「M-1グランプリ2007」4位以下の感想の感想 その1

まあ多い反応をまとめると結論としては「3位と4位の間に差が大きい大会だった」というのと、敗者復活戦も見ていた人は更にそれに加えて、「4位以下より面白い人は敗者復活戦の方に何組もいた」というのを付け加えているというのが、大方の意見となっているようです。
まずはザブングルの話から。

とても決勝に行くべきレベルじゃない人を
決勝に上げてしまいましたね。

これは、ザブングルが決勝に上がったお陰で
ウケてたのに、上がれなかった芸人さんや
このレベルで決勝に上げられた
ザブングル自身も可哀想です。
ひょっとしてワタナベになんぼか包まれたか?w65点
M-1グランプリ2007レビュー : 一汁一菜絵日記帳

もし仮に仮にですよ「ワタナベがなんぼか包んだ」というような政治力行使が裏であったとしたら、「なんでそれで上げるのが、我が家じゃなくてザブングルなんだよ」と突っ込みたいです(笑)。だからそれは無いだろうなあと思います(笑)。
でもR-1なんかでもウンナンの所属事務所とはいえ、中小のマセキから今年は二人が決勝に残ったりしましたから、世間で思われているような事務所の政治力というのは、世間が思っているほど無いと考えて良いんでしょうね。
続いて、ハリセンボン。

上沼さんが「女性の漫才はネタに限りがあり、ややもすると下品になるけど、この2人は上品だった」とコメント。確かに! ギャーギャー怒鳴って女捨ててる漫才はもう古いし私も好きじゃないです。
M-1グランプリ2007 の感想を淡々と垂れ流すよ。 : Not a new England −−日本放浪編

上沼恵美子の「女性コンビはネタが限られる」は金言。それを引き出しただけでも上沼を呼んだ価値はあったでしょう。
いつも決勝しか観ない人間が語る、M-1 2007 : 「やってみるさ」

今月の初めぐらいに、ある落語家さんと話をする機会があったのですが、その際に大阪の女流漫才の話になって、若手の女流漫才がみんなツッコミががなり立てるタイプで没個性になっているという話になり、「東京でそういう漫才じゃない女性コンビはいない?」と聞かれたのですが、その時にハリセンボンの名前を即答出来なかった自分の不明を恥じたいです。自分はそんなに今回のM-1決勝のネタも評価は高くないんですが、それでもいまの東京・大阪の若手に括られている女流漫才の中では段違いに良いと思います。M-1グランプリがスポーツ競技のように男子と女子で分かれていたら、ハリセンボンは女子部門でずっと圧勝し続けていたんじゃないでしょうか?
続いてPOISON GIRL BANDについて。

ガチガチの東京人なんでか、結構好きなんですけどね。
いつも決勝しか観ない人間が語る、M-1 2007 : 「やってみるさ」

でもお笑いマニアみたいな人と話していると、東京のお笑いマニアな人よりも、大阪のお笑いマニアな人の方が、POISON GIRL BANDの持つ東京臭さに惹かれている人は多い気がする。ここはラサールさんも書いているように、戦い方次第だと思うし、いまでも普通にやれば充分にやれると思うのですが……。

去年の準決勝でやった「引っ越し」ネタを何故やらない、という素直な疑問もある。
M-1グランプリ2007・決勝感想 : ココアフェス

過剰に緊張してしまう所もそうだけど、今年と去年の準決勝突破ネタがありながら、二年連続で準決勝突破のネタを温存して最下位に沈むという、選球眼の無さとかも含めて、ポテンシャルを発揮出来ない、現時点での力量不足というのは否定出来ないんでしょう。だから僕はPOISON GIRL BANDはまだまだ将来的な優勝候補と考えたいんだけど、さすがに来年以降はしばらく決勝には上げてもらえないかなあ……。笑い飯や千鳥と違って、ここはまだまだポテンシャルの底を見せていないんじゃないか? という思いは尽きないんですが、10年目ラストチャンスまでここは案外時間がないんですよね、それまでに一皮剥けるのは無理か……。

いかに自分らの世界観を表現するのがウリなのに
こんなに飲まれたらあきませんわ。
M-1グランプリ2007レビュー : 一汁一菜絵日記帳

2004年の初決勝の際は「初々しいな」と緊張しているのも好評価でしたし、その後普通の番組で「マンガ本」のネタを見た時に、この人達がM-1で優勝するのは時間の問題と思ったのですが、まさかその後も本選で緊張して間を乱し続けるとはねえ……。
続いてダイアンなんですが、さっきから順不同にしたのはポイズンの後にダイアンの話をしたかったから。

彼らはM-1なのに「爆笑オンエアバトル」のテンポでやってしまいましたね。やはりM-1には独特のドライブ感が必要なんですね。
出て来るのにいちいち袖に引っ込むのはかったるい。
それは違うよ西野くん : ラサール石井の鉄板少年らさある

んー,なんか,普通にダイアンだなぁと思った.
とりあえず,普通に露出できてよかったね,って感じで…
M-1グランプリ2007回顧 : the page of Suika Fuduki

そう普通だったんですよねえ、普通にダイアンだった。大阪のファンの人の中には、「ダイアンは緊張していた」と書いている人はいたけど、なんか僕には普通にいつものダイアンだったなあと思った。いやもちろん本人達は緊張していたと思うけど、POISON GIRL BANDとは逆に、ここは悪い意味で緊張していないように見えてしまった。
このコンビに関しては多くのブログで、決勝に選ばれた段階から、放送後も一様に「残ったことに意味がある」「決勝に出れただけで良し、これでダイアンは売れた」という声が多くあるけど、本当に残ったこと、決勝に出たことだけで意味があるのだろうか? りあるキッズやアジアンは、M-1に出たからといって、その後何か変わったのか? トータルテンボス島田紳助に、去年までM-1決勝に出ていたことを全く覚えられていなかったと「ヨシモト∞」で語っていたけど、完全に記憶に残らない形の露出になってしまったんじゃない? 実際にM-1決勝の審査員がラジオやブログで語っていても、あんまり触れられていないみたいだし。
「出て来るのにいちいち袖に引っ込むのはかったるい。」というラサールさんの感想は、放送時にも審査コメントで大竹さんが言っていて、それに対して「それが面白さなのに的はずれな論評」という反応が、大阪のお笑いファンから若干ながら見られるけど、そういうのが以前ににづかさんの言っていた「(お笑いに対してガツガツしている)大阪人特有の現象」何だろうなと思った。あれはやっぱりかったるいよ。
結局、松ちゃんの審査コメントがダイアンに関しては全てなんですよね、「津田が浜田に似ている」というのは、遠回しに凄い気を遣った表現で「お前らはダウンタウンの金魚の糞」と言ってるのと同じ、昔ナインティナインに対して言った台詞を、松ちゃんも大人になったから言い方に気を遣うようになっただけで、あれは松ちゃんからしたら全否定に近いコメントだったと思う。
実際問題、ある程度年長の大阪のお笑いファンは、ダイアンが「ダウンタウンエピゴーネン」という扱いを受ける事は、にづかさんが早々に表明していたように、みんな思っていた事なんだけど、その通りになってしまったなというところです。

「典型的なダウンタウンっぽい今の若手漫才」
ととられてしまい、評価されないというパターン。
だってどう考えたって
西澤=松本 津田=浜田ですもん。
M-1グランプリ2007順位予想 : 一汁一菜絵日記帳

事前にこういう事を思って書いてる人は沢山いたけど、あそこまでストレートに松ちゃんが突き付けられるとはね、正直点数で圧倒的に最下位になるよりも、あのコメントが今後与えるダメージは大きいと思う一方で、これをきっかけにダイアンが「脱ダウンタウン」を達成する事が出来たら、それはそれで凄い事なんですが、そうしたら残念ながら大阪にいたら、彼らの位置は今より下がってしまうだろうなと思ってしまう。結局彼らが今大阪で支持されて、M-1で決勝に行けているのは「ダウンタウンっぽい」からなんですよね、でもそれを評価するのは一部の大阪の人だけ。

初めて観たコンビだけど、あまりにもダウンタウンじゃないか?松本自身から「ツッコミが浜田に似てる」と言ってくれて助かった。つーかむしろボケの西澤の方こそあまりにもダウンタウンであり、松本だった気が。「それが僕の仕事だからね」のくだりなんて完全にごっつの「世界一位」のコントで見せた松本得意の言い回し。
いつも決勝しか観ない人間が語る、M-1 2007 : 「やってみるさ」

正にそういう事なんですよね、というかこういう指摘が大阪の関係者やお笑いファンから出ない所が、大阪の今のお笑い界の一番の問題点。というかこのCHONOさんの分析は他も素晴らしいんですが、大阪はお笑いの聖地みたいに言われているけど、こういう当たり前の意見が出てこないのが現状としてある。
だからダイアンがダウンタウンっぽいのは、決して彼らの責任ではないんですよ、芸人の側はダウンタウンの次を多くの人たちが見ているのに、「選ぶ側がダウンタウンにとらわれ続ける」という状況に変わりがない、そりゃどんなに新しい事、他と違う事を持っていても、選ぶ側がダウンタウンにとらわれていては、そりゃみんながみんなダウンタウンエピゴーネンになって、スタイリッシュといえば聞こえは良いけど、個性のない単に格好付けているだけの漫才にみんながみんななりますよ。でもそれで評価されるのは、所詮大阪のある程度のステージ止まりで、このレベルの審査員を前にしたら、「それはもうダウンタウンがとっくの昔にやってるよね」という所になってしまう。
その一方でNON STYLEジャルジャルのように、ダウンタウンの次を明らかに見えていて、そこを掘り起こしている人たちが、軽視されているのは、本当にどうしようもないという絶望感が漂います。天津だってオタク漫才に深く入り込めないままに、元の無個性なダウンタウンの影響下の漫才に戻ってしまったのは、同じ理由の闇を感じてしまう。そういう意味では審査する選ぶ側だけでなく、ファンの方にも全国のお笑いファンや、お笑いファン以外の世間には通用しない者ばかり選んで持て囃すことの罪は大きいと改めて思った。
だからこれだけ言ってるけど、僕はダイアンの責任ではないと思う、ダイアンをそういう所に何時までも安穏とさせてしまう、大阪のお笑い界の環境が悪い。もっというとダイアンよりもっと手前の「ダウンタウンのマネ」で止まっている人は大阪にいまどれだけいるか、というかダイアンだって良いネタが一本あるのを僕は知っているんですよ、でもあれで評価されないで、これで評価されてしまう事がより残念で仕方ない。
去年の三回戦でやった「ビンクリンおじさん」ってネタを見たときは、ダイアンは新しい境地に行ったと思って、凄い期待したんですが、結局その年の準決勝も今年の準決勝と決勝も、これまでのダイアン通りの事をしてしまったんですよね、まあこのネタも後期のダウンタウンに似たようなのあると言えばあるんですが、それでもこれまでのダウンタウン以降の大阪の漫才コンビに良くある感じのネタではなく、自分たちの個性にあった、特に津田の「浜田風ツッコミ」以外の個性が出せているネタを評価しないで、松ちゃんに「ツッコミが浜田に似ている」と言わせてしまう段階のネタで、決勝に持って行ってしまう大阪のお笑い界はやっぱり問題あると思う、これから書くことはもう完全に個人的な言いたい放題な評価だけど、言いたいことも言えないのはどうかと思うので書いてしまうけど、シャンプーハットランディーズも$10もビッキーズストリークもロザンもサバンナも行けなかった決勝に、ダイアンがこの程度の出来で行けたのは、やっぱり納得出来ないよ、僕はもう本当に個人的な思いで、言いがかりでしかないかもしれないけども、まあそれはもっと良いネタがある年に決勝に上げないで、平凡なネタの時に決勝に残って、目立たない結果に終わったアジアンやザ・プラン9の時も思いましたけどね。

千鳥とPOISON GIRL BANDは決勝に何度出ても低評価で、本人も番組も損してる。決勝に上げる必要はあるんですかね。まぁ今回は麒麟を落とすので精一杯だったのかもしれないけど。
初めての決勝だったハリセンボン、ダイアン、ザブングルも疑問。ホント今更だったし、(誤解を恐れず言うと)この3組が優勝できると準決勝の審査員は本気で思ってたんでしょうか。
M-1グランプリ決勝 : ショート・プログラム

まさに今更という表現が的確、ダイアンもハリセンボンもザブングルも出始めの頃に上げていたら、「流石!!」と思ったろうけど、今更上げる存在かと言われれば大きく疑問を持たされる。全員が全員優勝争いできる人たちでなくても良いけど、「変化球冒険枠(千鳥とかPOISON GIRL BANDなど)」と「今後期待枠(タイムマシーン3号ザブングル、ハリセンボンなど)」は毎年一組ずつで良いように思います。あとはもう準決勝で受けた人たちを上から順番に上げればいいでしょう。

今年は決勝戦のレベルが低かった。トータルテンボスキングコングサンドウィッチマン以外の6組には猛省を促したい。
M-1グランプリ2007【最終決戦、総評】 : おわライター疾走

ということで猛省すべきは選ばれた6組よりも、この6組を選んだ審査員の方かなと、やはりこうして見返したり、追い返したり、他の意見を聞いていると改めて思いますね。
しかしだからこそダイアンは「ビンクリンおじさん」を今年決勝に出るのならやって欲しかったし、あれをしろとアドバイスする人が周りにいて欲しかった。あのネタは西澤は相変わらずだけど、あのネタほどダイアンのネタで津田が活きているネタはないですよ、そういう熱心なダイアンのファンも、ダイアンに対してアンチな人も評価するネタがあるのに、それを準決勝で出来ない、それを評価出来ないという問題は大阪のお笑い界、やっぱり根深いものがあると、改めて思い知らされました。
結局ダイアンに関しては、次の論評が全てかなと思うのです。そういうネタの選択が出来ない事も、POISON GIRL BAND同様、ダメと言えばダメなんでしょう。

「本来決勝に上げるべきレベルじゃない人を上げちゃった〜大阪編〜」
って所でしょうか?
(中略)
素直にウケてたノンスタ選べば良かったのに…。
M-1グランプリ2007レビュー : 一汁一菜絵日記帳

まあでも逆に言えば、吉本が会社を挙げてブックやヤラセをしていないという、証明にはなりましたけどね、タレント性や優勝の可能性、現在の吉本の売り出し方を見れば、NON STYLEよりダイアンを優先する理由は商業的には全くないから、ただ逆に言うと吉本がそういう事をしなくても、不公平感の強い準決勝の審査が行われている事、いやむしろ吉本が会社を挙げて操作してくれた方が、公平な事になるんじゃないかと思ってしまうよ。実際に準決勝のレポート読んでいても、ほとんどの人がダイアン下馬評に上げてなかったし、、NON STYLEなすなかにしを上げておくべきだったと思うよ、彼らの方が僕はダイアンはもちろん、笑い飯や千鳥よりも今、大阪の漫才界でやらなきゃいけないことを、きちんとやっていますよ、彼らこそがいまの大阪の漫才の王道を守っている(今回外したけど、プラスマイナスを入れてこの三組の王道の大阪漫才がきちんと評価されない限り、亜流の笑い飯、千鳥、ダイアンが評価されることはないことを、審査する側の人はきちんと認識すべきだと思う、ダイアンは王道じゃないからね、地味なのと王道を最近の大阪のファンは混同しすぎだし、こういう評価はダイアンにも不幸)。
笑い飯と千鳥に関しては、かわら長介のブログに対する事もあわせて、また別で書きます。