『M-1グランプリ2009』

オープニングで、また木村が縁故で仕事してるのを見ると、これから芸人が将来かけて真剣勝負するのに、こういうコネだけで不向きな仕事に、毎年ありついてるのを見るというのは、色々と思うところがありますねえ。ここはアナウンサーで良くないですか? 中澤は、本当にM-1好きだよなあ(笑)。もうこれ三回目ぐらいですよね、マリノスは中澤がM-1見に行きたいから、天皇杯でベスト4に残らない説を提唱してみたくなる。あとマナカナと大林素子は、ゲストでわざわざ呼ばなくても来るような気がする。
本当に直前になってくると、東京ダイナマイトは大外しはしない気もするけど、むしろハライチとモンエンの方が心配になっています。
審査員がリラックスしてネタトークしている中で、知事が緊張しすぎていたり、巨人師匠が見事に受けたり、山里が楽屋でハートの強いところを見せた話を聞いたり、M-1らしい雰囲気が心地良いです。くまだまさしを前説に起用した人はエライ、もう良い雰囲気ができあがっている。ただ哲夫の「テンダラーの浜本さん」の呼びかけはスベってたよね、去年が良かっただけに残念だ(笑)。
これから毎日のようにM-1のビデオを見返しながら、感想書きためたりしていくので、とりあえず今日付では、見ていた最中に思ったことを、手元のメモやTwitterに書いたことなど中心に、その時何を思ったか書いていきます。もうちょっと濃いことは明日以降に。

  • ファーストラウンド

ナイツ 「言いまつがい」 4位:634点 個人採点:79点

イントネーション中心の言いまつがいネタ。「ジーコ」とか「だいたい骨」とか、個々に笑ったボケはありましたが、M-1でこういう自己紹介ネタはないなあ。でも審査員はきっちり技術点で高評価。トップということでの補正効果もあったかな? 技術を見せることに専念した感じですが、昨年の「ヤホー漫才」と比べると、トミーズみたいなトラディショナルな寄席漫才のように思えるから、ちょっとこの点数は驚きました。

南海キャンディーズ 「ストーカー」 8位:607点 個人採点:93点

もうとにかく好きなネタを、思う存分やりきってくれた所が嬉しい。もう僕は大好きだし、山ちゃんのフレーズの全てが、オチ以外はクリティカルでしたけど、審査員がどう評価するかは微妙だとは思ったので、これは仕方ないかなと思いました。山ちゃんの成長に、明らかにしずちゃんがついていけてない。
これで今日の審査員は、どういう漫才評価するか分かりますね、やっぱり正統派、技術点重視というのが明確になりました。

敗者復活戦、結果発表

事前のスタジオのやり取り、今ちゃんは井上に優しいねえ(笑)。キングコングが梶原の「ウーイエーイ」も素晴らしかったけど、ダブルネームに振る西野の司会者芸人の嗅覚は素晴らしかった。去年の敗者復活戦会場からの映像で一番納得できなかったのは、誰もダブルネームのエグザイルをいじらなかったことですから、長くゴールデンタイムのバラエティで、MC役をやっている経験値の違いを見せてくれた。
ということで、僕のトップ予想ではなかったけど、NON STYLEが選ばれて嬉しい。ここまでのこの審査傾向を見て、やっぱりノンスタ連覇濃厚に思いました。
現地観戦の人のTwitterのつぶやきを見ると、敗者復活戦会場の発表の時の歓声は凄かったらしい。去年も敗者復活戦会場は、ノンスタへの後押しが凄かったし、やっぱり普通にお笑い見ているような人たちは、NON STYLE好きなんですよね。

東京ダイナマイト勝利者インタビュー」 6位:614点 個人採点:81点

前半は松田のキャラとか、言い回しが面白くて好みだったんですが、あまりにも漫才がワンテンポ過ぎて、普通に見ている人は引っかかり所がない。また松田のキャラで引き込んで、ハチミツのツッコミで受けるのが狙いなんでしょうが、肝心のハチミツのフレーズが、さっきの山ちゃんと比べると一つ一つが弱すぎる。また面白い部分も、全て有名人の固有名詞をだしてくるボケで、こういうのは賞レースでは評価されないですよね。
前半は良かったけど、それでも凡庸な漫才だと思うし、何よりもボケが全てあまりにも同姓に媚びすぎ、マッチョアピールしたいような人に寄りかかりすぎてる。「勝利者インタビュー」という設定も、最近の若手漫才の設定としてよくあるものだし、結局彼らが何を見せたいのか、というのが分かんない漫才でした。あと意図的なつもりなんだろうけど、ハチミツはあんな淡々とやってると、単に下手なだけに見えてしまう。

ハリセンボン 「煮物」 9位:595点 個人採点:75点

なんかベタベタだなあ、お笑いの教科書通りやってます。という感じですねえ。まあ今年はほとんど漫才している時間が、多忙と病気でなかったはずだから、ネタ作りも練習もする時間がなかったということでしょう。台本も漫才の技術も、正直言って準決勝の水準もないと思う。

笑い飯鳥人」 1位:668点 個人採点:99点

すげえ設定のとんでもないネタだわ(笑)。哲夫はこんな複雑なネタなのに設定の説明が巧い。「だいたい分かった」からのお約束の展開に持っていくのも、期待感をくすぐるし、もうほとんど巨人師匠の審査コメントなぞるような感想しか出てこない(笑)。みなさんは鳥人の上は何で浮かんできましたか? 僕はセキセイインコです。
笑い飯は本当は頭の良い二人が、頭で考えて馬鹿馬鹿しいことをやっているんだけど、こういう相当考えたんだろうなあ、という匂いがする方が、笑い飯の本質が出ます。「シューベルトの魔王」とか良いですよ。これはM-1における笑い飯の最高傑作でしょう。紳助の100点、他にも98点が二人という採点も当然でしょう。出番順がもっと後ろの方なら、アンタッチャブルの最高得点を更新したでしょう。
ここで南海キャンディーズが敗退。しずちゃんの「思ってたより、良い審査員でした」は、去年の西田の「思うてたんとちがーう」を受けてのものかなと、ニヤリとしました。

ハライチ 「飼いたいペット」 5位:628点 個人採点:95点

M-1で評価されるのかとか、笑い飯のあの大爆発の後でどうなのか? ということは全て心配無用でしたね。最初はスローに進めて、とにかく分かりやすく進めている。初めての決勝で、ここまで気を遣ってるのは凄いです。ツカミとオチだけが、いつも通りにやっていないことが悔やまれる。この二つをもっとスムーズに、というかいつも通りにしていたら、上位を食えたと思う残念です。
僕はハライチ大好きなんですが、ここまではまるとは思わなかった。ハライチのことを過小評価していた。という風に反省しましたわ。先日のNHKの大会の決勝で、伝わらなかったことの反省もあったのかもしれないですね。
もう少し審査員は割れるかなと思いました。順位と合計得点はこのぐらいで分かるのですが、もっと評価する人と評価しない人が極端かと思っていましたが、総じて高い評価なのも嬉しい驚きでした。

モンスターエンジン 「夫婦喧嘩」 7位:610点 個人採点:70点

生で最近このネタ見て、「えっ? これで決勝行ったの?」と思ったけど、その印象が変わらない。銀シャリ決勝で見たかった……。というかこれなら千鳥で良いじゃん。千鳥の方が良いじゃん。銀シャリがまだ足りなくて、千鳥がもう出せないという評価なら、勇気をもって大阪の準決勝からは、笑い飯一組で良かったんじゃないだろうか?

パンクブーブー 「アパートの隣人トラブル」 2位:651点 個人採点:88点

とにかく頑張って欲しいなあ、という目で見ていましたし、「わんぱく工事現場」とかムッチャ笑いましたけど、高得点だと思いますが、普通かなあと思いました。これならタイマでも良かったような気もしました。
この後の審査コメントでの、紳助と松本の笑い飯いじりは、ハードル下げてあげる優しさに充ち満ちています(笑)。

NON STYLE 「ヤンキーのボス」 3位:641点 個人採点:100点

敗者復活戦で見た感想だと90点だったネタですが、敗者復活で見るより、この会場でみたほうがノンスタ面白い、なんでストレートで上げなかったのか。って話にまたなりそうだなあと思ってみていましたが、敗者復活戦と比べて、ボケ数が増えているし、内容も変わっていて驚きました。いやこれ凄いわ、やっぱり今の現役若手漫才師で、実力その他において、現在抜きん出ている。
本当は97点とか98点だけど、紳助じゃないですが、その辺の感動点が加算ですわ。もう僕はこの時点で、ノンスタの連覇を何にも疑っていませんでした。
ナイツが破れたのは、出番順が悪かったと言うことではなく、僕はナイツはトップ出番じゃなかったら、本当はハライチより下だったと思う。点数が上回ってるのは、ラサールさんが言ってるような、トップバッターへのおまけ採点分が、加算されているだけだと思います。だからこの時点で、ノンスタがナイツに勝ったのは、ナイツがトップ出番だったからというのが、TwitterのTL上に散見されたのには、少しイラッとしていました(笑)。

  • 最終決戦

笑い飯パンクブーブーNON STYLEの三組が決勝に、大舞台が映える三組が残った。この三組は吉本で大舞台慣れしていることが物言いましたね。舞台経験じゃなく大舞台経験の差があった。

NON STYLE 「時代劇」 個人採点:99点

これも以前に見た時と別物になっていた。ノンスタが横でこんな凄いネタやってるのに、どうして他の若手芸人は、堂々とあんなに時代劇ネタできるんだろう? という風に終えるぐらいの水準。

パンクブーブー 「陶芸の師匠」 個人採点:99点

あーこのネタかと思ったんですが。これも凄い改良されていたし、ネタの台本だけじゃなくて、本人達の演技や勢いの盛り上がりが凄かった。

笑い飯 「野球→ラグビー」 個人採点:87点

もう野球のネタが始まった瞬間にガッカリ、もうこれで消えた、と。これでノンスタに対して贔屓目が入っている、僕が見てもノンスタとパンブーが同じぐらいの評価なんだから、連覇になるノンスタより、パンクブーブーが優勝が決まった瞬間でした。
そんなこと考えていたら、ラグビーのネタに変わって、もうこんな優勝するチャンスの時に、二つのネタを繋げたものしか出して来れないことに、いくら毎年のようにM-1出ていて、良いネタは過去に多くを使ってしまったとはいえ、こんなタイミングで、こんなネタしかできないとは……。紳助と松本の呆れを通り越した笑いが全てを現していました。大事なところで哲夫が噛んでたり、以前にこのネタ演じていた時と比べても、テンポも良くなかった。ノンスタとパンブーが上げてきただけに、残念というしかない。

  • 結果発表

パンクブーブーだろうなと思いながらも、「うわーもうどっちだろう?」という気持ちを僅かに残して見ていましたが、パンクブーブーが優勝、おめでとうございます。いやー拍手、拍手です。パンブーが二本目で、大きく上げてきたのが勝因ですね。でも本人達としては、自信のある評判の良い方を、一本目にぶつけたと思うので、これは二本目の当日の出来が大きく物を言いました。
それだけにもう笑い飯が、本当に残念でならないです。どうして二本目に新しいネタを卸さなかった、一本目が凄かっただけに悔しくなってきた。
一本目の笑い飯は、本当に過去最高でしたよ。というか笑い飯、ファーストラウンド一位通過が、今回は初めてだっただけに残念です。この負け方は、お笑いファンに変な持ち上げられ方しそうだし、まあもう笑い飯はそっちに媚びて生きていくしかないのかもしれないですけどね(苦笑)。いやでもそこは割り切って、一皮剥けて欲しいです。
笑い飯はこの後、お笑いマニアに媚びて生きていくべきなのか、それともM-1の呪縛解かれて世間に羽ばたいていくべきなのか悩むわ。俺が悩んでも仕方ないけど、本人達のこれまでのスタンス考えると、前者を選ぶのかも知れませんが、ここは吹っ切れて欲しいところです。
ノンスタとパンブーは数年前からあるネタだけど、改良して、完全に別のネタになっていた。一方の笑い飯は二つの昔のネタをただ繋げただけだった。この差は大きかったなあ。実際にノンスタは一本目に匹敵、パンブーは二本目の方が面白かった。笑い飯は一本目から二本目で落ちただけでなく、20代前半の頃に作ったネタを、30過ぎてからやっている無理も大きかった。
しかし二本目に笑い飯は何をしたら良かっただろう? 予選の二回戦では「Jリーグのスカウト」というネタだったらしいですが、今回やらないと言うことは自信なかったんでしょうし、僕がいまパッと浮かんだのは「ガムの妖精」のネタだったんですが、ただこれだと「鳥人」とネタの構造が同じなので、単に同じパターンの弱いネタ出したことになるから、やっぱり難しいですね。一緒に見ていた方は「宇宙戦争」と言っていたのですが、確かにそっちの方が可能性はあるかも知れませんね。
まあでも思い切って「パン工場」とか「機関車トーマス」の改良版持ってくるぐらいの、開き直りがあっても良かったのかも知れないですね。

あ,忘れてた.笑い飯の哲夫さんは,なぜ,ファーストラウンド審査発表後,ビキビキビッキーズをやったのかが気になる…
Twitter / すいか: あ,忘れてた.笑い飯の哲夫さんは,なぜ,ファーストラ ...

最初の「テンダラーの浜本さん」という呼びかけといい、やっぱり本当はベタな大阪のお笑いが好きなんでしょうね、決勝の場所でリスペクトを現している相手が、テンダラービッキーズって(笑)。本当はああいう漫才やる先輩が好きなんだなあ、二回ともからかってる感じゼロでしたからね。
いやー笑い飯はさっさと開放されて欲しいです。優勝一度はさせて上げたかった。という思いもありますし、なんかもうねえ、泣けてきて仕方ないですわ。色々と考えると、他人事なのに泣けてくること、この上ない限りです。お笑いのことを考えて、こんなに本気で泣いて嗚咽までしたのは、一昨年のサンドの優勝以来だ。今年の二本目のネタで優勝なんて絶対にあり得ないし、優勝していたら怒ってるけど、でも笑い飯M-1でも優勝できなかったという事実だけが残ると、泣けてきて泣けてきて仕方ない。
しかしもうこれはM-1だけが漫才じゃない。これを機会に裸一貫で大阪からも離れて、M-1というユースのカップ戦から、長いプロのリーグ戦に向けての戦いに入っていってほしいです。もう笑い飯は吹っ切れて変わるか、とことん貫くか分かんないですが、過去のどのM-1チャンピオンよりも、売れてやるという気持ちで、これから戦っていって、M-1以後の笑い飯のほうが面白くなった。という風に言われるだけの活躍をして欲しいです。
今回の鳥人のネタは、笑い飯のしょうもなさ(褒め言葉)、馬鹿馬鹿しさ(最大級の褒め言葉)がつまった上に、二人の変に教養的なところもあって最高だった。あれ15分だったらもっとくだらないことと、変に教養的なことが、もっといっぱい詰め込まれたカオスになっていたと思う。最高だったよ。、本当に今までM-1ではありがとう。
いややっぱりM-1は良いですわ、今回決勝の審査は良かったし、ただナイツがちょっと高いかなというのと、南キャンはもう少し評価して貰えても良かったかなあとは思うのと、あと最終決戦はノンスタを二位に上げる投票を、誰かにお願いしたかったですね。ただそれも些細なことばかりでしょう。ノンスタは敗者復活戦からの優勝、それも連覇ということがあった以上、二本目でぶっちぎるぐらいの漫才しないとダメでしたからね。

「よしもとオンライン」〜M-1グランプリお疲れ様スペシャル〜

とりあえず大悟が、ノンスタの敗者復活に本気で切れて、周りがマジフォローみたいな展開になったのはダメだよ、いや大悟はネタのつもりだと思うけど、周りにそう思われないで、マジフォローさせちゃダメでしょ。千鳥は今日良い仕事したんだから、そんな準決勝の審査員に言うべき不満を、マジでぶつけてるように見えてしまうノリはダメ。というかあんな孤高の漫才やってるんだから、そこは格好付けて強がる方向で行かないとダメだ。
この辺が千鳥がもう一つ上に行けない理由ですよ。
笑い飯は匂わせることはあっても、こういう場所ではネタに出来ないような不満は言わないでしょ? その後に出てきても、言いたいことは全て笑いになるように言っていた。ノンスタやキンコンを前にして、プロレスが出来ないで優等生になるのは、笑い飯の品格ですよね、プライドと言っても良いのかな。ただそれは凄く余計なものではあるんだけど、でもこの千鳥と比べると、格好良いわ。
もちろん大悟は100%の本気じゃなかったと思いますよ、実際にこの後でノンスタ石田と電話で、凄く仲良しこよしな口喧嘩していましたしね(笑)。ただ千鳥は今日も良い漫才していたので、こういう事をいうタイミングではなかったと思う。
ところで笑い飯は、やっぱり「来年も出られる」と、本人が言うてるのね、さっきの俺の涙を返せ(笑)。もしくは麒麟トータルテンボスのように、本当はもう一年出られても、今年が最後と思っていたから出ないというのかと思った。