M-1グランプリ感想の感想その13〜「おわライター疾走」本戦感想編

M-1グランプリ2008決勝・最終決戦リアルタイム更新 - おわライター疾走

なんかね大阪勢が、M-1グランプリで有利な理由として、審査員の嗜好とか、漫才をする劇場環境の優秀さというのは言われるけれど、やっぱり関西芸人の賞レース慣れしているところは、もっと注目されても良いと思っていたので、賞レースの勝負慣れというのを、NON STYLEを語るときに言って貰えるのはありがたい。
関西のお笑い賞レースの予選会とかで、公開しているのは何度か見に行ったことがあるけれど、吉本や松竹とかに入ったばかりで、賞レースの予選会の経験が少ない人は、吉本や松竹の劇場でどんなに評判が良くても、実際に面白いのは見ていても、外してしまうのを沢山見てきたけど、やっぱり賞レースに戦い方というのは、予選や決勝でそれぞれ経験値が物を言うところはある。今年は賞を二つ取ってのナイツでしたが、二つの賞レースは共に、相手関係考えても、そういう特別なチューンアップが必要じゃない圧勝でしたからねえ。そういう意味でナイツの二本目というのは、確かに確実に獲りに来たという、ネタ選択だとは思うのですが、NON STYLEと比べると安全策が過ぎた。逆にオードリーは勝負に行きすぎた。

M-1グランプリ2008決勝をもう1回じっくり見てみる - おわライター疾走

紳助のオープニングのコメントは、誰かも指摘していましたが、今年の面子のレベルの高さを理解している司会の今田耕司と、良く分かっていなかった紳助との温度差が、改めてみると分かって面白いですね、紳助が「ほめてあげたい」と言ってたのは、公開でダメ出しするとそのまま潰れてしまう危険性があるぐらい、今回の面子のレベルを怪しんでいたのでしょう。オードリーのコメントとか、エンディングでのザ・パンチ弄りは、このレベルなら大丈夫だと思ったからだと思う、あと実は僕は紳助のあのコメントを、酷評だとは思っていないんですよねえ、巨人師匠とカウス師匠のキングコングへのコメントは、二つとも酷評だったと思いますが(笑)、まあでもキングコングなら耐えられると思って、公開処刑にしたんだと思っています。

渡辺正行が、ネタの前フリが長いという指摘。松本人志のダイアンに対する指摘も同じ趣旨でしたが、とにかく、少しでも間延びした印象を与えるとM-1では勝てないんですよね。

実は大阪のコンビ、今回のダイアンとモンスターエンジンは、過去の大阪から決勝に出て惨敗したコンビと、同じ失敗を今回も繰り返しているんですよね、具体的な話で言うと「ネタフリが長い」ということになるんですが、これをもう少し解体して説明すると、「基本的に一つのボケや設定を引っ張りすぎ」というのと、「天丼を成立させるために、序盤に無理矢理なフリとボケを入れている」ということだと思うのです。
この内の「引っ張りすぎ」という点に関しては、ここまでのM-1感想で書いた通り、大阪のお客さんが基本的に待ってくれるお客さんが中心で、それに馴れてしまっている所が、大阪勢には不利なところなのでしょう。世間は元々そんなに待ってくれていない上に、近年のショートネタブームで、テレビに出ている芸人は、短いところに詰め込むボケを洗練しているんだから、そりゃ四分という制限がある賞レースでは勝てなくなってくる。
そしてもう一つの「天丼」の方ですが、「天丼」をするにしても、作り方として良いボケが序盤にあって、それをオチにして天丼を成立させるという作り方ではなく、最初にネタを終わらせるオチが先ずあって、それを天丼にするために、序盤に無理矢理そのボケを入れているように思う、今回のダイアンにしても、モンエンにしても、天丼の振りの部分で、かなり間延びしている印象がある。M-1用の勝負ネタとして、天丼を入れてくるコンビはかなり多いんですが、ほとんどの場合でハマっていない。
ここまで天丼がM-1出演者に流行りだしたのは、おそらく笑い飯の「奈良県立歴史民俗博物館」と、フットボールアワーの「SMタクシー」という、2003年の優勝、準優勝コンビが、いずれもオチで天丼を持ってきたネタで、ハイレベルの決勝を演じたことで、一気にM-1の必勝パターンとして、一部で認識されたと思うのですが、2004年のトータルテンボスに対して、島田洋七ラサール石井が二人とも、「前半のネタと同じ落とし方」だったことを、減点対象として上げているし、2007年のM-1では千鳥の天丼を松本人志が「ショートコント」と評しているけど、これ意外にも天丼を多用するコンビに対して、松本は結構評価が辛くて、決して天丼はM-1で有効な必勝パターンではない。
笑い飯フットボールアワーの天丼が填ったのは、それは笑い飯フットボールアワーの天丼に使ったボケが、最初から強かったから、天丼をするために無理に入れたボケではなく、単体で勝負になるボケだったからこそ填ったけど、M-1で天丼が失敗したコンビは、最初から天丼で落とすことを目的に、序盤で無理矢理そのボケを入れたから、結果的にそこが受けなくて「間延びした長い前振り」になってしまっていた。

M-1グランプリ2008決勝をもう1回じっくり見てみる2 - おわライター疾走

ザ・パンチは他でも、元々M-1向けではなかったね、という向きが強いんですが、ただもっと戦い方はあったと思う、それは何度も書いてるように、最終決戦用にネタを残す事なんて考えずに、とにかく今年一年レッドカーペットで填った、ノーパンチのオモシロワードを、全部ぶち込むべきだった。パンチの方の面白さを出すのが減っても、今回はとにかく「じゃがいもの芽」「ボブスレー」「ホームステイ先」「おむすび追いかけて」といったワードを、集大成としてぶち込むべきだったし、そういうことが出来るネタを持ってくれば、最下位にはならなかったと思います。もしそれでトップ3に残ったら、それはもう残ったときに困れば良かった。やっぱり本命視もされていなし、初登場コンビは二本ネタをすることは、考えないで挑むべきだと思う。
紳助のオードリーへの審査コメントは、僕も「春日の魅力が伝わっている」と思っております。

M-1グランプリ2008決勝をもう1回じっくり見てみる3 - おわライター疾走

確かにナイツは「SMAPのネタ」を去年と比べても、だいぶ変えてきてはいるんですが、それでも去年からあるボケやツッコミ台詞と、今年のボケやツッコミ台詞を比べると、練度が全然違うんですよね、それは「宮崎駿」と「SMAP」のネタをそれぞれ比べても分かるし、「SMAP」でだけ見ても、2007年の頃からあったフレーズと、2008年に新たに入ったところで違う。
しかし僕は2007年のM-1グランプリの決勝メンバーを見て、「どうしてナイツやオードリーが残っていないんだ」と憤っていましたが、今年のナイツとオードリーのネタの完成度を見れば、去年のネタの拙いことが本当に良く分かります。この二組の今年の完成を思えば、去年この二組を落とした審査員の判断は彗眼だったと、言わざるを得ないですね。いやもちろん、NON STYLEサンドウィッチマンを落としたことは、納得できないんだけどさ(笑)。
オードリーの春日は、もうこういう大舞台が似合うキャラだったんだ、というのは物凄い発見でしたね、ただこの日の春日は、何もかもが神懸かっていたので、演出の弱い舞台や力のない司会者を前にして、同じような活躍を期待されて、ダダスベリする所も、春日が大活躍するのと同じぐらいの回数を、見せられるんだろうなとも思います。春日のせいじゃないのに、春日がスベったみたいになっているのは、来年バラエティで沢山見ることになる覚悟は、ファンの人は相当しておかなくてはいけないでしょう。

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