破綻する日程 : 武藤文雄のサッカー講釈

A代表と世代別代表の試合のバッティングと、Jリーグの過密日程について、武藤さんの講釈。
僕も以前にこの問題については、色々と書きましたが、改めて僕の考えをまとめておきます。まずA代表の試合と五輪代表の予選が同じ日、違う時間、違う場所に組まれたことについては、僕は何ら問題視する理由がないと考えています。そもそも貴重な代表強化の場である、国際Aマッチ当日に五輪予選が組まれたことを理由に、その週にA代表マッチを組まなかったり、一日ズラしたりしていたことの方が、そもそも問題がある異常なことだったんだと思っています。
僕の私見ですが、もはや世代別代表による強化及び大会進出というのは、A代表の強化やJリーグの公式試合に優先されるべきではない、同じ日に五輪予選があるからといって、A代表の試合を組まないのは理屈が通らない。僕はジーコの時にも言ってたけど、五輪予選と同日であっても、A代表の監督が呼びたかったら、A代表の親善試合の方の招集を優先するべきだと思うぐらいにまでなっています。ましてやJ2なんかでレギュラーで出ているチームの大黒柱の選手なら、世代別代表を断ってJリーグを優先することは、当たり前になって良いと考え始めています。
そのように僕もうワールドユースU-20ワールドカップ)や五輪におけるサッカーなんていうものは、本大会に出場が決まってから騒げば良いぐらいの位置付けにしても良いように思います。五輪のアジア予選の中継をするぐらいなら、ACL浦和レッズ川崎フロンターレの試合が地上波で中継されるようになって欲しい、いや別に交換出来るものでもないのは分かっていますが。
ただどうしても両方を生観戦したい、という顧客のニーズに、日本サッカー協会が応えるべきだというのなら、僕は同日同場所での試合開催が一番望ましいように思います。もはや五輪代表の試合なんてものは、A代表の前座ぐらいの扱いで適当だと思います。
Jリーグの過密日程問題に関しては、日本に秋春制を導入することの難しさは、最後に武藤さんが書いた通りで、天皇杯の伝統の正月決勝を改めるというのは、残念ながら現実的に一番良い判断というしかないでしょう。しかしJ1クラブを減らすというのはどんなもんでしょうか? 僕は18チームぐらいなら充分にリーグは運営出来ると思うし、J2に落ちても終わりではないという例として、浦和レッズを出してくるのは、「浦和レッズだから盛り返せた」という逆説的な意味合いの方が、印象を強くするように思えます。実際に今年J1に上がらなければ破綻するなんて事が、真しやかに囁かれているチームもあるわけですし、J1・18チームというのは維持出来る限りした方が良いでしょう。いまはJ2のチーム数を増やすことに、まだまだ余地がある以上、J3のことまでは考えるべきではないでしょう。J3はJ2というリーグがもっと収益性の高いリーグにならない限り、現在の話をするときには、もちろん将来に向けて構想を練っておくのは重大なことですが、現実的な構想として俎板の上にあげる話ではないと思います。
それよりも僕は前に書いたときも書きましたが、ナビスコカップのグループリーグを廃止して、一回戦からノックアウトラウンドで戦えば良いと思う、一回戦から三回戦ぐらいまではホームアンドアウェーではなく、「前年度のリーグ戦下位チームのホームスタジアムで開催」位のことをすれば、かなりゆとりある日程を組めるようになるのではないでしょうか? 同時に訳の分からない、ベストメンバー規定も同時に廃止する。
ということで、僕はJリーグの日程を緩和して、尚かつA代表の強化日程を確保することを両立する為には、国内カップ戦のスケジュールをいじること、試合数を減らすこと、そして世代別代表に関する事柄は、JリーグA代表よりプライオリティをはっきりと下にするということを提案します。
どうしても五輪代表予選などを重視するというのなら、僕は同日に日本選抜、所謂B代表マッチというものを組むのがベターかとは思います。特に武藤さんも中段ぐらいで書かれているように、今回のようなモチベーションが難しい時期の代表マッチは、B代表戦にすることで違った意味合いの強化が出来る可能性はあると思います。B代表戦でやるのなら、例えばナビスコの四回戦とかに被る日程で、敗退したチームの選手だけ集めて、日本代表Bチームとどっかの選抜チームとの試合なんて事も可能になってくると思います。