オードリー若林によるNON STYLE石田の漫才力の解説

オードリー若林がNON STYLE石田の漫才力を語る - タスカプレミアム

ノンスタ石田の漫才力を高く評価して、自分たちのネタの構造や限界点の自己分析。やっぱりこういう自分も他人も分析できる人、というのが芸人とか漫才やるにあたって、絶対的に必要な能力というのが、良く分かるやり取りです。若林の解説も、春日の補助的なコメントも、どちらもレベルが高い。なんでこの人たちが売れるのに、七年も八年もかかったのかと不思議に思える。
構成が出来ている漫才っていうのは、例えば「火事」のネタでも、「火事を発見する」「通報する」「消火活動を手伝う」「逃げ遅れている人を発見する」「燃えてる建物に救助に行く」「無事に救出する」という一連の流れをストーリーにして、一つずつのシチュエーションで、一番その状況で良いボケを一つずつだしていく漫才です。この良いボケというのは、ボケの一つ一つが大きな笑い、思いついた一番センスの良いボケを並べるのではなく、漫才の四分の中で押し引きとか、喋りのリズム等で、ボケに強弱を付けることが出来るのが、構成ができている漫才になります。全てにおいて一番大きなボケを、連続して出していく漫才は、こちらのほうが大きな笑いは取れるんだけど、ついていけない人たちが絶対に出てくる。万人が見やすい漫才というのは、実は流れに沿ってボケにも強弱がある漫才のほうなのです。
あとここでオードリーが比較している、自分たちの漫才とノンスタなどの漫才との違いとして、自分たちの漫才をオールスターやパッチワークと語っていますが、もうちょっと違う言い方をすると、他の漫才師の一本の漫才が、一つのコンセプトで作られたオリジナルアルバムだったら、オードリーの要ってるスタイルの漫才は、ベストアルバムなんですよね。ただこれはオードリーや、レベルの高い時の笑い飯だから、オリジナルアルバムに対するベストアルバムと言えます。これがレベルが低い人たちだと、たとえばこの火事という設定のネタだったら、例えば消火の下りで、例えば「バケツリレー」をするというボケが、五つも六つも工夫なく連続したりするようなのが、典型的な「並列的なネタ」で、リミックス違いの曲が、何曲も入っているマキシシングルだといえます。そんなにお笑い見慣れていない人には、同じ事を繰り返しているだけにしか見えないんですよね。オードリーの「春日システム」とか、笑い飯の「Wボケ入れ替わり」は、並列的なネタをそう気付かせない工夫が凄くて、それが機能するときとしないときというのが、受ける時と受けない時の差になっている。そしていま春日は無敵モード中だから、「春日システム」というのが機能しないことがない。強いて言うならばこの前の『ドリームマッチ』が、久し振りに春日システムがオフになってる春日だった(笑)。
M-1で評価される漫才=ストーリー性のある漫才」というのを書いた後に、僕はこれを読んでラジオも録音している友人に、聞かせて貰ったんですが、全体の流れで作るというのと、切り貼りで作るという違いを、凄い理論的に語っていたのは、単純に面白かったです。いまのオードリーの力量で、流れのある漫才を作る時間があったら、どんな漫才になるんだろうか? という単純な興味が沸いてきます。現状でこのぐらい論理的に、その辺の分析が出来るんなら、絶対にもう作れようになってるはずですよ。

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