そのテーマは『レベルE』で決着付けたことにして良いんじゃないかと思っていた

『HUNTER×HUNTER』 23巻 富樫義博著/偉大な物語の本質について|旧館:物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために

人ならざる者と人は共存できるのか? というのが冨樫義博という作家のテーマである。というのは凄い分かるんですし、『幽白』がそこに踏み込もうとして壊れた。そしてリベンジとしての『レベルE』での省略というのが、僕は凄いお洒落だったというか、あの時期って少年誌、青年誌、ライトノベルなどで、『デビルマン』に挑むような作品が沢山発表されていて、そのほとんどが広げた風呂敷の重みに沈んでいく中で、軽快に全てを書かずに表現したのが、凄い格好良いなと思ったので、実は僕は蟻編から『ハンタ』を読まなくなったクチなんですが。このテーマについて食傷気味だったのもありますが、僕は『レベルE』で良いじゃん冨樫先生という思いもあったのかもしれない。
自分の作家テーマに『レベルE』という形で、一応の決着の仕方をして、純粋エンタメとして『ハンタ』に舵を切った冨樫先生は凄いなと思ったし、実際それに成功していたので、またこのテーマに帰ってきているのは、違うんじゃないかというか、実際にもう不定期短期集中連載になっているように、相当苦しんで描いているけれども、これ冨樫先生は畳めるのかなあ? このテーマで話を畳めた作品って古今東西において、『デビルマン』という一例しかないわけで、『寄生獣』がそれなりに成功したのと、『ワールド・イズ・マイン』が格好悪いことにならなかったぐらいで、後は全部悲惨なことになっていたわけじゃないですか、それを知ってるから『ハンタ』と同時期にジャンプに連載していた『DEATH NOTE』でも、とにかく作者の大場つぐみはインタビューで、とにかく『デビルマン』にならないようにした。というような内容のこと度々語っているように、みんなが挑戦してダメだったテーマじゃないですか。実際に冨樫先生も今凄い苦労しているし、『レベルE』で決着を付けたことにして、僕は良かったと思うのです。
いやだって冨樫義博ほどの作家が、こんな壮大なテーマに挑むのならば、永井豪を『デビルマン』を越えてほしいじゃないですか、どうしてもそこを期待してしまうけど、でも結局『寄生獣』ですら越えることが出来なかったわけだから、今までの成功していたエンタメ路線を捨ててまで、荒行に入っていくところは、読者なら見守っていくべき何だろうけど、僕はやっぱり辛かったです。
でもどうせやるならば、みんなが待っていた『デビルマン』を越えたという評価の作品にまで、仕上げて欲しいとは思います。でもキツイよなあ……。
しかし漫画家も『デビルマン』に挑むのが好きだし、マンガ読者のほうも、『デビルマン』に挑んでいる作品大好きだよねえ、『幽白』でも幽助が魔族として復活した時に、「よし、ここから『デビルマン』」という期待をしたって、『マンガ夜話』で夏目先生も言ってたからなあ。
まあ蟻編を完結せしめた時には、しっかりと見届けさせて頂きますが、連載でこの作者の苦難の道に付き合うだけの漫画読みとしての体力が、いまの自分には残念ながら残っていないです。ひ弱になってます(笑)。

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