『ハーバード白熱教室』第5回「お金で買えるもの 買えないもの」

NHK ハーバード白熱教室|講義詳細

TwitterNHK教育の放送を知って見たけど、凄まじく面白かった。講義の中身もさることながら、発言した生徒の名前をいちいち聞いて、その発言者の発言をベースに議論を広げていき、ずれた話を始めている生徒にも、優しく接して議論の幅を広げるのにもつなげている。あえて最初の先生が出した設問に不備がある、というのは勇気があるけど、そうして発言を引き出して、さらにそれを講師自ら最後に否定して締めに持っていくとか、いちいちテクニックに感嘆した。
最初に法律的問題はおいといて。というのを最初にいうのが議論の持っていき方として面白いし、その法律的な問題はおいといて、という前提を無視している学生の意見も、そのまま俎板にあげるのね。それで議論の幅を広げてる。そして全員が参加できる話題に落とし込むことで、蚊帳の外状態の生徒がいることも防ぐ、素晴らしい議論を生み育てる講義でした。
「契約成立の条件を満たしていたか?」というのがアメリカ司法において、もっとも取り上げられる裁判事例、これがアメリカの訴訟大国の現状というのも、Twitterで論じられていて面白かった。
貧困が原因で兵士に志願するのは、強制と同じ。というのは、いまのブラック企業に就職する連中は、自分の意志だろう。ということを言ってる人たちに聞かせたいと思ったけど、入社した会社が、実はブラックだった。というのは、まさに「契約成立の条件を満たしていたか?」ということであり、事前にブラック企業だということを知らなかった。というのは企業側の労働者に対する契約違反となるかという話は、昨今のブラック企業論争において、もっと見られるべき視点だと思いました。
例えば原価100円のツボを、10万円で買ったして、これは10万円のツボですと言われて契約したのと、これは100円のツボに9万9900円のお祈りを付加したものです。という説明を受けた上での契約では変わってきますよね。ということを「それでも契約は契約だ」という理屈は、実は裁判所は結構な頻度で日本でもアメリカでも破棄している、というのはもっと自己責任教の人は見つめて良いでしょう。

リベラリズムと正義の限界リベラリズムと正義の限界
菊池 理夫

Justice: What's the Right Thing to Do? Justice: A Reader これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界 ロールズ (「現代思想の冒険者たち」Select)

by G-Tools