やはり今の世の中を悪くしているのは想像力に欠けた人達

日本人の一番ダメなところは、自分の経験や体験をベースにしてしか、物事を考えられない、思考を働かせなくなっていることだと、最近感じることが多い。
今日の関西テレビ『アンカー』で、「日本経済が中国頼みになるっていうのが本当の亡国」という話が出ていましたが、こんな自体を想像できなかったことが、日本の経済界の人達は、お国や外交だけでなく、自分の会社の経営のことだけ考えても、いかがなものなの? という風に思うけど、それに近い話って、いま日本に溢れているんだと思うのです。

Twitter / 藤野 英人: 確かに有名大学をでた人は努力家も多く「努力をすればな ...

確かに有名大学をでた人は努力家も多く「努力をすればなんでもかなう」という価値観の人が多い。それはそれでいいことだが、多くは経済的に恵まれていて家庭も安定していて五体満足で精神に疾患がない状態である人が多い。努力を許されない環境にある人たちがいることに対する想像力に乏しかったり。

サンデル教授の講義にも出ていましたが、「努力が報われる」という環境に身を置いてること自体が、既に不公平に恵まれているという視点は、いままで高度成長やバブルの頃には、多くの日本人は思い至らなくて良い視点でした。しかし例えば全共闘世代や団塊の世代も、みんながみんなゲバ棒を振り回していた訳ではなく、より貧乏な家庭の子は、それこそ機動隊の側に回っていたし、もっと貧乏な家の子は、団体就職で街に出て、知らない街で友人求めて、共産党の青年部に入っていく。というようなことは、日本がイケイケの頃はあまり顧みられなかった。別にそんなこと顧みなくても、日本全体が裕福だったから、そういった「健全な競争社会」からはじかれた人にも、好景気の恩恵というものは、何らかの形で回していくことで、社会を構成することが出来た。
しかし日本社会が貧乏になって、社会構造が最下層まで金や物や心の余裕といったものを、回すことが出来なくなった時に、「本人の努力ではどうしようもない人達」という階層に、社会の恩恵を回すことが出来なくなってしまった。
だから今まで「努力を許されない環境にある人たち」という存在を、目にしないで生きていけてた人達が、実は日本にはこういう階層の人達がいる。しかも意外と沢山いるということ、そしてこの層は今後増え続ける社会に、日本が今なっているという現実に対して、想像力を働かせることが出来ない。目の前に突きつけられても、現実ですら受け入れられないほど、想像力の方が下回る自体になってしまっている。
日本人は自分の体験ベースでしか、物事を思考できなくなっていて、想像力を社会や他人のために働かせるといったことを、一切しなくなっている。みんな自分の人生だけが、世の中の全ての価値観かのように錯覚して、社会を動かそうとしている。価値観が多様か単一かという次元ではなく、自分という視点しかなくなっている。

VIPPERな俺 : 田舎の若者の東京への憧れは異常 大都市に「魅力感じる」76.8%

こういう都市の人の、日本の地方の現実が良く分かっていないやり取りというのは、ここ数年ネット上で物凄い頻度で見かける話題になっているけど、仕方ないやん、都会になにかがあるんではなく、田舎には何もない上に、余計なものは沢山あるんだから、という風に地方都市出身で在住者としては思うんだけど、日本の田舎どころか、地方都市の現実すら、どれだけ説明しても理解されないということが、首都圏から出たこと無い人とやり取りしていると、色んな分野で良くありました。
こんなのも想像力の問題の大きさなんだと思う、みんな自分の人生しか知らなさすぎるし、それをベースにした発想しかできなくなっている。だから現在の50代、60代の人達が、いまの日本の若者の収入が減ってる件、仕事がない状態などを、「本人達の努力や我慢が足りないから」という発想しか出てこない。

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これなんかも日本が近代国家であることの放棄、というしかない事例なのに、拍手喝采している自己責任論者は、その辺理解しているのだろうか? やっぱり想像力の欠如こそが、この国への最大の亡国への道なんだろう。

親と縁を切るための基礎メソッド。

この記事に対しても、コメントの方に「親と縁を切る」という一点だけを見て、この筆者の人格を脊髄反射的に叩いてる奴が何人もいるけど、こういうのが先ほどから話題にしている、「想像力の欠如」の最たるものであり、自分の人生しか知らない人なんでしょう。虐待とか抑制というのが、信じられない次元で親子間でされている事例なんてのは沢山あるし、実際そういうニュースをお前は見たことがないのか? そしてそういう家庭は決して表に出ているだけでない、ということがどうして分からないんだろうか?
こういう人は悪気もなく、親に殺されかけたような人の前でも、「でも親は大事にしろ」とか、平然と言い放ちそうで怖い。そういう人間が善人として、この街に一般市民活動していることに、僕は過剰に想像力を働かせてしまってるかも知れないが、凄い怖いことだと思うのです。

Togetter - まとめ「某証券会社の内定を辞退したとたん、コーヒーをぶっかけられた」

やっぱり弱い市民や庶民は、なにごとも録音録画してみとに当たるというのは必須になってきたんだなあ。お上だけでなく、企業やメディアはもちろん、カスタマーペアレントまで、どこでどんな理不尽に攻撃されるか分かったもんじゃない。
でも結局これなんかも、人に理不尽な酷いことをした時に、どんな理不尽な逆襲に遭うかという想像力がまるで無いからこそ、このようなことが出来るんだと思う。僕は就職活動のトラブルとかで、人死にが出る事件が起きるのは、時間の問題だと思うんだけど、例えそんな事件が起きても、自分の会社でそういう事件が起こるまでは、このような面接というのは色んな企業で続けられるんでしょう。
最後の二題は少し違う話になりましたが、日本の社会というのは、下層や最下層に気を遣わなくても、社会がうまく回る時代ではなくなった。そこに想像力を働かせずに、自分の人生経験や体験だけを元に、色んな事を判断して社会を回そうとしたら、恐ろしい逆襲を社会全体が背負い込む事態を、僕は想像せずにはいられません。

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