ザ・プラン9はどんな航路を進むのか?

プラン9の先の本公演の話を色々と行った方に読ませて頂いていたのですが、Mixiなのでリンクは出来ないですが、プラン9の公演を見に行ったプロの方の感想で、「脚本は良いけど、演出が良くない」という話をされていたんですが、これ全く別の人でプラン9の舞台とかについて、その方はプラン9は「演出は良いけど脚本は……」みたいな話をされていたんですが(笑)、まあそのときに出てくるのは本格的な演劇とかの勉強をした方が良いじゃないのという言葉が出てくるんですし、以前に振り逃げプロ野球さんで「プラン9も今の吉本では活かされないと思う」と書かれていたのも、吉本にいてはそういう能力を伸ばす様な活動が出来ないということを言いたいんだと思うんですが、それは確かにそうだと思うんですが、でもそれってプラン9の本当のニーズなのかなと思うんですよね。

こちらでも語られていますが、彼らのピンネタにしても、本公演にしても少しではありますが、プラン9もしくはそれまでの経歴を私達が知っているから面白いとか、見に行きたいと思うという面はやっぱりあると思うんですよね、あといまある他の活動があってそれが裏打ちとなっているところが、少なくとも客寄せの力ついては強くあるように思います。
まず一つあるのは脚本や演出などの勉強をして、本格的な演劇になった場合、既存のお客さんは付いてくるのかということはどうしても引っかかるんですよね、このままじゃあダメかも知れないというのは感じる人もいるかも知れませんが、大阪のお笑いシーンってお客さんの年齢層が低いし、大人になっても追いかけるというよりは、どんどん入れ替わっていく若い人たちに受け入れられることが重要ですからねえ、芝居を見たかったら元々の本格的な演劇を見に行くという話ですし、そうなるとプラン9の今までのチケット代金じゃあ厳しくなってくるでしょうし、それで客が集まるのか、またそのチケット代金に見合うだけのものが提供できるのかという、仮に提供できたとしてもお客さんがそこまでのものを求めているかという所はあるんですよね、そこまでしなくても客が入るというより、そこまですると逆に腰が引かれる可能性もないかなという心配がどうしてもあります。
正直、器用貧乏というところは否めないとは思うんですけどね、達者すぎて何でもある程度のことがあっさり出来てしまうことが、弊害というのはあるような気はしますけどね、それを勿体ないと思うのは確かにそうですよね、大阪にいるといまのうめだ芸人を囲む環境というのが結構暖かいから、一歩を踏み出せないという側面は相当にあると思います。まあこれはうめだ勢全体に言えることではあると思いますけどね。
これは言葉は悪い言い方になってしまうんですが、今のところザ・プラン9の公演って良い意味で物凄いレベルの高い本物ではない芝居だからこそお客さんが来ているところがあって、まあこれはプラン9に限らず関西で芸人さんがやってるお笑い以外のライブ全てに言えることだと思いますが、その辺のバランスが今後難しい曲がり角に来る時期はあるでしょうから、その時にどうするかでしょうね。
やっぱりこういうエントリーって言葉選ぶから、時間かかるししんどい上に、本当に言いたいことの中心には絶対に辿り着けないですね(笑)。

追記:ラーメンズとの比較について

おそらくザ・プラン9の未来を想像するときに、ラーメンズとかシティーボーイズの姿を見ている人は凄く多いと思うんですよ、特にネットでお笑いとかライブレポートとかを書いているような人には、ただ大阪にも大人のファンはいるし、ラーメンズとか好きな人は多いですが、やっぱり大阪と東京だとライブに行くようなお笑い好きの女性比率も違えば年齢層も違っているという状況は結構商売上で大きいなと思います。
実際に少し違いますが、僕の知り合いが鳥肌実の大阪でやったライブにいったら、やっぱり他の地区のこの人のライブと比べて客の年齢層が若いので、ネタ元になっているものが分からなくて客がついて行けてなかったみたいな話もあるんですよね、だから基本的に大阪という土地はお笑いのライブを見に行くというのが、『女子供の趣味である』ということは押さえておかないと、東京がどうなのかは分からないので比較は出来ませんが、東京ほどお笑いのライブを見に行く男子学生や大人は少ないし、例えば東京の「クイックジャパン」とかでお笑いが紹介されたり、「ロフトプラスワン」でやっているお笑い関連のイベントのようなサブカル文化と大阪のお笑いシーンというのが東京ほど繋がっていないと思って考えた方が良いのではないかなと思います。
いまのプラン9の関西での人気というのは、言っちゃ悪いけどアイドル人気と同じで、天然素材や“WEST SIDE”(キングコング、ロザン、ランディーズによるダンスユニット)のようなブームと同じなんですよね、「お笑い芸人がダンスしている」といってお客さんが入ったのと同じように「お笑い芸人が芝居をしている」というもので、言ってしまえばジャニタレがやっているミュージカルに客が入るのと同じこと、もうこれ絶対に大阪のお笑いシーン、若手のお笑いのライブシーンが知らない人には絶対に伝わらない話になってきているような気がするよ(苦笑)。
でもやっぱり東京の人には分かんないと思うんですが、やっぱりプラン9に本格的にこっちに行ってほしいと思っているような意見は、やっぱり東京以外の人に多いように思います。大阪の現状を分かっていたら、いや大阪でプラン9がどういう人たちに指示されて人気が出たか、どういう層がお客さんの中心かということを理解している人には出てこない発想ですよね、正直プラン9の客層って2500円のチケット代が3000円に値上げしただけでも大騒ぎになる人たちがメインの客層なんですから、本格的な演劇中心に力を入れていくとなったら、こんなもんじゃ済まなくなる公演も当然出てくる訳で、そうなったらまずチケット代金もそうですが、普段お笑いをやっている人がする演劇として見に行ってる多くの客層は絶対に離れちゃいますよね、でもこの辺の事情って大阪の実際のライブシーンを見ている人じゃないと分かりにくいかも知れないですよね、実際にいまのうめだ勢ってbase時代のアイドル扱いは凄かったですからね、笑い飯と千鳥が「うめだに行ったお兄さん達がbaseにいた頃のバレンタイン、クリスマスは凄かったのに、今は麒麟の川島さんぐらいしかいない」とラジオで言ってましたが、あの人たちは物凄いアイドルだったし、正直いま現在その遺産で食ってる人たちは多くて、言いたかないけどプラン9は最たるものなんですよねえ、ただ出てきた作品を見る機会のある人たちに、この辺が伝わるかどうかは分からないんですが。
あとこれは『ヤンタンの時代。』明石家さんまの項で毎日放送のこなべさんが「さんまちゃんは面白いけども奈良の田舎のにいちゃん、そこでこのさんまちゃんに八〇年代のオピニオン・リーダーにふさわしい知性と教養(笑)を与えようとぼくは月曜日にさんまちゃんに会うたびに、毎週、エリック・クラプトンのカセットを渡したんです」とありましたが、こういう引き出しを増やす作業を自分から出来る人は良いけど、そうじゃない人にはこういう事をしてくれる良い出会い、そういうことを若手芸人にするようなタイプの人も少なくなっているように思います。プラン9ブロードウェーまで引っ張って見に行かせるとか、そういう人が現れることは期待したいですね。
まあただあんまり文学だ音楽だ映画だみたいなことを与えすぎても、まあちょっと違う感じになってしまうかも知れませんが、それでも凄く大事だと思います。やりすぎてダイノジの大谷みたいにならない限り*1、僕は芸人さんというのは、たけしさんやさんまさんのように時代のオピニオン・リーダーとして若い人たちを文化的な側面から引っ張っていくことが出来る職種だと思うので、それに相応しいものは身につけてほしいですね、またザ・プラン9には演劇の分野でそういう方向に行ってほしいと思っている人も少なからずいる訳ですから、ただ大阪吉本の若手芸人にとっては、その道は色々なものを捨てないと進むことが出来ない道であるのも確かなのは困ったところですよね。
実際、大阪のお笑い文化にある程度ズボッと填っている僕には、ラーメンズなんかは面白いのはもちろんなんですが、“お笑い”とは別のジャンルのように思えるときがありますからね、プラン9がそう思われるような方向に進化したときに、既存のお客さんが離れないかという問題はあると思います。

*1:リンクしないけど、ハチミツ同様にこの人のM-1の感想は不愉快感じる人が多いのは当然だと思うよ。