若者と実力主義が嫌いな老人が日本のプロスポーツ化を殺している
ある伝統芸能の人から聞いた話をしたい。伝統芸能の世界では、もちろん実力もあるけれど、いかにタニマチ的な旦那衆に気にいられるか、というのが重要になっていると、そして上方芸能ならそのタニマチ的な支援者というのは、呉服屋、海苔屋、和菓子屋のような、代々の昔からの金持ちみたいな人たちが幅を効かせていて、売れるというのは、その連中に気にいられることで、そちらの方が大切になっている。という話を聞かせてくれたことがありました。その人はテレビや現代劇でも活躍している人なのですが、それは実力勝負だけの環境をどれだけ欲してのことであったか、という話になっていったのですが。そういうタニマチが生きている環境は、どうして実力勝負だけにならないか? それは実力を示すだけで地位を固められる、お金が入ってくる社会では、タニマチの援助が無くても、実力がある人はやっていけては、タニマチの老人たちは影響力を与えることが出来ない。実力以外の要素が複雑に絡み合って、老人の贔屓がそのまま影響力となる方が都合がいいというのが、伝統芸能におけるタニマチと芸人の関係であり、それが支えている閉鎖的な社会です。これと全く同じ状況があるのが、日本のスポーツ界です。日本のスポーツ関係者の協会の老人やマスコミが、日本のスポーツをプロ化したくない理由は、これと同じことだと考えています。
旦那衆というのが企業やマスコミ、旦那気質の会社の社長とかに代わっただけで、全ての理屈は同じ事なのです。プロ化して競技だけで飯を食えるようになったら、俺が選手に対してエラそうに出来ない。自分の金儲けに利用できないという人たちが、アマチュア幻想や、服装や礼儀を持ち出して、自由に実力勝負で稼げるという環境を求める人たちを、締め付けてる。
晴耕雨読の信之介: 国母問題についてのスノーボードチームコーチの説明
結局今回の国母の件でも、国母のドレスコートを見出した行為は褒められたものではないけど、マスコミの叩き過ぎという状況に対して、安易に迎合した年寄り連中のせいで、物事が過剰に深刻なことになってしまいました。
協会幹部の面子を重んじる糞っぷり、とにかく話題を焚き付ければそれで良いマスコミ、そしていかにスポーツの現場に金を落とさず、自分たちしか儲けることを考えていないスポンサーや代理店の三者が、絡み合って伝統芸能におけるタニマチよりも、奇々怪々な競技の実力以外の要素で評価される日本のスポーツ界、という社会を作っている。
スポーツをビジネスにしたくない人たち、スポーツの周辺でビジネスをしている人たちが、スポーツ時代のビジネス化を妨げている。プロスポーツとしてスポーツ選手が独り立ちすることが、都合の悪い人たちが日本には多くいる。だからスポーツ協会の会長は、OBではなく政財界から人がやってきて、旦那気取りで若者達に、自分の機嫌を取らせて、政財界やスポンサーから金を引っ張ることが、一番大事なことになっている。
スポーツマン精神は競技者のなかから生まれるものなのにいつのまにか一般大衆の価値観で決められてしまっているようです。
いろんな事がうまくいかない日本で昔は良かったみたいな危険な考えが広まってるように感じる。それがオリンピックという一極集中に親方日の丸で向かっていくマスコミの餌食になった。
もうこの辺は日本のスポーツ界が、いかにスポーツ的でないものの犠牲になっているか、ということを端的に現している素晴らしい言葉だと思います。
ソルトレイクシティの五輪の時だったと思うのですが、数多くのトンデモ社説で有名なサンスポのベテラン記者が、日本のメダル獲得状況があまり宜しくなかった時に、「冬のオリンピックの選手は、札幌とかで活動している選手は、どうせすすきので遊んでいるから結果が出せないんだ。全員長野の山奥に隔離して、次の五輪まで練習漬けの生活をさせろ」とかいう、傲慢な決めつけで選手への尊厳に欠けた。自分が四年に一回ちょっと楽しみたいだけの為に、選手の人生を無視した発言をしていたのを思い出したのですが、「気合いが足りない」「必死さが見えない」的なコメントは、一部の老人を中心にメディアで散見されています。
2ちゃんねる実況中継 各国のオリンピック強化予算
そしてこの数字が、いま一人歩きを始めていますが、日本人一人当たり40円ぐらいの負担で、「税金使って行かせてるのに」という言葉を浴びせることが、どれだけ醜いことかを、今一度はっきりさせるべきでしょう。大体ウインタースポーツは、どれもお金のかかる競技が多くて、それらの費用の多くは選手は持ち出してやってるんですから、国から貰っている強化費以上の個人負担がある中で、そんな言葉を浴びせるのは、そっちのほうがよっぽど品格の問題でしょう。
例えば国母選手なんかは、プロのスノーボーダーで、年間数千万円以上の収入があるということですが、彼からしたら国からの強化費なんて端金じゃないんですか? 「じゃあ僕は税金なんていりません、自分の金で行きます」という風に言えるわけです。もっというとこのぐらい収入がある人なら、国から貰える強化費や五輪の渡航費より、納税額の方が大きいんじゃないの?
でもこんな選手はほんの一握りで、ほとんどの選手にとっては、国からの強化費や企業からの補助金、旦那気質の人たちからの寄付というのは、ありがたいものです。そしてそういう風にありがたがられたいから、選手個人に収入の道を与えたくないというのは、日本のプロスポーツ化に反対する人たちがいる。
要するに俺の前に来た時に、選手に尻尾振ってもらいたいから、俺が与える金になびかせたいから、スポーツで選手が稼げるようにしたくないというのが、協会やメディアといった老人達の本音の一部でしょう。
たかだか20億ぐらいの税金でゴチャゴチャいうんじゃねえよ。というのを3億とか5億ぐらい納税している著名人が、ワイドショーで言ってくれないかなあ(笑)。本当はそのぐらい稼いでいるスポーツ選手が、世間に向けては言わなくて良いから、内部に言い放てるようになって欲しいんだけどね。
日本がこんな事をしている間に、例えばヨーロッパの柔道は、今後どんどんクラブチーム主導でのプロ化が加速して、PSVやパリサンジェルマンやバルセロナのチームカラーの胴衣を着て、年間通したチャンピオンシップが行われた時に、日本の選手がそこに参加できない。そこに参加しているから代表には選ばれない。というようなことが、色んなスポーツで広がっていくのではないでしょうか。
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そりゃ日本の教育や社会が、そういう人間をスポイルしているというのは、国母の件見ても明らかなんだから、そういうタイプの人材なんか出てくるはずがない。日本社会が求めているのは、利口でも秀才でもなく、凡庸なんだと思う。そして凡庸な奴に凡庸なまま結果を出すことを求めている。そんな無理なことを根性論と精神論で、無理に押して巧く回っていて、結果も出していたのが、戦後のある時期だったんだろうけど、ビジネスにおいても、スポーツにおいても、世界の進歩のスピードに、それではもう追いつけなくなっている。
柔道は世界選手権において、女子は金メダルが取れなくなり、男子はメダルが一つもないという状況になり、武士道や精神論を前面に出して、世界を制した日本のスポーツは、世界的に見たらやっている人がほとんどいない野球だけです。
そんな日本のお寒いスポーツ界の未来の中で、唯一進歩的にプロ化を押し進めていって、こういった問題が薄くなっていたのは、かつてのサッカー界でした。
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しかしかつての改革路線も、川淵三郎はチェアマンの後半から協会キャプンの時期に、自ら立てた理念よりも、政財界とのパイプの方を重視するようになり、犬飼基昭というプレイヤー経験はあると言っても、財界の人間をトップに据えて、旧態のスポーツ価値観を垂れ流させているのは、日本代表のサッカーのパフォーマンスの低下よりも、日本サッカー界の価値観の退化のほうが心配でならないです。そのうち日本代表選手は、2002年の赤髪、金髪、銀髪の勇者達の栄光をも風化させて、黒髪・短髪でないと代表招集しないとか、言い出す日が来るのでは? という危機感を僕は持っています。
しかし政治家でなくなって、協会での役職もなくなった釜本さんが、すっかりサッカーだけ、スポーツだけに立ち返った言葉を、最近多く残しているのは、それはそれで面白い考えさせられることではありますが。
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こういうのを見ると、日本のスポーツマンの芸能人化も、スポーツと芸能の部分さえ、巧く切り離せれば健全に動くんだろうなと思う。いまの日本でそれが出来ないのは、それで稼ぐことや目立つことが出来ないから、混ぜてしまうしかないんだよな。
実はスポーツ選手の芸能人扱いやビジュアルでの評価というのを過剰に嫌う人たちは、その人自身もスポーツとスポーツ以外の部分の線引きができないから、過剰に拒否反応を示しているんだと思う。なんでそう思うかというと、お笑いや芝居のファンというのが、そういう人が多いんですよね。浅田舞とかがスケートでもモデルでも、もっと活躍してくれていたら、少しは風向きも変わったんだろうか?
プロスポーツはエンターテイメントなんだから、芸能としての部分というのは、本来は切り捨てられないんだけど、どうも日本では切り捨てるか、中途半端に切り離されずにごっちゃにされるという、二択を選ぶ状況になっているのは、ある意味で日本におけるスポーツのプロ化の妨げになっていると思います。いまの現役スポーツ選手の芸能人化って、本人ではなく、周辺やメディアしか儲からない構図になっている。
トマトとiPodと腰パンと、若い競技の憂鬱。 - 殿下執務室2.0 β1
結局スポーツに興味のない人が、興味ないままにスポーツを見て語られるのが参ったと言うことだよなあ。あーM-1の時に毎年感じる不満を思い出した(笑)。
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