スタンダードな面白さを評論する意義を見出したい
現在、最も脂がのっている最高峰の漫才師は、アメリカザリガニ、フットボールアワー、NON STYLEの三組なんですよ、ここまでは断言できること。この三組はやってることが、当たり前に綺麗すぎて、アーティスティックにお笑いみたい人には、凄さが伝わらないんだけど。この三組がやっていることこそが、お笑いというか漫才の本質だと思う。
この三組がいまのお笑い評論の流れでは、いまいち評価されないというか。僕からしたら過小評価が過ぎると思うのは、職人的に巧い部分というのが、いまお笑い評論をしたい層には、褒める対象にならないんだと思う。これはお笑い評論というのが始まったばかり、というか過渡的な状況だからなんでしょう。ちなみに、いまのお笑い評論というのは、かつての演芸評論とは断絶していて、新たに始まったものとして僕は位置付けています。
いまのお笑い評論の状況としては、昔の漫画評論において、いわゆる芸術性が高かったり、作品のテーマのメッセージ性みたいなものにばかり、評論が集まっていた中で、90年代に入って、横山光輝とかジャンプのバトル漫画とかを、漫画評論で肯定的に取り上げるようになっていった。そういった流れにまで、いまのお笑い論はまだ到達していないんですよね。
だから僕はM-1が技術論に近年特化しているのは、将来のお笑い評論の成熟に向けて、凄い良いバランスだと思っています。お笑いとは基本的に職人芸、という認識をロジカルに広げていってもらいたい。
松竹芸能LIVE Vol.7 アメリカザリガニ 侵略と愛 [DVD] by G-Tools |
ドレキグラム’09 [DVD] by G-Tools |