのが、やっぱり一番優れたMCが出来るホスト役の芸人だと思うのです。
だからこそタモリ、さんま、所ジョージといった、80年代に全盛期だった人たちが、いまだに一線級でバラエティの司会が出来て、若手や中堅、40代以下の芸人司会者で、この領域に辿り着いている人がいないのは、お笑い芸人の常識的なやり取りが出来ない連中に対して、そういうレッテルを貼ることで満足してしまっているからだと思う、例えばタモリさんや所さんの芸人さん以外の大学教授とか文化人の人とやり取りする番組の面白さ、さんまさんや鶴瓶さんの素人イジリが、いま40代以下の芸人さんが真似出来ないのは、「空気を読む」という言葉を流行らせてしまったことによって、芸人が楽出来ている、もしくは楽することが許されてしまったことが原因だと思います。
素人さんは空気なんか読まなくても良い、空気を読めない素人を相手にしても、面白いことを引き出すのが、プロの芸人の司会者の仕事だということは、断言しても良いと思います。素人に対して「空気を読め」と言ってしまった段階で、お笑い芸人は芸人以外の人が出演する番組でホストが出来なくなってしまった。だから出演者が芸人ばかりという、「アメトーーク」や「ジャイケルマクソン」のような番組ばかりが、量産されるようになってしまった。
いま芸人さんが勉強の為に、何度も見返さなくてはいけない番組は、「すべらない話」でも「ダイナマイト関西」でもない。いま芸人さんが何度も見返すべき作品は「新婚さんいらっしゃい」です。桂三枝師匠が毎週二組、空気も読めなきゃ、テレビで言って良いことダメなことも分かっていない素人相手に、面白い話をドンドン引き出していく姿こそ、いま若手芸人が一番勉強しなくてはいけない所です。上岡さんとか板東さんとか、司会者として成功している人は、やっぱりみんな素人いじりが巧い、素人を落とさずたてながら、面白い話を引き出していく話法こそ、芸人が一番いま身につけるべき話術だということは、断言しても良いと思っています。

桂三枝のああ夫婦―「新婚さんいらっしゃい!」でわかった幸せの法則桂三枝のああ夫婦―「新婚さんいらっしゃい!」でわかった幸せの法則
桂三枝


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