ポスト鶴瓶世代の松竹芸人の伸び悩みが、現在の関西での吉本一強状態を生んだ

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北野誠が松竹のタレント名鑑で、TKO、アメザリ安田大サーカスの後ろというのは、この動画でも話されているけど、かなりキツイ話だなあ、というか森脇健児はさらにその後ろなんですね。これは誠さんは確かにキツイわ(笑)。

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鶴瓶さんの次の世代が結局思ったほど伸びなかった。誠、森脇、移籍してなかったら山田、シンプレ等。だからよゐこ、ますおからが苦労する。ほんとなら、サイキックなんて番組は20代・30代で終わらせなあかんラジオやったのが50に手が届くようになっても仕事のメインやもんな。

鶴瓶さんが「突然ガバチョ!」を始めてから、松竹芸能は関西の若者文化を引っ張っていて、松本人志が浜ちゃんに吉本に誘われたときは、「松竹の方に行きたい」と希望したとか、千原ジュニアが「新人時代に憧れた先輩は松竹の芸人さんが多かった」と、後年語っていたように、新しい若者文化の発信ということでは、吉本よりも松竹の芸人の方が90年代前半ぐらいまでは関西で時代をリードしていた。
そして北野誠は前出の「突然ガバチョ!」や「サイキック青年団」で、鶴瓶、上岡、たかじんなどの後継者と見なされていて、実際にこの三人から多大な寵愛を受けていたし、また山田、森脇の両氏は「ざまぁKANKAN!」や「抱腹Z」で、関西ではダウンタウンと人気を二分していたけど、誠さんは大阪での「探偵ナイトスクープ」や「新・たかじんが来るぞ」といった人気番組のレギュラーを降板して、当時既に東京進出していたダウンタウン森脇健児清水圭に次ぐ、大阪の期待の星の東京進出という形で、大阪のテレビ界や芸能界は盛り上がっていたけれど、東京進出後のレギュラー番組が関西地区では放送されていない番組が多く、(最終的にどちらも東京進出には失敗したけれど)誠さんより後に東京進出したトミーズ雅ぜんじろうが、「笑っていいとも!」や「たけしの元気が出るテレビ!!」などにレギュラー出演していることを考えれば、「誠はどこにいったんや?」というムードは広がっていて、そうこうしている内にナイトスクープにも復帰して、東京に住んでいるにも関わらず、関西の人にとっては関西ローカルの番組で見ることの方が多い状況になってしまった。
一方で山田雅人は競馬関連の番組を中心したマイペースな活動となり、松竹芸能からもいつの間にか離れていて、森脇健児は当時お笑いファンにとってカリスマとなりかけていた、松本人志に著作などで名指しこそされていなかったが、批判を受けていたこと等もあり、急速に失速してしまって、現在は大阪に拠点を戻しているけれど、この辺が関西若者文化の牽引役としての、鶴瓶さん以来の松竹の流れを牽引し切れなかった。シンプレは初期のダウンタウンのモロコピーだった頃を抜けて、独自のカラーを打ち出した漫才となり、桂三枝高田文夫に注目されて、「西の浅草キッド」という微妙な売り文句ではあったけれど、高田文夫は強く推してくれていたけれど、結局巧くいかなかった。
結局この辺の鶴瓶さんという受け皿が大阪にあったから、若手の頃に世の中にすぐに出て行くことが出来た人たちが、その受け皿をバトンとして、次の世代のよゐこ、TKO、ますだおかだに渡すことが出来なかった。これが80年代ぐらいまではそれほどの力量差があったわけではない、吉本と松竹の力関係を、はっきりさせてしまって現在の状況になってしまった。
特に90年代の関西での「ポスト・ダウンタウン」という時代を、上手くシンプレ、よゐこ、TKO、のイズ、大阪キッズますだおかだアメリカザリガニらで、「天然素材」や「WACHACHA」に張り合うだけの下地が残っていれば、現在の吉本と松竹の立場は逆転していた可能性もあり得た状況だった。大阪で松竹の若手が出れる番組をやっていた森脇さんが失速して、東京にいち早く進出していたよゐこはともかく、TKOやますだおかだは出られる場所が極端に少ないという状況が大阪で出来てしまった。
結果的に「ポスト・ダウンタウン」世代だったはずの、TKOは全国的なブレイクまで15年以上の歳月がかかり、よゐこも早期の全国的な露出こそ出来ていたけど、濱口さんも有野さんも本質的なパーソナリティを発揮出来るようになった仕事を得るには、10年以上かかることになってしまった。
そしてますだおかだは「M-1グランプリ」、安田大サーカスも「松紳」と、共に吉本興業制作の番組が、本当の意味でのブレイクのきっかけとなったし、オセロの松嶋は結局二世代上の鶴瓶に引き上げられる結果となった。
やっぱり90年代が、吉本と松竹が大きく明暗を分ける結果になったんだなと言うのを、改めて考えさせられました。

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北野 誠

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