「誠魂 Vol.2」を見に行ってきました。
誠魂行って来ました - 一汁一菜絵日記帳
僕も「誠魂」に行って参りました。1000人入りのホールということで、チケットがあまり売れていないという話もありましたし、実際に受付で膨大な量の招待客リストみたいな用紙が、人目につく所においてあるのも目撃してしまったのですが、それでも所謂「空席以外はほぼ満員」というお約束の言葉も出ましたが、それでも空席はそんなに目立たなかったんじゃないでしょうか? キャパ1000人の会場で、800人から850人ぐらいの客入りという所だったでしょうか? まあ招待客の割合がどれだけだったのか、今ひとつ分からない所はあるんですが、サイキッカーの人などで、中の噂話にも詳しい人の、どこまで本当か分からない話を総合すると、前回はほぼ半数、今回はそれより少し多い数が招待客だった、という話もあるようなんですが、客単価を下げたくないのならワッハホールでやるとか、浪速区民センターとか阿倍野区民センターのような400人から600人規模の所で、チケット代金を下げてやっても良いような気がしました。
しかしそういう話はここまで、公演が始まると内容は素晴らしいものでした。なんか最近の発言とかを聞いたり、又聞きしていると、誠が後輩のダブルダッチやアメザリに、中途半端にお説教するような事にならないか、という心配をしていたのですが、全くの危惧でした。
今回の北野誠は、良い感じに後輩を立てて、禁煙を始めた話や、原監督との話とかで、良い感じに後輩に突っこまれる隙を見せてあげる、凄い良いお兄さんという形で、素晴らしいプロデューサー兼司会者でした。こういう面がもっとテレビで出せていたら、北野誠は売れていたろうし、テレビで松竹の後輩芸人を引き上げてあげる事も出来たのになあ。
ライブの構成は、ダブルダッチ、アメリカザリガニ、シンデレラエキスプレスの順に、5分前後のネタをやって、その後で桂小春團治さんの創作落語があって、10分の中入り、そしてトークコーナーの後で、再びダブルダッチ、アメザリ、シンプレが、それぞれ持ち時間10分以上の大ネタという構成で、中入りを入れるとほぼ三時間近い公演でしたが、全く時間を感じさせない素晴らしい舞台でした。
こんなに心の底から、ただただ笑いっぱなしのお笑いライブというのは、最近ではなかなか無かったことで、自分の生涯の過去のお笑いライブの中でも、過去に生観戦したR-1決勝やM-1準決勝にも匹敵する内容でした。
ダブルダッチは最初は“ラジバンダリ”のコントで、お客さんの期待に応えてから、ベテランの味を見せつける漫才を後半は演じてくれましたし、正直ネタの内容はあんまり覚えていないんですが、熟練に入りかけたキャリアのある二人の話術に引き込まれて、漫才中は笑いっぱなしでした。トリのシンプレも誠さんのプロデュースライブということもあって、最近のNHKやサンテレビの漫才番組でやってるような、お客さんを選ばないような漫才ではなく、細かい毒が随所に満載の、僕たちの世代のお笑いファンがイメージするシンプレ漫才を、真っ正面から熱演してくれて、これも笑いと拍手が絶えない大熱演でした。
そしてアメリカザリガニは、最初の漫才で柳原さんが第一声「どうもー」という声が、場内に鳴り響いただけで大爆笑と拍手が起きて、そのまま会場全体がアメザリの世界観になってしまったのには、感動してしまいました。もうネタか面白いとか、キャラが良いとかではなく、人としての存在感が面白いという、演者の力、芸人としての根元的な力というのを、見せつけられました。
会場に友人の小劇団で喜劇役者をしている人が、たまたま見に来ていて、公演終わりで話をしたのですが、「後半は自分たちとはどこが違うんだろう」という事ばかり考えていた、「凄い刺激になった」と言っていましたが、本当に理屈じゃない面白さ、あれが一部の何かを持っている人だけが得られている、存在感なんだろうなと思いました。
いやアメザリは現状そんなに売れてるとは、なかなか言いにくい状態にありますが、M-1では運が悪かった部分もあるし、平井さんが副業にかまけているとか、色々と理由はあるんですが、その全てはたまたま巡り合わせてとかタイミング、事務所の都合とかもあっての事でしたし、ここまで実力を付けている人たちが、このまま埋もれている理由は何もないですから、どうか漫才アワードも優勝したことですし、またチャンスを得てブレイクして貰いたいですね。
桂小春團治さんの「冷蔵庫哀詩」は、以前にも聞いたことがあるお噺だったのですが、昨今の食品偽装問題や、中国産食品の問題なども絡めた時事ネタを織り込んだり、噺のスケールも壮大になっていて、以前に聞いた時よりも面白かったです。古典落語の味わいも魅力ですが、創作落語の時間が経って世界が広がっていく様というのも、愉しいですね。
エンディングでは、西井さんが再びラジバンダリの格好に着替えて、ロビーでのお出迎えの写真撮影に応じていて、本当にこれで3500円は安いというのは、見に行った人なら誰もが言えるような、素晴らしい内容だったのですが、ただ見たこと無い人に、この出演者で3500円でほぼ三時間のライブという人を、一緒に連れて行くのはなかなか大変ですよね。
次回は来年の春前いう告知もありましたが、それも少し離れすぎてるんですよね、もしかしたら会場やチケット代などについても、調整が入るのかも知れませんが、やっぱり有料の客で満員にして、次はTENGEKIに足を運んで貰うようにし向けるライブにして貰いたいです。しかしやっぱりこのライブは、B1角座がある内に、キャパに拘らないで角座でやるべきだったよなあ……。
松竹芸能株式会社 - イベント情報:漫才コレクション2008
ただこの日に会場で配っていたチラシに、こういうライブの宣伝が入っていたので、流れとしては次はこのライブという形になりそうですね、新しいABCホールはサイズも手頃ですし、元々このライブもサイキック色が強いライブのはずでしたから、ABCホールでやるとなったら、それはそれで自然のように思います。
松竹芸能LIVE Vol.7 アメリカザリガニ 侵略と愛 アメリカザリガニ by G-Tools |
- 過去記事:週末に「誠魂 Vol.2」があります
- 過去記事:北野誠が鶴瓶から受け取ったバトンを後輩に渡せなかったのが、全ての始まり
- 過去記事:松竹芸能の新しい演芸の常小屋
- 過去記事:桂三枝が「西の浅草キッド」と一時期大プッシュしていたのが昨日の事のようだ
- 過去記事:松竹芸人の危機感