お笑い芸人の「計算」と「王道を求める」ということ

まずは軽くお笑いファンもドジッ子に萌えている? というお話。

そういう「計算が出来る」所を
お笑いファンはもっと評価すべきだと思うんですけどね。
でも、お笑いファンって笑い飯とか千鳥みたいな
不器用な芸人好きな人多いですね。
たぶん「萌え」ちゃってるんだろうなぁw
爆笑オンエアバトル5月18日放送分:昨日の風はどんなのだっけ? : 一汁一菜絵日記帳

あれは「萌え」だったんだ(笑)、そうなると「お客さんに合わせる笑いなんてしない」というポーズの芸人さん好きなお笑いファンも多いですよね、あれはきっと「ツンデレ」みたいなもんなんでしょうねぇ(笑)。僕はいまのbase芸人なら、NON STYLEが一番好きですし、もう二段か三段ぐらい上にいける人たちだと思っていますが、にづかさんが評しているような所が好きなんでしょうね。
結構僕はファンとしては吉本の芸人さんには、さんまさんが言うところの「吉本芸人は主流本道でないといけない」というのに共感しちゃう人なんで、実際にいま僕が好きな吉本芸人三組って、タカアンドトシチュートリアルNON STYLEと、もうモロに王道正統派で「計算が出来る人」たち(笑)。
「自分たちのやりたいことをやるんだ」というのも確かに格好良い姿勢ではありますが、「万人に受けることを真正面からすることが、自分の本当にやりたいことだ」という姿勢というのも、もっとお笑いファンは高く評価しても良いでしょうね。

松本人志とビートたけし : てれびのスキマ

でもこういう姿勢の方が、ファンやマニアの視点からも評価しやすいし、もっというとファンやマニアが付きやすいし、同業者や評論家的な人たちからも、褒めやすいんですよね、ただここでたけしさんや松本さんが言ってることの、おそらく逆のことを明石家さんまは思っているでしょう。
「オタク論!」でも唐沢先生が話題出していた「高橋留美子のファンレターの返事」とそれに対する現在の感想ですが、多分これとほぼ同じ事をさんまさんも言うんではないでしょうか?
これはもちろんどっちが良い悪いという話では無いし、さんま・志村の老若男女に分かる軽くて楽しめる王道的な物と、たけし・松本のような(自分たちが思う)レベルの高いものを求めていくという姿勢は、決して相容れないものではないし、両方あって日本のお笑い文化の太い幹だと思うんですが、たけし・松本の進んでいる道には、あとに繋がる人が沢山いる一方で、さんま・志村の進んでいる道には、本当の意味で繋がっている人たちが少なくなっているのではという危機感はあります。
だからこそさんまさんは「“頑張っている”“努力している”というのは、結果に対するエクスキューズになり得ない」と言い切れる、どれだけのアイドルや歌手、映画監督、はてはプロレスラーまで涙目にしながらも、この意見だけは頑として変えてこないことに、さんまさんのメジャーであること、最前線で大衆に向けて笑いを送る立場にあることの自負を痛切に感じて、僕はだからさんまさんは最高に格好良い人だと思っている。だから僕は芸人さんには、お前達もさんまさんみたいに格好良い芸人を目指そうよと思うし、少なくとも僕はここで話題にしている人たちの多くは、そうなる資質があるのに、なんで目指さないんだという、もったいないという気持ちが強くあります。
にづかさんの嘉門さんのアルバム評なんかもそうですが、どうして厳しい意見や否定的な論評をすると、それが単に批判とされるのか、対象を馬鹿にしたり侮蔑していると思われるのか、僕には全く理解出来ない。僕にしてもにづかさんにしても、「あなたはそんなもんじゃないでしょう」「もっと良い物が作れるはずだ、もっと上に行けるはずだ」という想いがあるから、わざわざ時間をかけて、時にはお金もかけて作品を見て聞いて、その上で飯の種にもならない論評を書いているわけです。それが本人届くかどうかは別の話で、本人が単なる悪口としか捉えないのは、こっちの文章力もあるから仕方ないこともあるでしょう。
でも芸人だけでなく、歌手や漫画家、スポーツ選手でも同じですが、こんな気持ちを持っている人たちに対して、甘やかすようなことを言ってる連中に、批判はされたくないですよね、そいつらより僕の方が芸人さんのことを評価している、だからこそ不満を持つのだと言えるし、僕のその考えは明石家さんまから大部分を貰って、BSマンガ夜話のレギュラー陣の書籍や番組でのコメントで固まったと思います。
とりあえず芸人さんは明石家さんまのように格好良くなって欲しい、なれなくても良いから、一度は明石家さんま志村けんを目指して欲しい、その上で「俺には無理だ」「自分のやりたいことはそっちじゃない」と思ってから、別の道に行く分には、そんなに遅くないしそれはそっちの道に行くにしても役立つ経験で、遠回りな寄り道にはならないと思いますよ。明石家さんまの「頑張り主義」を認めないというのは、さんまさんは厳しい人と言われているけど、これが一番厳しいことだと思うし、明石家さんまという人を現していると思う、こんな格好良い人と同じ仕事していて、そこに辿り着くチャンスがある人が、そこを目指さないことについては、僕はやっぱりもったいないと言い続けたいです。
気楽に万人が楽しめる笑いというのを、追求する道というのも広がって欲しいなあと思うし、タカアンドトシチュートリアルNON STYLEなんかは力量はもちろん、志も強い人たちだと勝手に感じているので、特にノンスタは今時の若手芸人に珍しく「売れたい」「有名になりたい」という欲が、良い意味で凄く強いのをビンビンに感じてさせてくれるので、王道の後継者として名乗りを上げて貰いたいです。
もうブクマやリンクされているから遅いけど、これって「自分が明石家さんまを最高に格好良いと思う理由」ってタイトルにした方が良かったなあ。

  • 追記

爆笑オンエアバトル5月18日放送分:昨日の風はどんなのだっけ? : 一汁一菜絵日記帳

本題になっていることを少し書いておくと、僕は関西の芸人さんがオンバトの一回目の収録に挑む場合は、その芸人さんが最初に(M-1以外の)賞レースで評価を受けたネタを、そのままかければ良いと思います。逆に言うとどれだけ業界内評価が高くても、お笑いマニアや劇場に通うファンに支持されている芸人さんでも、関西の予選があるお笑い賞レースで本選に進出したことない人は、オンバト向きじゃないと思います。
だからABCかNHKの新人賞レースで予選通過したネタを、もしくはM-1だったら準決勝とか決勝ではなく三回戦ぐらいに出してくるネタを、特にオンバトだからと意識せず変えないでそのままやるというのが、一番オンバトに良い戦術だと思いますし、ここを一つもクリア出来ない芸人は吉本も松竹もオンバトには出してこない方が良いと思う、そしてこの辺の名刺代わりになるネタを作れるかというのは、お笑い芸人さんにとってかなり売れるということを考えれば、かなり重要なファクターだと思います。
天然素材あたりの世代の芸人さんを最後に、セルフプロデュースに長けた芸人さんというのが、関西から少なくなったようには思いますし、作家さんとか、マネージャー、放送局の人にもそういうのを芸人さんに伝えれる人がいなくなったような気はします。

4872339959クイック・ジャパン(Vol.63)
太田出版 2005-12-10

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