笑点の大喜利 : 一汁一菜絵日記帳

僕はこれと全く同じ事を「すべらない話」で思います。いまバラエティ番組の流行って、「スタジオコント」と「セミドキュメンタリー形式のロケバラエティ」が若干下火になっていて、「大喜利形式の発想勝負をする番組」「楽屋エピソードトーク披露の番組」「雑学系クイズ番組」の三つが主な流行で、「大喜利形式」と「エピソードトーク」番組の極みといった感じで、「ダイナマイト関西」「すべらない話」が世間に受けているだけでなく、芸人さんの評価も高いし、いま芸人さんが勉強といって見ているDVDって、大抵このどっちか何ですが、僕はこの二つって何度見ても芸人の勉強にはならないと思うんですよ、ガチンコ大喜利とか途中で口を挟まれることなくエピソードトークを披露出来るのは、完全に個人のポテンシャルが物を言う、個人的なパーソナリティの問題なんだから、他人のそれを何度見ても勉強出来るものではない気がするんですよね、演技とかコミュニケーションとか間は見て盗めても、発想だけはいくら見ても他人のものを盗むことは出来ないのでは?
「ダイナマイト関西」よりも「笑点」大喜利の方が、見て勉強になるとにづかさんは指摘していますが、僕も芸人さんはトークの勉強がしたいのなら、「すべらない話」よりも「笑っていいとも」のタモリさん、「新婚さんいらっしゃい」の三枝さん、「あっぱれさんま大先生」や「恋のから騒ぎ」のさんまさんのトークの方が、コミュニケーションやキャラクターといったテクニックで勝負している部分があるから、僕は他人が見て勉強になると思うんですよね、僕が『「新婚さんいらっしゃい」を見ろ』という話を書いたら、「あれは台本あるという事を知らないのか?」と沢山書かれたんですが、「それがどうしたの?」と思うんですよね、台本があったとしても桂三枝というパーソナリティが発揮されて、素人のゲストを使ってあれだけ完成されたトークショーになっていることは、桂三枝トーク能力が高いということなんですよ、別にアドリブだけがトーク能力じゃないし、演者が素人である以上、絶対にあの番組は台本通りになんか毎回ならないんですよ、そこでの桂三枝の対応能力というのを見る為にも、僕は将来、司会的なことをしたいと考えている芸人さんは、毎週欠かさずに見てほしいと言いたいです。
笑点」は一時期は僕もきちんと見ていなかったけど、あれは見方が分かると凄い面白いです。芸人さんが一つのキャラクターを作り上げて、台本を完璧に演じる集団芸というのは、そのまま欽ちゃんのバラエティや「8時だよ全員集合」、またこれらの番組よりアドリブの要素が強いとはいえ、「オレたちひょうきん族」や「めちゃイケ」にも脈々と受け継がれている方法論で、テレビバラエティの普遍的なものの根っこの基本みたいな者を、あれだけの熟練の演技者がやっているという事は、もっと注目されるべきでしょう。ジャニーズとかハロプロの人たちがやるバラエティなんかも、この流れでの類似点を感じさせられる。

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これはこの手の話の時に、何度も紹介している岡田斗司夫のブログエントリーですが、ここまで書いた上で、この記事を合わせて読んで思ったのは、これはお笑い関係者に限らないんですけど、いまの若い人が「才能原理主義」的な所になっている所はあると思う、それが個人のポテンシャル勝負の「ガチンコ大喜利形式」や「エピソードトークの一人喋り」の流行になっているんだと思うけど、この流行がどれだけ長く続くかというのもあるけど、かなりリテアラシーの高いお笑いファンでないと、理解することが難しい分野であるということは、考えておいた方が良いと思います。
ついでに書きますが、先月にある20代後半の関西の構成作家の人と話をする機会があったのですが、その人と「オレたちひょうきん族」の話になった時に、「でもあれはさんまさんも紳助さんも、番組スタッフにああいうキャラクターをやらされてたに過ぎない」という話をされて、驚いたんですけど、やっぱりこういうキャラクターショー的なものに対する評価って、関西は低くなっているんだなと思いました。
松紳」とか「ダウンタウンDX」で、紳助が良くダウンタウンに対して「お前達のせいで基礎をたたき込まないで、応用だけの漫才する奴が増えた」という話をしていたけど、紳助さんやさんまさんが思っている基礎と、いま大阪の若手や若手の現場にいる人の思っている基礎にも、かなり食い違いを感じる今日この頃です。紳助さんやさんまさん、あとぜんじろうさんが紹介していた、鶴瓶さんや上岡さんの話を聞いていると、「キャラを立てる」とかいうことを、大きく基礎の範疇に入れてみているような気がしてならないです。
この辺の話を整理すると、さんまさんが「すべらない話」という番組に否定的で、「今の若い奴はネタは面白いがフリートークが面白くない。」「どうしても話さなければいけない状況で話すことが重要。」と言ってラジオ番組をやるべきと話しているのは、凄いつながるものがあると思いました。「エピソードトーク」や「フリップトーク」というのは、ネタであってフリートークではないよね。
さんまさんやタモリさん鶴瓶さんは、一人で話しても充分に面白いし、むしろ彼らの熱心なファンはそっちの方が面白いと思うだろうに、どうしてわざわざゲストを呼んでトークをするのか? このテーマはもっと突き詰めて考えていきたいです。
あとやっぱり90年代後半に松ちゃんは罪なことをしてくれたなあと思うんですが、「松紳」や「放送室」で言ってることを聞いてると、本人は凄く反省しているようなんですが、反省しているのなら打開してもらいたいよなあ、「放送室」で大阪のお笑いの客の悪口を言うだけでなく(笑)。まあM-1の審査員の点数でメッセージは出していますけど、それだけでなくやってほしいことはある。

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