『R-1ぐらんぷり2010 サバイバルステージ』

今年から東洋水産がスポンサーについて、始まりました『R-1ぐらんぷり2010』のサバイバルステージです。一般審査員と同じ票数しか持っていない、芸能人の特別審査員は今年も健在です。司会者が不安定だから、渡辺徹さんが客席にいるのが安心できます。いつも通り各ネタの感想の最後に、100点満点基準の採点を入れます。

ユリオカ超特Q 漫談「ハゲ漫談」

出番順をすっかり忘れていたんですが、漫談形式だと厳しい出番順だなあ、という風に思ったトップ出番でしたが、実際にユリオカさんがテレビを通しても分かる。物凄い緊張状態でしたが、三分の時間に入れられるだけのくすぐりを、沢山入れていて気合の入りが分かりました。まさかここまで直球でハゲネタのみの漫談で来るとは思いませんでした。良いとか悪いとかではなく、基準点としての75点としたいです。

今泉 漫談「お酒の力を借りて言ってみたいこと」

レッカペのネタと、3分の本ネタとしてだとどこが違うか注目でしたが、「モテない私」とか「売れていない芸人」ではなく、今泉というキャラクターそのもので勝負するんだ。ユリオカさんもネタ入った時に手の位置が落ち着かなかったけど、今泉さんも微妙に足元が震えている。思えばピンでこれだけの大舞台出るのは、芸人人生が長い今泉さんでも初めてか、今泉のギャラの話で客席がマジ悲鳴で、こういう客層なのねということを理解する。3分は長いだろうと思ったけど、持たせたのが素晴らしかった。事前の予想以上に良かったです。74点。

ナオユキ 漫談「飲み屋にて」

ムーディーな出囃子で登場、世界観を作ろうとしていたけど、今泉のネタ中の悲鳴を聞いていたので、雰囲気合わないだろうなあと、若干の諦めムードで見ていました。ベテラン三人が連続で緊張しているのも、会場の空気がおかしいことになっていたとも思われるので、あまりお客さんの方だけをとやかく言いたくはない。むしろ素直な客を入れて、素直な感覚を出したかったんだろうと、番組側の意図を理解する。まあナオユキは決勝ストレートインでなかったことが、全てだったということです。「お前はそのままで良い」のくだりは、去年のサバイバルでもやってましたね。76点。

ゆってぃ 漫談「ワカチコ」

悲しい三連発から、突然ゆってぃで明るく(笑)。でもある意味、自虐漫談四連発とも言えるんだよなあ(笑)。「ワカチコ」を言っちゃうお客さんというのは、色々と問題はあるんだろうけど、さっきもいったようにこの雰囲気は、主催者側が望んでいることなんだよね。こういう雰囲気がダメだというのなら、前説などでいくらでもお客さんには“お願い”出来るんだし、それこそ冬の野外で六時間ぶっ続けみたいな環境でやって、分かっているお客さんだけに会場をするなどで、コントロールすることは出来るんですから。
ゆってぃについては面白いけど、少し厳しいかなという感じ。ただここまで四組の中だと、頭一つ出たのは確かでしょう。ゆってぃは普通に生き残りそうだ。79点。

中山功太 コント「カメラマン」

設定だけはコント風ですが、ネタの構造はほぼ「時報」や「裁き」のような、中山功太のお得意の「こんなの嫌だあるある」ですね。一時ダイエット成功していたのに、またリバウンドして太りだしていることも含めて、迷走しているとしか思えない。とりあえずこの世代の芸人あるあるに、「進研ゼミのボケが好き」というのは入れたいよね。カメラの後ろに貼り付けてるであろうカンペ見ているのよりも、笑い待ちする余裕もなく、テンポ良くしろうとして急ぎすぎていたのも気になりました。こんなネタしか無かったのなら、準決勝で落として上げるべきだったけど、準決勝の雰囲気だとサバイバルステージに残るぐらいまで、受けたというのも分かる。65点。

COWCOW山田與志 コント「DJのボブ」

さて本日の大本命ですが、去年同様の変則的なめくりネタ。やっと素直に何も考えないで笑えるネタが来ました。ここまでの澱んだ空気を考えると、このタイミングでここに何も考えずに済む、楽しいネタが来たらそりゃ爆発しますね。なんでストレートで残さなかったんだろう? 93点。

田上よしえ コント「日本語講座」

巧いし面白いけど、やっぱり若干古い。いやそれは手加減しすぎかな? 僕はかなり古い一昔前の女芸人の一人コントだと思う。鳥居柳原いとうにしおか以降の新しい流れどころがあって、僕は友近すら少し古くなってきたと思ってるのに、今回の田上のネタは、青木さやかが出てきた時に、「友近みたいな新しい流れが出た後なのに、こんな古いことやってる人がいるんだ。しかもそれが人気でるんだ」という驚きがあったけど、この田上のネタは、その時の青木さやかより古い。
あとこの人何度見ても、往年の山田邦子に、キャラも声もネタも似てるところが、凄い気になって仕方ない。最初の漫談連発の中で見たら、また印象も変わったかも知れませんが……。昔から見ている人たちは応援したいだろうけど、僕の中ではここまでで低い方になる。このステージまで残ったのも、鳥居が準決勝で失敗したからに尽きると思った。60点。

友近 コント「ヨガの先生」

もう僕としては、前半の一分ぐらいで「あーこれは見なくても良いわ」ぐらいのテンションでしたね。『フットルース』とかの話題なってからは、もう本当にどうでも良くなった。椿鬼奴のボンジョヴィとか、友近のこういうネタも、結局は男芸人のジャンプ漫画や格闘技や野球ネタと一緒で、自分の学生時代の文化体験から、ネタを引っ張り出しているだけで、そんなに殊更に特殊なことをやっていると評価するのは、偏った狭い味方を、お笑いに対してしているように思える。
あと分かる人だけ分かればいいというネタ選びは、こういう賞レース、しかも一人だけが勝ち残るところで、友近ぐらい名前のある人がやるというのが、もう感覚的に許せないんだけど、そういう好みは別にしても、友近も古くなったなあと思ってしまった部分もある。ある種のお笑いファンと、ある世代の同性とか分からないネタだと思う、まあR-1の準決勝とサバイバルステージの客層が、たまたまそういう人たちしか客席にいないから、あそこまで受けてるんだろうなと思うだけです。これを面白がる人になっていなくて、自分は良かったと思いました。本当に友近に「自分の好きなようにすればいい」といった連中は、ロクでもないと思うよ。いや本当に一回目のR-1決勝や、ABCの決勝で見た時は、天才が現れたと思ったのになあ……。ということで友近は、もうR-1には出るな、どうしても出たいのなら、頼むからクミ先生やってください。
僕はやはりどうしても、お笑い好きであって、芸人好きじゃないから、友近とかを絶賛するような、芸人主義者みたいなものには、抵抗感しか感じないです。芸人に業みたいなのを、必要以上に見出して、そこを好きになるという感覚が、自分には本当に分からない。55点。

アナログタロウ コント「80年代音楽番組の歌紹介」

NHKの番組でのレギュラーから、とんねるずの『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』と来て、R-1の準決勝、そしてサバイバルステージという、短期間で驚異の大出世街道を驀進中のアナログタロウですが、これ連発で見るとすごいよなあ。むしろ長い時間で見た方が麻薬的な面白さが出てくる。ただ斉藤由貴シマリスみたいなテクニック感じさせられるのは、賛否や好みが別れそう。僕としてはああいうネタっぽくなるのは、まだ見たくなかったように思う。でもシマリスだけが、マジエピソードなのか、アナログの思いついたネタなのか気になるけどね(笑)。80点。

もう中学生 コント「アサリ」

もう中学生も賞レースになると、色んな物を詰め込んでくるんだなあという、別の感動がありました(笑)。とりあえずツカミの登場でお腹いっぱいでしたが。ただその後は普段から散らかっている魅力ですが、ちょっと散らかりすぎにも程があるネタでしたね(笑)。とにかく量で見せるという魂胆は、好感が持てます。70点。

結果発表の前に

よしさんが1位、アナログさんが2位、あと僕は好きじゃないけど、客受け考えると友近と田上さんが、少し開いて三番手ですかね。しかしお客さんが一人が二回投票できるのか、こりゃ今回の出来で、山田與志が三番手以下という人はほとんどいないだろ(笑)。もうみんな與志さんと誰か、という投票になるだろうなということを確信しました。あとは中山功太が救いになる順位になることを祈るだけでした。これだとサバイバルに残れなかった、浅越ゴエは良かったねということになりかねない。

R-1GPスタッフブログ: R1SS

《本戦進出》
1位 COWCOW山田與志 1110点
(以下順位)
2位 友近 730点
3位 田上よしえ 480点
4位 アナログタロウ 370点
5位 ユリオカ超特Q 360点
6位 ゆってぃ 250点
7位 もう中学生 190点
8位 中山功太 180点
9位 今泉 170点
10位 ナオユキ 130点

ナオユキの順位は逆に救われるんですよね、ここまで低いと客層に合わなかっただけということで、世間の評価はそんなに下がらない。ただ中山功太の順位はリアルにキツイ。最後の山田與志友近の二人が残った勝負は、点数だけが先に出た瞬間に、物凄い点差を見て與志さんの勝利を確信しました(笑)。
というか、山田與志が決勝でトップ出番というのは、決勝にもいい影響与えそう。というかバカリズムこれは救われた。友近だったら、バカリズム被害甚大だったろうなあ。
しかしここまで触れなかったけど、相変わらず雨上がり決死隊、というか宮迫の司会は酷かった。なんで先輩芸人審査員ではなく、サバイバルステージは客投票なのに、投票前に審査に影響与えるようなこと言ってしまうんだろうか? 「横から見ていたら、みんな何かに文句言ってるのばっかりだ」とか、絶対に司会者が言っちゃダメでしょう。M-1決勝の今田の言葉ぐらいでは審査が左右されないような審査員を前にしても、今ちゃんは明らかにすべった人へのフォローや、あともう圧倒的に面白すぎて司会者が、何か言ったぐらいでは影響はあり得ない時にだけしか言わないぞ、ホトちゃんと宮川大輔みたいな組み合わせに変えてくれないかなあ? 本当はフジテレビだし、M-1やKOCとのバランス考えると、ウンナンあたりがやるのが一番良いんだけど、吉本制作だからなあ。
あと決勝次第では、ナオユキ、ユリQ、アナログはストレートで上げてほしかった。という声が出るだろうから、決勝のメンバーには頑張ってもらいたいです。

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