『M-1グランプリ2009』敗者復活戦をスカイAで観戦

敗者復活戦、セット組んでいる中で馬が調教する写真とか見ながら、朝から待っていました。勝手に付けたネタのタイトルに付けた数字が、リアルタイム採点です。リアルタイム採点と、勝ち上がるかもという予想は必ずしも一致しません。感想には決勝見終わってからの感想も混ざっています。

  • Aブロック

はりけ〜んずのオープニングトーク、相変わらず面白い。僕は大阪の予選司会から、中田なおきがいなくなったのは寂しいと感じている、珍しい人ですが、こういうはりけ〜んずのやり取りをテレビで見ると、やはり邪魔者がいなくなったと感じてしまう(笑)。迷惑にならないように、つなぐためのアニメネタなんかもしつつ、ブロック毎の出演者紹介への歓声で、東京での芸人の人気と知名度が分かります(笑)。藤崎は案外、維持していましたね。

プリマ旦那 「バイト先に友達が来る」60

元気の良い動きのある、「バイト」をテーマで同世代の共感を呼びやすいネタ。分かりやすい大阪の若手芸人の漫才で、トップバッターとして基準になりやすい。またそういう役回りの似合う人たちでした。中盤の現場の下りから急速に下っていった。

見取り図 「彼女が欲しい」55

これまた「彼女」や「合コン」をテーマにした。同世代が思い入れしやすいネタでしたが、プリマ旦那と比べて、こちらの方が捻りがある分、中盤からの失速が少し早めでした。ドッペルゲンガーのことを“ドッペルゲンガー”という単語を使わないで、ネタに入れていましたが、この言葉を入れたら伝わりにくいと思うのなら、ボケ自体をカットしても良いんじゃないでしょうか? この辺が大阪のbaseよしもとの、お客さんを信用しているのか、信用していないのか、分かりにくいところです。プリマ旦那との5点差はオチです。

三拍子 「子どもの頃の遊び」89

最初の二組との違いの差が歴然すぎる(笑)。まあこれが一応は決勝有力候補になってい芸人、大阪のレベルの低い三回戦を、ニューカマー補正で合格した芸人の差でしたね。しかしそれでも凄い面白いんだけど、M-1っぽくない。という感想に尽きるんですよね。
テーマに則って一つのお話を進行しているようで、実は小ボケを連発しているだけの漫才というのは、M-1は決勝も予選も審査員は低い評価になる傾向がある。この後にもあるんですが、「M-1=手数」という話が半端に広まっていって、とにかくスピードがあって、ボケ数が多い漫才が、M-1では評価される。という風潮が高まっているけど、全体の流れに沿っていない小ボケを、とにかく速く量を出しても、M-1向けというか、賞レース向けの漫才にはならない。やはりNON STYLE、オードリー、今年ならハマカーンのような創意工夫があって、大きな流れに大きなボケがいくつも詰め込まれているものを、「手数の多い漫才」と言うのでしょう。
ただ三拍子の小ボケはみんなレベルが高い。1位を決めるような大会じゃなかったら、100点に近い漫才です。だからここはオンバトでも通常放送では、常に評価が高かったのに、チャンピオン大会では勝てなかった。ということなんでしょう。

チーモンチョーチュウ 「通販番組」65

「三文字」はやっぱりやらないか、でもここは「三文字」以外は、普通の良くある東京吉本の漫才ですよね。今日の漫才もとにかく普通としか形容できない。こちらも小ボケを積み重ねる系のネタでした。

藤崎マーケット 「火事」50

なんでこんな寒空の下で、藤原時は半袖なのか、ということが気になって仕方なかった(笑)。実際にネットの反応でも、「半袖」というのが多かったみたい。そんな半袖キャラなんて、タンクトップと違って定着していないのに(笑)。
ツッコミがお話を進めていくのに、ボケが茶々入れしていくという形の、小ボケを積み重ねるタイプのネタですが、茶々入れが小さい細かいことが多くて、ライブハウスとかで見たら面白いだろうけど、大きな会場向けではない。それだけでなくボケが全体的に「踊り場で踊る」みたいなものばかりで、同じ小ボケ積み重ね漫才でも、三拍子はもちろんのこと、チーモンと比べても小ボケの質の差がありすぎる。

Aブロック総括

とりあえず三拍子がダントツでしたね。他のコンビを上位に挙げるというのは、ちょっと考えられないです。ただ決勝にいけるほどの出来に、三拍子がなかったのも確か、静かな立ち上がりとなりました。三拍子は決勝圏内の良い基準値。

  • Bブロック

メメ 「おしゃれなバー」62

野球ネタの女性コンビということでしたが、ストリークや青空というよりは、昔のナイツの方向性の野球ネタ漫才、マニアック漫才としてみれば、この三組より上かも知れないけど、漫才としてみたらこのレベルにはいると物足りなさが目立つ。世界が小さい漫才って大舞台に向かない。三回戦とかで見たら、まだギリギリ面白いんだろうなあ。

アームストロング 「バスケ」40

これぞ若い子に媚びたネタ、異性に媚びたネタというのを絵に描いたような漫才でした。30越えたオジサンに、こんなネタで笑えと言うのも無理な話だし、二回戦の感想でも違うコンビに書いたけど、もうアラサーに差し掛かっている男が、そういうネタするのも本来は無理がある話だと思う。ジャニーズの人だってこの年齢になったら、若い女の子だけに媚びても仕方ないという風になるもんですよ。別に異性媚びは悪くないんだけど、やり方が安易すぎる。歳行ったら歳行ったなりのやり方があるでしょう。35点でも良かったかな?

ロシアンモンキー 「昔話」68

天使と悪魔という手垢の付いたネタで、スタイルも非常にトラディショナルな漫才でしたが、会場の音響トラブルへの対応とか、技術と経験有り。立ち振る舞いとかも面白い、ただしばらく見なかったんだけど、若手っぽさがなくなり過ぎだけど、とりあえず友人諸君含めて、なぜか関西人がやたら喜んでいた。僕も嫌いじゃない。

ジャルジャル 「ヤンキー」65

ジャルジャルは漫才になると、こういう言葉遊びに終始しますね。紙に書いた理屈っぽいネタという感じ。ラサールさんの本での千鳥評を思い出した。

千鳥 「通販番組」80

通販番組、早くも二組目なんですが、準決勝のネタですからね。大悟のこういう声の出し方は好き、良い声ですが、お客さん受けてないなあ。という風に思っていたら現地組の感想を読むと、ノブの声がほとんど会場に聞こえていなかったとか、それはもう千鳥ぐらいの経験者がそれはダメでしょう。ネタ以前の問題じゃないですか。
というかこれが大阪の準決勝で、トップレベルの受けというのは、大阪のレベルがやっぱり不安になってきますね、この千鳥のネタは、僕は実はかなり好きな方なんですよ、ただ爆笑するネタじゃない。見ている最中は「くすくす」って笑うだけなんだけど、見終わった後に、今日の良かったのとして思い出すのは千鳥、というのが千鳥の本質なのかなあと思いました。そういう心をくすぐるタイプの笑いが、大爆笑になるのは、やっぱり多少の問題はあるように思える。芸人さんも勘違いしてしまうしね。オール巨人師匠が千鳥を「囁き漫才」と称していたのは正しかった。そして囁かれているのに対して、爆笑するというのは変ですよね、囁きには小さく笑って、心で大爆笑するのが正しい。ただ「むしあなご」が全然伝わってなかったよね(笑)。でも今日のネタは面白かったです。千鳥の中でかなり好きな方のネタです。

プラスマイナス 「文章に鳥を入れる」45

なんで大阪の若手は迷走すると、みんな劣化Wヤングになるんだろう。もっというとこのパターンは、銀シャリが『レッドカーペット』でもっとうまく形でやってる。まあそんなことよりも、プラスマイナスにタレントオーラが一切消えていた方が気になりました。

Bブロック総括

千鳥はレベル高い良いネタだったけど、決勝という感じじゃないし。オーディエンスで三拍子を上回る感じでもなかった。ジャルジャルの手抜きと、プラスマイナスのタレントとしての劣化が目に付きました。

  • Cブロック

天狗 「同時通訳」20

何一つ笑えない。というか「殺します」推しはないでしょう。こんなことをするコンビを、衛星やケーブルとはいえ、テレビ中継があるところまで残した、三回戦の審査員の見識を疑う。いや別に面白いことをしようとして、結果的に不謹慎なことするのは仕方ないにしても、これは明らかに不謹慎なことをする、というのが先に立っているネタじゃないですか、そういうことを評価してはいけない。不謹慎な事していると言うだけで、喜んだり評価したりするのは、芸人を甘やかして、小さくしているだけです。本当は0点ですけど、まあ会場笑ってるからね。ただ三回戦じゃなく、二回戦レベルだった。アマチュア名義でこういうネタやっていたら、普通に一回戦で落とされていたでしょう。

ジャングルポケット 「イジメを止める」60

ほぼコントで動き回っているせいで、カメラが全くついて行けていない(笑)。斉藤がツッコミというのは面白いですけど、なんか詰め込みすぎてる上に、小さくまとまってる気がする。とっちらかり過ぎというやつですね。それにまあコントだったしね。この三人でしゃべくりが見てみたかった。

アジアン 「究極の選択」50

なんかネタに対して発想力ばかりが重視されて、構成力が軽視されているという、いまの若手お笑い界の病巣を見たなあ、アジアンぐらいの実力者が、こんなとっちらかったネタやっちゃダメでしょう。しかも古いネタのリニューアルなのに、こんなに構成に気を遣っている気配がないネタはどうなの? 結局ここも隅田のブサイクネタ以外は、全て言葉遊びに終始するネタですよね。
アームストロングに対して「もう見るの十何回目か」とつぶやいてた人がいたけど、このネタは関西の人にとっては、「もう十何回も見たわ」ってネタですね。
あとキャラ的にどんどん馬場園が、単なる大阪の嫌なオバチャン化しているのも、マイナスですよね。馬場園と比べると、まだ友近は芸人のキャラとしての線をギリギリ保てていることが分かる。

スーパーマラドーナ 「時代劇」60

これも今年、何回テレビで見たか分かんないわ(笑)。もう今更、判断するのも難しい。まあネタとしては、良くも悪くも典型的なbase芸人の漫才ですね。こういう並びで見ると良く分かる。

チャド・マレーン 「英語」70

チャドが髪伸ばして、イケメンになっているという話は聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。雰囲気変わりすぎだろ(笑)。
2005年の準決勝のジパング上陸作戦は、決勝に行ったと思うぐらい爆発したのを、生で見てしまったので、どうしても期待してしまって、ここ数年裏切られまくっているのですが、今年はオーソドックスな教科書通りの外人漫才でしたが、それが彼らには一番面白い漫才の形でしたね(笑)。
しかしチャドよ、「パックンみたいになってまうやろ」って、いまからパックンみたいになったら、それは大出世じゃないのか(笑)。とりあえず「うまい棒」をデリシャスバーに訳すみたいな手垢の付いたボケで、笑わせられてしまったのは、君たち漫才巧いよ(笑)。今年がラストチャンスでしたが、去年や一昨年の迷走が悔やまれる。

ヘッドライト 「映画のタイトル」72

基本的にいつもと同じでしたね、こういうネタはその日のコンディションとかに、そんなに左右されるタイプのネタじゃないですが、毎年の敗者復活戦と、ほぼ変わらない漫才でしたね。やっぱりこれが大爆笑になる、大阪の準決勝って本当に異様な雰囲気ですよね(笑)。千鳥とヘッドライトは、一度だけで良いから、東京の準決勝でどんな雰囲気になるのか知りたいなあ。68点とか思ったけど、約分のボケは予想尽きやすいネタだけど、僕は不意をつかれたので笑ってしまったので、少し加算しました(笑)。

Cブロック総括

チャド・マレーンが一番良かったです。いやここまでの上位三組は、三拍子、千鳥、チャド・マレーンでした。やっぱりジパング上陸作戦は、普通にやれば面白いよ。。
ここまでの全体の印象として、大阪勢はセンス優先で、言葉遊びに終始した結果、東京勢は目先の笑いを求めて、小ボケ詰めすぎた結果、どちらも構成がなってないネタになっていて、全体の流れとしての漫才として、まとまっていないのが多い印象を受けました。

  • Dブロック

前田登師匠は『ノンタンといっしょ』の話とかして、相変わらず絶好調です(笑)。

コマンダンテ 「布団」75

プリマ旦那、見取り図に続いての、baseのニューカマーですが、一番良かったんじゃないでしょうか? ベタな導入からの裏切りとか、M-1に向いてるネタだと思いますが、ここは2004年のPOISON GIRL BANDのように、本来ゆっくりやるべき漫才を、緊張からかテンポ速めにやってしまってましたね。ただここは今後、お笑いマニアから過剰評価を受けやすい芸風なので、今後あんまり迷走しないようにしてほしいです。今年の『ABCお笑い新人グランプリ』も決勝に残っていますが、大竹さんが審査員から外れたのは、このコンビニは不利に働くなあ。

タイムマシーン3号 「子どもがほしい」88

今年ラストチャンス、実力も折り紙付きの決勝経験者、今回のネタも面白かったけど、決勝というのとは、何かが違う足りない。決勝向きじゃないのは分かるし、でも良い漫才なんで、決勝の雰囲気でどういう評価に出るか見たいんだけど、三拍子とどっちが良いのか、というレベルの争いになっている。

囲碁将棋 「JAYWALK」61

正直、去年の敗者復活戦、今年のリターンズで見て、どうして去年の準決勝に残ったのか、意味が分かんないコンビだったんですが、今年は決勝を押すこともあって、ますます不思議というか、どこまで今年確変があったのかと期待しましたが、まあ悪くはなかったけど、とても決勝といえるレベルの漫才じゃなかったし、この舞台だけがたまたま調子悪いというような、ポテンシャルはありそうなのにという雰囲気も感じなかった。
典型的な吉本の玄人受け漫才。こういう漫才を「決勝候補」と思ってしまうのは、自分が世間とズレているという、合図だと思った方が良いでしょう。もうよくある吉本漫才。JAYWALKって題材の持ってき方が、吉本芸人っぽい。これって伝わるかなあ?
前半は面白かったです。ただT-BOLANとかSHAZNAとか、吉本芸人は、少し前の流行ったJ-POPをネタにするのが好きすぎる。

スマイル 「早口言葉」55

ネタが導入で何か分かって、それだけで意気消沈。相変わらすよしたか君のキャラが不安定。その上にクリスタルケイって(笑)、なんで吉本の芸人は少し前のJ-POPアーティストをボケに入れるのが好きなんだろう。後にも延々と布袋の曲ボケだったし(苦笑)。
せっかくテレビで見ていると、全然タレント性の雰囲気などが違うのに、ここまでキャラに合っていないのは厳しい。

天竺鼠 「腹の立ったこと」25

ツカミでお客さんに対して「みんないつか死ぬ」と、お前等チーモンチョーチュウってコンビ知ってるか? 今日も出ているって知ってるか? という不満がツカミの段階で沸き起こる(苦笑)。やっぱりさっきの天狗とかもそうだけど、やっぱり死とか、シモネタとかの不謹慎なネタは、単純に芸人にとって安易に笑いが取れる安いアイテムに成り下がっていると思う。
天竺鼠としては、これは世界観も完成しているし、満点の出来なのかも知れないけど、天竺鼠は漫才力入れてないんだから、そろそろ三回戦で落としても良いと思う、こういうコンビが無条件で準決勝に上がっている現状は、ただただ大阪のレベル低下を喧伝しているだけでしょうし、彼らにとっても、もはやここに出て知名度を上げる段階じゃないんだから、ネタがないのに出る意味がない。オチで客席から非難の声が出たのも、当然の内容でした。

POISON GIRL BAND 「モノマネ」94

面白いけど学生でも思いつくレベルのシュール、大きく笑えるところはみんなベタな部分なんだけど、それがクリティカルに面白い。いやこれは好きだわ、面白い。やっと大きな波が来た。これ準決勝でやったのなら、落とした審査員も悪くない。そして今回ここまでで、ようやく通過できそうな漫才が出てきた。でもこの後に残っている駒を考えると、それは無いんだよなあ。

Dブロック総括

ようやくPOISON GIRL BANDが停滞したムードを打ち砕いた。他の有力勢が、タイムマシーン3号や三拍子並の出来なら、ポイズンが決勝に行くといえるテンションの人が出てきた。

  • Eブロック

鬼ヶ島 「二人で漫才やりたい」69

トリオでメンバーの二人が漫才をしたいからと、一人を除け者にするという、よくあるパターンですが、除け者役の野田のキャラクターとコメントが面白い。気やらが面白いの分かるんですが、「なんの特徴もない二人がダラダラ喋ってるだけ」という批評性の高いツッコミも含めて、よくあるメタなネタの中で、野田のキャラとフレーズが光った。鬼ヶ島ってグループを、初めて面白いと思いました。ただ実際は賛否両論なのも分かる。僕も紙一重でしたし。

レモンティー 「自己紹介」40

また福岡芸人の地域アピールネタ、お願いだから九州の漫才師よ、地域アピールはもうM-1の大阪や東京の舞台ではしないで、もう正直耳にタコレベルじゃないのよ。そんな自己紹介ネタを、まさか敗者復活戦という、準決勝まで勝ち上がったコンビが出るステージで、見せられるとは思わなかったよ。これが受かるって、どれだけ大阪の三回戦はレベルが下がったんだよ。とりあえずこれより下だと、僕が心の底から酷いと思っている、という意味の基準点にはなったよ(笑)。

オリエンタルラジオ 「合コン」60

なんかムッチャ褒めてる人も多いけど、あっちゃんの狂気が、全然足りてないし、なんかルミネや∞ホールで喜ばれるような、女の子媚びのネタ。いやなんかオリラジには、こういうネタは、こういう場所でやってほしくないというネタを、やられた感じがする。はっきりいってこれで喜ぶ人は、男でも腐女子の要素がある人だと思うぞ。これで決勝に上がっても、あの審査員たちは評価しないよ。なんか普段から漫才していないコンビの、客受けを焦った漫才でしかない。

ソーセージ 「いじる」25

若い女の子媚びのネタが続きますね。という感想しかないんですが、去年の準決勝と同じネタで三回戦突破して、敗者復活戦でこんな二回戦レベルの構造のネタされるのは、このトリオを評価している身からすると、残念としか言えないですわ。
いやこれだって、劇団とか俳優養成所の人が、M-1の二回戦とかで良くやっている漫才そのものですよー。もうガッカリというか、所詮おまえ達は解散コンビの片割れが集まった、残り物料理かと言いたくなるよ、こんなことされると、俺はお前達に期待してるんだよ(苦笑)。
なんでお笑いファンは、自分が期待しているコンビには、あんなにみんな優しくて甘い評価するんだろうねえ、俺はもう期待している芸人だからこそ、どうしても厳しくなってしまう。お笑いファンって、男女問わずに母性が強いよねえ。

とろサーモン 「ボイスパーカッション」45

もうこんなお笑いファンには、飽きているような手垢の付いたネタを、こんなお笑いファンしかいないような客で埋まっている舞台で、やってしまうということが、いまのとろサーモンの現状を全て現しているし、残念ながらこの姿勢を評価する人が、いくつかいたのが、ますますヤバイなと思ってしまう。
とろサーモンは、もう地方の営業やNGKならともかく、もう漫才でボイスパーカッションやらないほうが良いと思う。テレビやこういうステージで見る客は、もうみんな見飽きるぐらい見ているから、というぐらい古いネタでしたね。
はっきりいって、ワンフレーズ毎の笑いは起きているけど、漫才の流れとして笑いが全く無いから、こういうのは専門家であろうが、オーディエンスであろうが、審査員は評価しにくいですよ。

磁石 「昔話」70

またツカミが「死」かよとか、ボケが無意味にテンション上がっていて、それがリズム崩していたり、そして以前にもダメだった最後に全部突っこむパターン、はっきり言いますが、空回りしてボロボロでしたね。CM入りだったので、舞台袖にいく二人をカメラが追っていましたが、佐々木の表情が全てを物語っていました。

Eブロック総括

このブロックはとにかく消化不良、上位三組は変わらず、三拍子、千鳥、チャド・マレーン。磁石は過去のスカイAで敗者復活戦の中継が始まってから、一番ダメでしたね、これまでは常にトップ5にいたのに、とてもそのレベルでなかった。

  • 休憩

スカイAがつまんないので、ヤフー動画の中継の音声を付けたら、そちらの司会のサバンナが、丁度通販コントをはじめていて、ここまで通販ネタが多かったことを弄っているんだと、それだけ爆笑してしまいました。いやーやっぱりサバンナは今年、東京のテレビでしっかり地位を作っただけありますわ。
でもポイズンが頭一つ抜けていいけど、それだけで決勝って感じもしないんですよね。あの雰囲気であのネタするのも見たい気もするけど(笑)。続いては採点とは違って、千鳥、そしてタイマと三拍子ですね。オリラジと磁石は、正直厳しい。
しかしはりけーんずの中MCを放送でも、配信でも良いから、もっと流して欲しいよ(笑)。サバンナも悪くないんだけどさ。

  • Fブロック

トレンディエンジェル「キスがしたい」77

もう単純にこの風貌とキャラで、異性媚びネタをわざわざしていることが面白い。というか悪意があるよね(笑)。やっぱり自分のキャラを分かってる人は、こういうギャップをきちんと笑いに変えられる。ただかなりゲスいシモネタの所で、少数の女性の高笑いが聞こえたのは、嫌でしたねえ。「こんなシモネタでも、私はお笑い好きだから引かずに笑うよ」というアピール笑いですよ。オタクネタとかスポーツネタでのマニアックすぎるボケに対して、「俺は理解できるんだ」という男の客の高笑いと同じ質のものです。

ガスマスクガール走馬燈」45

特に漫才としてのアレンジもなく、淡々とコントやっているだけでした。結局そういうコンビを準決勝に上げるしかなかったのが、今年の大阪の予選のレベルだったんでしょうね。
個人的に宗教ネタも、安易に危ないことやっている雰囲気出せるから、「死」をテーマにした漫才と同じぐらい、ハードル上げてみた方が良いかも知れない。

カナリア 「嘘を付くのが嫌」60

このパターン、M-1でやるの何回目だろう? 結局このコンビは、コントになるとババリア、漫才になるとシュガーライフになるというのが、コンビ結成の頃から変わっていない。東京に行ったことが、芸風の変化にならずに、baseを引きずっているというのが、珍しいコンビです。「ムッシュ・ミー」というボケは面白かったけど、毎年このパターンで落ちてるし、大きく変わったところはないのに、どうしてこのネタだったんだろう?

ソラシド 「怖い話」35

baseにいた頃によくやっていたパターンのネタでしたが、特にコメントがない悲しさ。これなら罵声浴びたり、聞くのも辛いと思わせる方が良いでしょう。ミサイルマン共々、M-1の大阪予選のレベルが下がったから、準決勝に行けるようになった典型ですね。

流れ星 「お爺ちゃん」75

面白いんだけど、こういうネタで決勝はないよなあ。耳打ちはノンスタの腿叩きみたいな意味なのかも知れないけど、テンポを単に乱しているだけになってる。今年は宗教や祭事みたいなネタ多いなあ。

ミサイルマン 「デブネタ」15

もうbaseよしもとに出てなくて、京橋花月NGKのトップ出番が中心になっているのに、どうしてこんな女子中高生媚びのネタを、やり続けているんでしょうね。デブというだけで、あんな風に弄っても良いという考えをネタにするのもねえ、せっかくオバチャン受けしてるんだから、最後は救いあるネタにしないとねえ。

Fブロック総括

新旧base勢の背骨の弱さと、磁石やトレンディエンジェルの背骨の強さの差が浮き彫りになったブロックでしたが、ただ今年の敗者復活戦は、三拍子、磁石、流れ星が、千鳥やポイズンにM-1というか、コンテスト系で勝てない理由が、何となく分かってしまったなあ。面白いのを全部投票して良いのなら、この三組の方が上なんだろうけど、どれか一組というのなら、千鳥やポイズンの方が票集まるということなんですよね、それはこの二組の方が、こだわっている所が明白で、ネタにも一本筋が入っている。そういうのに対して、面白いことを並べましたという漫才では、審査員が会議室とかで検討していると、他の審査員に推すポイントが説明しにくい。

  • Gブロック

スリムクラブドラゴンボール」79

フランケンの人が扮装していないネタ始めてみた(笑)。ネタがどうこうではなく、雰囲気だけで面白いのが良い、今日の変則的なネタしている芸人の中で一番巧くいっている。三年後にもM-1出てきて同じパターンでやってたらガッカリだけど、初見でこれを見せて貰えるのは嬉しい。ただあのオチはいらんかったなあ。あれが無かったら80点台乗せてた。

さらば青春の光NASA」58

まあここもコントのコンビですよね、とりあえず全国デビューおめでとう。という意味合いしかない。コントで来年のABCの本戦、頑張ってください。ネタの内容はチーモンの「三文字」のバリエーションですよね。あと発想力勝負のネタしている人が、あんな誰でも想像付くオチなのはどうなのか。

かまいたち 「海賊」35

前半の振りが長い、そしてネタが始まって一分半近く、ほぼ笑いが起きてないのはダメですよね。濱家がはっきりと心が折れてるのが表情で分かりましたが、もうそうなるのも分かるぐらい、ビックリするほどスベっていた。
東京の作家さんがTwitterで、「大阪の漫才師がパターンみんな同じ」とつぶやいていて、「かまいたちまでこのパターン?」という風に驚いていたけど、このネタは大阪のファンや、お笑いのブログやってる人で「決勝狙えるネタ」という高い評価を不思議と受けていたので、大阪のお笑いファンの流行りとしか言いようがないです。なんでこれがそんな高い評価になるのかは、僕も良く分かんないです。
あと「大阪のコンビは、前振りが長すぎる」という指摘も別にあったんですが、これが「手数のあるスピード漫才」に対してのアンチテーゼかもしれないけど、その結果が単に前振りが長すぎるだけの漫才になっている。

ダイアン 「彼女のお父さんに挨拶」38

去年までの「知らないパターン」、そして今年からの違うものが絡んでくるパターンもやらないで、以前までのパターンの漫才でした。おそらく去年のパターンは良いネタで、自分たちとして自信があるネタがなかった。そして新しいパターンは、僕も言ってたような複雑すぎるとか、完成していないという指摘が、おそらく周辺からもあったんでしょうが、そこで開き直れないで、昔のパターンに戻ってしまうのが、ダイアンがせっかくM-1決勝にも二回でたのに、一皮剥けなかった理由ですね。今年どれだけの賞レースで、旧パターンやって敗退したか、というのが自己分析できていない。最後は決勝経験者としては、悲しいぐらいのダダスベリでした。

NON STYLE 「ヤンキーのボス」90

去年の腿叩くのが良いアクセントなのは、ノンスタの普通の漫才見ると分かりますね。どうならイキリやって欲しかったけど、もう本人達のなかで、「イキリはM-1では通用しない」という思いがあるんでしょうね。
僕の点数的にはポイズンの方が上ですけど、ただあれが決勝に行くとは思ってないので(笑)、いまのところ実質暫定一位です。

U字工事 「栃木を東北に入れる」97

去年のファイナリストが結果的に三連続でしたが、U字工事がついに爆発しましたね。ここまでの中で抜きん出ていたと思います。むしろどうして敗者復活戦に回ったの? という風に思いましたが、これ三回戦ではやったけど、準決勝ではやらなかったんですね。残りの面子を考えても、かなり有力でしょう。

Gブロック総括

トップ3が、U字工事、ポイズン、ノンスタに入れ替わりましたね。ファイナリスト経験者は、アジアンとダイアンが外しただけで、上位をここまで独占したと感じました。

  • Hブロック

井下好井 「母子喧嘩」35

なんかすーっと聞き流してしまいました。M-1の予選とかで見かける、NSCの巧い子って感じで見てしまった。

いけばな教室 「道案内?」25

これは会場の人たちはほとんど聞き取れなかったでしょうね、テレビで見ても結構厳しかった。途中からスカイAでは番組終了のアナウンスになって、途中から見られませんでしたが、まあ仕方ない扱いでしたね。ネタ飛ばしてから、ボケのキャラが完全に消えてしまってました。

ギャロップ 「タクシーの怖い話」40

ここからYahoo!動画にて、もう完全に昔の雨上がり決死隊のネタでした。圭修やどんきほーてとかもやっていたような、まあ要するに90年代によくある設定とボケの漫才でした。

  • CS放送と動画配信が途中終了

ということで地上波放送はやはりダイジェストで、ここからは見られず。キングコングハマカーン銀シャリ、我が家などは見れず、他にも朝倉小松崎風藤松原の評判が良かったり、志ん茶も見たかったし、最後の方でダブルネームが盛り上げたというのを聞くと、ホンマに朝日放送は何してくれてんねんです。ダイジェスト放送にするのなら、スカイAのほうは再放送前提とはいえ、動画配信の方も打ち切ることは無かったよなあ。そんなことしても事前番組の視聴率上がらないだろう。
事前番組でハマカーン銀シャリらしきシルエットで、会場が爆笑していたりとか、現地の人のつぶやきで、Wエンジンが悪い空気いじりやって、どんすべってるとか見ると、生で見たかったですねえ、こんなの結果出てから見ても半減ですしね。しかも完全放送は成人式の日って、関西だと『ABCお笑い新人グランプリ』の日じゃないですか、丁度放送時間ズレているみたいですが、何時間ネタ番組なるんですか(笑)。
まあ生で全部は寒空現地組の特権ということで、今年は許すけど、来年も同じだったらM-1は朝日から剥奪にしてほしい(笑)。

結果と本戦が終わって

僕が見た中だと、U字工事が抜けていて、NON STYLEタイムマシーン3号が可能性あり、POISON GIRL BANDも僅かに可能性があり、放送がなかった時間帯の出演者は評判だけで見ると、銀シャリハマカーンがかなり良くて、朝倉小松崎風藤松原も受けていたようですが、U字工事NON STYLEPOISON GIRL BAND銀シャリハマカーンの中からという感じでしたが、M-1の敗者復活戦は審査員と客投票で、結果が決まるわけですが、一人三組に投票できるというのが、ノンスタに物を言った感じですね。
やっぱり三票もあったら、決勝に行ってほしいという、後押し的な意味合いの票が集まりますよね。ということで外さなきゃノンスタという一部の方の予想通りになりました。実際にトップグループでしたし。去年の段階でも敗者復活の会場の、ノンスタへの後押し感が強かったから、やっぱり普通に期待されてる存在なんですよね。
これは決勝も含めての感想になりましたが、ノンスタに敗者復活戦からの連覇というのは、足枷というか余計なギミックになりました。そして敗者復活戦からの勝ち上がりになったとき、決勝の会場や敗者復活戦の客席とは対照的に、醒めていた舞台上の芸人達をみると、準決勝で失敗していたのならともかく、多くの人が良かったという出来なら、やはりストレートに準決勝に上げるべきだった。完全に準決勝の審査員のミスだったでしょう。そしてU字工事は、準決勝でこのネタをするべきだった。こっちやっていたら普通に決勝に行ってたと思うし、優勝争いも出来ていた。
あと決勝と見比べて、千鳥とモンスターエンジンPOISON GIRL BAND東京ダイナマイトは、結果が逆でも良かったんじゃないかと思った。特に千鳥は準決勝でもこれだったみたいだし、それなのにこの二組が比較で落とされたのは、もうこの二組を決勝に残すつもりがないとしか思えない。でも過去の決勝での失敗は本人達じゃなくて、準決勝の審査員のせいだと思うぞ。
とりあえずNON STYLEU字工事が、決勝にストレートで上がって、銀シャリとかハマカーンにチャンスが回るのを期待したかったなあ。というのが今回の敗者復活戦の終わってから言える感想でした。
あと磁石、三拍子、流れ星はやはりM-1決勝とか、賞レースでタイトルを取れるタイプの漫才じゃないことを確認。そして関西勢に、最初から勝負捨ててるとしか思えないような芸人が多かったのは、低レベル云々よりショックだった。それだったら昔のランディーズシャンプーハットみたいに、敗者復活戦参加しなきゃ良いのにと思うぐらい、捨ててるネタやったり、古いネタ引っ張り出してる芸人が多かった。
個人的な順位を付けるのなら、1位U字工事、2位POISONGIRLBAND、3位NONSTYLE、4位タイムマシーン3号、5位千鳥、6位三拍子、7位流れ星、8位トレンディエンジェルスリムクラブロシアンモンキーという所ですかね。決勝に行っても良いと思えるレベルは、千鳥まででした。
あと敗者復活戦中継のMIPは、毎年はりけ〜んず前田登の瀧上君いじりですが、今年は麒麟川島の「絶対我が家の漫才見たいでしょ今」でしたね(笑)。

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