ツール・ド・フランス2004 第13ステージ ラヌムザン 〜 プラトー・ド・ベイユ 205.5km 山岳

サコッシュタイム

さあとにかく登りが多いステージ、昨日の有力陣の不調はどうなのか、それも含めて大勢が決まっちゃう可能性もあるステージです。今日も七時間放送をゆっくりマイペースで楽しみます。実況・解説の皆さんもこんなサコッシュで補給しながらの放送です。
レースは早々にエウスカルテルアイマル・スベルディアバレアレス・バネストデニス・メンショフが山岳にさしかかる前にリタイアして、イバン・マヨヤン・ウルリッヒが『コロコロ変わる天候に対応出来なかった』とあの序盤の雨と寒さが体調管理やコンディション調整に大きな影響を与えていたことを示唆するコメントをしていましたが、それを証明するかのような総合力のある選手のリタイア、特にメンショフは去年の新人賞の勢いをそのままに好調だっただけに残念とか思っていたら、タイラー・ハミルトンがリタイア、イバン・マヨがリタイアしようとして説得されてレースに復帰という大異常事態が発生しました。
タイラー・ハミルトンは中継中でも触れられていましたが、去年は肋骨を折りながらステージ優勝、総合4位で完走したのに、なんでどこも折っていないのにリタイアなんだろうと残念というか不思議だったのですが、どうも背中の痛みがそれだけヒドイということのようで、しかし去年世界中のファンの心を鷲づかみにしたあの走りを見れなかったのは本当に残念です。
そして今大会は昨年ラルプデュエズを制し総合も6位で終え、前哨戦の勝利もあって、今大会の大本命に推す人も多かったイバン・マヨがリタイアしかけたのも驚きというか、正直あんなマヨは見たくないというかリタイアさせてあげてほしかった気もするのですが、だって本人もう心が完全に折れてるし……、でもチームのエウスカルテルにしたらスベルディアがリタイアしたばかりで、一度にダブルエースが二人ともいなくなる、しかも地元のピレネーでというのは絶対に避けたいという気持ちも分かるのですが……、あー切ない。しかし今シーズンは去年総合5位のスベルディアイバン・マヨのダブルエースでツールを獲るつもりで挑んできたであろうエウスカルテルのダメージは大きいだろうなあ。
同じくダブルエースでツールに挑むはずだったTモバイルも、前哨戦のツール・ド・スイスヴィノクロフを失い、そしてツール・ド・スイスを制しダイエットにも成功して『打倒アームストロング』の一番手だったはずのヤン・ウルリッヒも総合優勝からは完全に脱落してしまいました。
体調の悪さについては本人もコメントしていたようですし、チームのサイトの日記で好調のドイツチャンピオンのクレーデンのアシストをする覚悟があるという趣旨の書き込みをしたり、弱気なウルリッヒでしたが完全に総合争いからは脱落してしまい、総合成績という観点からもチームメイトのクレーデンが上回ったので、アルプスではクレーデンのために、そして平坦ステージではツァベルのために働くことが確実になってしまいました。
しかし総合争いはもう無理でも、なんとか得意のタイムトライアルだけはモノにしてほしい。ラルプデュエズブザンソンまでには体調が戻ることを願わずにはいられません。しかしTモバイルのチームとしてのオーダーはこれで完全にツァベルマイヨ・ベールに絞ってくるでしょう。
しかしこんな残念なことが多かった中で、ボエックラーの頑張りとイヴァン・バッソの昨日見せた力は本物だったということは大いに明るいニュースで、アームストロングの対抗馬の有力選手の全滅状態という大穴を埋めて余りある明るいニュースだったと思います。
特にトーマス・ボエックラーの頑張りは凄い、あのダメかと思わせておいてまた復活というのを繰り返す姿は、ライバルチームのクイックステップの車が補給を渡したり、観客もJ SPORTSのスタジオもみんな物凄い応援状態になっていますが、ピレネーマイヨ・ジョーヌのまま乗り越えたというのは素晴らしいの一言に尽きます。
ガゼッタさんも7月17日付で、ポスト・アームストロング時代について触れていますが、有力選手の高齢化が叫ばれていたロードレース界にあって、ジロでのクネゴといい、今回のボエックラーの活躍は嬉しい限りです。アームストロングが今年で引退ということになったら、この二人にエウスカルテルの二人、ヴィノクロフバッソあたりに来年、再来年の総合優勝争いの主役が移っていくことになるのでしょうね、個人的にはメンショフの成長に期待したいです。
そしてそのイヴァン・バッソです。正直今日のレースではアームストロングとの力の差をはっきりと見せつける僅差負けとなってしまいましたが、よほどのアクシデントがない限りアームストロングの六連覇が確実になったように、バッソの総合2位表彰台も確実といって良いのではないでしょうか?