2008年にウオッカがダイワスカーレットより決定的に優れていたこと

競馬ニュース−netkeiba.com|ウオッカ、牝馬として11年ぶり年度代表馬に - 別・メガネのつぶやき

僕は正直言って、ウオッカダイワスカーレットに関しては、年度代表馬ウオッカであるということに対して、M-1におけるNON STYLEとオードリー以上の大きな差があると考えています。それは2008年にウオッカのやった大仕事、大記録と、ダイワスカーレットの大仕事、大記録では、明確な差があるからです。
ダイワスカーレットの37年ぶりの牝馬による有馬記念制覇というのは、本来ならばこれ一本で年度代表馬になっても良い大記録です。それはエアグルーヴの17年ぶりの牝馬による秋の天皇賞制覇、スイープトウショウによる39年ぶり牝馬による宝塚記念制覇、ウオッカによる64年ぶり牝馬によるダービー制覇に匹敵する大偉業です。しかしこの中で年度代表馬になっているのは、これらの功績でエアグルーヴだけですよね、もちろんスイープトウショウの年はゼンノロブロイがいたし、ウオッカの年にはアドマイヤムーンがいた。秋の天皇賞宝塚記念有馬記念ではレースの格が違うかも知れない。
しかしウオッカスイープトウショウが匹敵する功績を残しているのに、年度代表馬になっていないという事実は、僕はこういう表彰基準は基本的に前例に則るべきだから、牝馬による中長距離のG1を牡馬相手に勝つというのは、それ一本では年度代表馬にはならないという基準が示されている。
そしてウオッカが凄いという話をするときに、やっぱり外してはいけないのは、古馬牝馬が春秋で牡馬相手にG1を勝ったということ、そしてその片方が中長距離レースであるということなんです。まず年間を通して牝馬が、まして古馬が活躍することの難しさは、去年のダイワスカーレットが示している通りです。だからそれだけも凄いことである、ということは一昨年のダイワスカーレットウオッカを上回って、最優秀3歳牝馬になったことからも分かります。トウメイだって八大競走を二つ勝ったのは秋の連戦でしたし、エアグルーヴヒシアマゾンだって、古馬になってからの活躍した年は秋シーズンだけだった。
そしてスイープトウショウ宝塚記念を制したけど、秋は牝馬相手のエリザベス女王杯しか勝てなかったし、過去の春秋で古馬G1を制した名牝は、ダイイチルビーノースフライト、秋春も入れるとビリーヴといますが、これらは全て短距離路線のものです。つまり春秋で牡馬相手に古馬G1を勝って、尚かつ片方が中長距離という馬が、少なくとも1960年代以降には探し切れませんでした。
だからウオッカの大偉業が、近年どころか近代競馬の歴史にないということをした、一方のダイワスカーレットの「37年ぶりの牝馬による有馬記念制覇」というのは、大偉業ですけれども、スイープトウショウウオッカと、近年に続いていたことを考えれば、インパクトに欠ける印象を持たれたのはやむを得ないかなとも思います。
強い馬を選ぶんじゃなくて、記憶と記録を残した馬を表彰するのが、こういう表彰の役割ですから、ウオッカで良かったと思います。特別賞議論に関しては、あんまり興味無しなんですよね、いまさらダイワスカーレットにはいらんでしょう。特別賞という看板と、ダイワスカーレットという看板なら、ダイワスカーレットという看板の方が大きいもん。最優秀4歳以上牝馬に関しては、ウオッカダイワスカーレットの同時受賞とするぐらいの機転はあっても良かったかも知れませんが、現在の選考方法ではそれも難しいですしね。