『夢浪漫亭 おたび寄席』

山之口商店街で月に一回やっている寄席公演なんですが、今年の2月に400回目を向かえたという、歴史ある寄席なんですが、私は今回、旭堂南半球さんのブログで告知しているので、初めて存在を知りました。隣の町内に住んでいるインテリスタでお笑い好きの友人を誘って行ったのですが、彼も南海本線で一駅のところで住んでいるのに、存在を知らなかったということで、せっかくこういう催しをしていても、小さくまとまっているのは残念です。
元々この商店街が、旭堂南陵師匠が地元ということもあって、地元の活性化にということなんでしょうが、せっかく若手の落語家や、今回みたいにガンダム講談なんて芸人さんも来ているのに、おそらくこの会場で催しがある時は、どんな催しでも来ているような地元の老人会の人達ばかりでした。商店街自体もシャッター商店街化しているのならまだ良いんですが、商店街のメインストリームに面したところにも、コインパーキングや普通の家が建っていて、相当に厳しい状況なのが伺えました。時代が止まったようなおもちゃ屋に入って、10年前や20年前のバラエティ番組やアニメの玩具を発見したり(まあここは五年前に行った時に、ファミコンのロボットおいてあったんですが、さすがにそれはもう無かった)、同時にやっているガラクタ市を覗いたりもしましたが、まあもう典型的な死に行く商店街でした。よくこんな状況で、JRAの場外馬券場の隣接という話が、反対運動でよく壊したよなあ。
この「夢浪漫本舗」という会場は、凄い安い値段でも借りれるみたいなので、地元在住の芸人さんなどは、一度ご利用を検討してみてはどうでしょうか? 但し地元や近辺のお客さんをアテにするのは、なかなか厳しいかも知れません。
南半球さんの連れということで、打ち上げにも参加させて頂き、帰りにも南半球さんとはじっくり話を聞かせて貰ったのですが。やはりこの人は、次に見えているところが、他の今の芸人さんとは違いますね。テレビとか吉本といった中心ではない、上方講談と言うところにいたのも良いんですが、まあガンダム講談なんてやっていることからも分かることですが、既存の伝統芸能の人や、伝統芸能の中で変わったことや新しいことをやっている人達と比べても、今自分のやっていることが、地平の向こうとどう繋がっているかが掴めている。
とりあえず「芸人になりたい」という博打な考えと、「業界で一番大きな事務所に行きたい」という安定を求める考えは、相反するもの考え方だという風におっしゃっていたのは、面白かったです(笑)。後の話はあまりここで書くのも、差し支える話ばかりなので、ただ結構トークライブとかでは、このレベルの話はしているので、是非とも一度南半球さんのライブにみなさん行ってください。
これからご自身の芸が伸びていくということは、テレビは不況の煽りを受けて縮小していき、お笑い界は吉本一極の歪みが現れて、周りの伝統芸能の担い手は、中心の人達が続々と高齢化で消えていったら、半球さんみたいことしている人にとっては、そこからが勝負所のように思えました。
旭堂南半球の将来は明るい、しかし山之口商店街の未来は……うーんこのままじゃあヤバイ。いやもう既にヤバイか、子供の頃は頻繁に、家族揃っておいしいものを食べに、この辺には来ていたので、このままの状況が続くのは切ないんですけどねえ。
とりあえず商店街は、千利休を顔にするのか、与謝野晶子を顔にするのか、それをまずどっちか、はっきり決めましょう。入口の看板には大きく千利休、中に入ったらペナントが全て与謝野晶子という不統一は、商店街の足並みの不揃いが、そのまま反映されてるように見えます。

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