富野由悠季と安彦良和のリアル

ガンダムエース9月号〔富野由悠季×安彦良和対談〕より(2) - 〜ものかきの繰り言2009〜

リアリティと現実を追っているのが安彦、リアルと物語を追いかけているのが富野、という印象を、強く受けたインタビューでした。
そう考えるようになったのは、もう一つ僕の中に予備線があって、先日のガンダム講談の打ち上げの際に、『ORIGIN』の話題が出たのですが、その時に「それは描写としていくら正しくても、ミハルがガンペリーの内壁に叩き付けられて死ぬのはやりすぎだ」というような話が出て、僕も全くその通りだと思ったのですが、結局絵を描く人として、そこまで描いてしまうし描けてしまうし、そこを描くことが安彦さんのリアリティなんですよね。ただ富野さんはミハルがガンペリーから海に投げ出されるまでで留める、そこに富野のドラマツルギーがあって、やっぱりトミノ演出の方がよりドラマティックです。
このインタビューでも、そういう安彦さんの現実的な部分、富野監督のリアルに苦しみながら、何かを追いかけているところというのが、はっきりと違いとしてお互い出し合っていて面白い。
まあでもアニメオリジナルと『ORIGIN』の違いって、庵野エヴァ貞本エヴァの違いにも似ているような気もするから、純然たる絵師と演出家の違いなのかも知れないですが。
あと『ORIGIN』読んでいたら、ミハルのエピソードに代表されるような、安彦さんの身も蓋もない描写が多くて、どれだけ絵が巧くても、やっぱり演出家・富野由悠季の見せ方の方が、ドラマティックだし、ロマンティックだなあと思います。安彦さんの方が多分正しいんだけどね(笑)。
あと僕もこのインタビューで、富野監督は『ORIGIN』読んでいないと、確信持って思いました(笑)。ただ庵野監督はどういう評価課は分からないけど、多分貞本エヴァは目を通している気がする。

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